表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/112

獣人奴隷との出会い

2人目のヒロイン登場です!

※2020年5月9日 文の書き直し終了

 俺とアストは、奴隷を買いに奴隷商へと向かっていた。

 理由は簡単で、二人して料理が出来ないからだ。


「アスト。この世界には、何で奴隷が存在するんだ」

「簡単なことです。借金が返せなくなり娘や自分を売る、スラムから連れられた者が売られる、魔族や獣人などが売られるなど、多くの場合があります」

「仕方がない、んだよな」

「ええ、他にも犯罪などを犯した者も奴隷にされる場合があります」


 ラノベとかで読むには羨ましいと思うこともあるが、実際には見てるのも辛い。時々見かけるが、大抵酷い扱いを受けている。

 そうこうしている間に、奴隷商へと着いた。

 何処と無く嫌な雰囲気が出ていた。この中で売られているんだな……。見栄えを良くしようと、外装だけは綺麗にされていた。

 中には、小太りで中年のおっさんが一人いた。格好は、妙に装飾の多い変わった服を着ている。頭は……薄毛が悩みらしい。


「何か御用ですかな? ここは街の端くれにあるなんの変哲もない奴隷商ですよ」

「ああ、その奴隷商に用があって。すまないが、奴隷を一人売ってくれないか」

「これは失礼、お客様でしたか。して、条件などはありますかな?」

「料理などの家事が出来るのを頼む。出来れば女で」

「左様ですか。では、少々お待ちを………おい! 家事が出来る女を連れてこい!」


 奴隷商のおっさんが店の奥を怒鳴ると、奥から奴隷の女を三人連れた同じく奴隷商の男が出てきた。

 連れてこられた奴隷達は、痩せ気味で、髪などはボサボサしている。それに、今にも人を殺めそうな雰囲気だ。


「家事が出来る女は、これで全てです」


 一人目は、20歳くらいで金髪の女だった。

二人目は、30歳くらいで茶髪。

三人目は、同じく30歳くらいの赤髪だった。

 付け加えると、全員俺を睨み付けている。


「この3人、か……」

「お気に召しませんか?」

「まあ、いつ刺されるか分からなそうだから」


 今なら刺されても問題ないが、気持ち的に嫌だ。誰だって、刺されて嬉しくはないと思う。

 この奴隷達を連れて来たのとは別の部屋にも、奴隷達がいるのがチラッと見えた。しかし、隔離されているようにも見える。


「あっちは何ですか?」

「あちらは欠陥奴隷でございます。簡単に説明すると、酷い怪我や病気を患っている者達ですな」


 隔離されているのは、病気の奴隷達らしい。他にも精神に異常がある者も隔離されると言う。

 怪我などは、消毒や包帯などの最低限のことはするらしい。しかし、腕や脚を失った者はどうしようもないらしい。


「一応、中を見せてもらっても?」

「こちらは、別にかまいませんが……あまりオススメはしませんよ」


 許可を得ると、奥へと進んだ。

 換気はされているが酷い匂いだ。血生臭いような、何かが腐敗しているような。

 中は酷い光景だった。ほとんどの者は、目に光はなく、虚ろな目をしている。咳き込んでいる者、酷いと両手両足が無い者もいた。


「これは酷いな……」

「そうでしょう。これを買う人なんて、治癒魔法のレベルが7くらいないと買いませんよ」


 俺は、その中で一人の女の子を見つけた。銀髪で、頭に狐の耳がある10歳くらいの少女。だが、その子の右腕と両足首が切断されていた。


「この子は?」

「その娘は、魔王軍に襲われた村の生き残りなんですよ。なんでも、家族や村の皆を全員殺されて、死に物狂いでこの街の近くに逃げて来たのですが、結局は奴隷落ちしたらしいです」

「少し話をしても?」

「ええ、別に構いませんよ」


 俺は、檻の中に入り、話しかけてみた。やはり、この子の目も光を喪って絶望したような感じだ。


「君の名前は?」

「……」

「俺はダイキって言うんだ。つい最近、冒険者になったんだ」


 そう言うと、彼女は肩をビクッと震わせて俺を見てきた。おそらく、買われれば盾役にでも使われると思ったのだろう。


「君に聞きたい事がある。もしも、君の右腕と両足首が元に戻ったら、家事はできる?」


 一瞬、なにを言っているんだ? というような顔をすると、今度は

返事をしてくれた。小さな声だがしっかりと俺に届いた。


「できます……」

「分かった」


 それだけ言い微笑むと、アストにも聞いた。

 さすがに俺の一存で決めると言うのもな。


「アスト。この子でもいいか?」

「私は、マスターがいいと思ったなら誰でも良いですよ」


 そう言うと、アストも笑顔で了承してくれた。

 本音を言うと、ここで拒否されたらどうしようかと思った。


「すみません。この子を買おうと思うのですが、いくらですか?」

「は、はぁ……でも、良いのですか? この者は欠陥奴隷ですが」

「欠陥があるなら治せばいい話だ」

「……承りました。この娘は、それでも処女で、上玉なので、値引きして金貨10枚ですな」

「分かった」


 俺はそう言うと、奴隷商のおっさんに金貨を渡した。

 しかし、女の子を金で買うか……普通に考えると犯罪だろう、これ。


「一応言うが、後から無しとか余計に要求しようものなら」

「いえ、それは絶対にありませんな。購入された奴隷をどうしようが、購入した者の自由なので」


 奴隷商人は、そう言うと契約書らしき物を持ってきた。

 簡単に目を通すと、どうしたらいいかを聞いた。


「ここに名前を書き、この瓶に血を数滴入れてください」


 そう言われたので、契約書に名前を書き、指に針をチクッと刺して血を数滴入れた。ちょっと痛かったのは内緒だ。


「はい。では、後はこれを奴隷の肌にっと……よし」


 奴隷商のおっさんは、血と謎の液体が混ざった物で、少女の肌に文字を書いていった。使用している文字は、この世界に古くからある特殊な文字らしく、使える者は限られているらしい。


「あとは、詠唱を唱えたら奴隷との契約は完了です」


 そう言うと、おっさんは奴隷魔法を詠唱した。詠唱していくと徐々に文字が消えていった。


「これで契約出来た筈です。ステータスの確認を」


 そう言われると、称号のところに目を向けた。


【称号】

・勇者 ・適正者 ・神の恩恵 ・魔神 ・剣神 ・龍神

・人間を辞めし者 ・ホムンクルスを作りし者

・アストの主 ・魔物の天敵 ・残虐の王 ・エミリの主人


 エミリっていうのか。

 結構可愛い名前だ。元の世界で名付けたらイタいけども。


「ちゃんとなっているみたいです」

「わたしもです………」

「これで、今日からこの奴隷は貴方の物です」

「ああ、ありがとう。さてと、ここでこの子を治しても?」

「ええ、構いませんよ。我々は、所有者のいる奴隷に、手出しは出来ないので」


 そう言われたので、初めての治癒魔法を使ってみようと思ったのだが、治癒魔法が中々見つからない。代わりに、【再生魔法(リバイブ)】というのがあった。


「よく分からんが、『再生魔法(リバイブ)』」


 使用すると、エミリの右腕と両足首は再生していった。

 再生していく様子は、ちょっとしたホラーだったが。


「いやはや、凄いですな……」

「そんなことない」

「……」


 エミリは、とても驚いていた。

 まあ、いきなり腕や足が生えて元通りになったから仕方ない。いや、ショッキングな光景に恐がってるのかもしれない。俺だったら怖いもん。


「ありがとうございます。ご主人様……」

「ああ、どういたしまして」


 幸い、後者では無かったようだ。たくましい子だな。

 その後、俺達は奴隷商を出た。次は、エミリの服を買うために、服屋に向かうことになった。


「アスト。この辺りに服屋はあるか?」

「ええ、ありますよ」


 俺は【マップ】を使い、服屋のある場所へときた。


「よし、じゃあアスト。あと頼めるか?」

「はい、マスター」

「あの、ご主人様……ここは?」

「服屋だ。お前の服を買いにきた」

「そ、そんな……わたしなんかに、そんな高価な物は……」


 本当にこういうやり取りがあるんだな。面倒なので、ゴリ押しさせてもらうけどな。こう言うのは、先に折れた方の負けだ。


「いいから、任せろ。さすがに、その格好で歩かれる方が迷惑だから」

「は、はい……」

「じゃあ、アスト。これで」


 そう言うと、アストに金貨を100枚程持たせた。

 これだけあれば十分に買えるだろう。


「アストも自分の服とか買っていいからな」

「分かりました。マスター」

「こ、こんなに……」


 エミリは凄い驚いていた。

 まあ、金貨100枚は普通に大金だし仕方ないか。


「じゃあ俺は、防具を買ってくるから。買い終わったらこの店の前で待っててくれ。あと先に風呂屋にでも連れてってやってくれ」


 この世界にも風呂があるらしい。ただし、多くの人が一緒に入る公衆浴場だ。奴隷でも、金さえ払えば入れるらしいので、アストに任せた。


「分かりました。気を付けて行ってきてくださいね、マスター」

「はい……ご主人様」


 こうして、アスト達と一旦別れると、防具を買いに向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ