武器屋と不動産
※2020年5月8日 文の書き直し終了
俺とアストは、武器屋と不動産屋に向かっていた。
武器と拠点は必要ということで。
「武器はあった方が、何かと便利そうだな。俺達も何かしら買っておくか」
「私もその方がいいかと思います」
いかにもという感じの武器屋についた。
中に入ると、壁には沢山の剣や盾などが飾ってある。
「すみません、武器を買いたいのですが」
「あ? なんだ」
中にいたのは、巨体のおっさんだった。
この店のイメージにピッタリなオッサンだ……。
「ガキがなんのようだ? ここはガキの玩具を買う店じゃねえ」
「いや、冒険者をやってるから武器が欲しくて」
「ほほう、テメエみてえなガキが冒険者だと?」
「嘘は言っていない」
なんか、冒険者ギルドより冒険者ギルドっぽい雰囲気の武器屋だ。面倒臭そうな人だし、さっさと武器を買って、不動産で家を手に入れたい。
「どうやって信じさせてくれるんだ? ステータスでも見せるか?」
「アスト。冒険者プレートを」
「いいのですか?」
プレートくらいだったら問題ないだろう。
まあ、アストの見せれば納得するだろうし……。
「買い物っていうのは、売る方と買う方が納得して成立することだしな」
「わかりました、マスター」
アストは、そう言うと武器屋のおっさんに自分のプレートを見せた。
「な、なんだと。Aランク……こんな嬢ちゃんが?」
「さっきなったばっかりだけどな」
「まじか……この嬢ちゃんが武器を買うのは了承しよう。だが、お前は駄目だ」
面倒くさい人だ。まあ、今後もこの店の世話になるなら仕方ないか。
「これが俺のプレート。どうせ他の冒険者が来たら分かることだし」
「どれどれって………Sランク? どういうことだ」
「そのまんまの意味です」
「おいおい……マジかよ」
おっさんは驚いているらしい。
まあ、さんざんガキとかって言った相手だから余計にか。
「分かった。お前も認めてやる」
「良かった。じゃあ、武器を見せてください」
「ああ、奥に来い」
「行くぞ、アスト」
「はい、マスター」
俺達は、武器屋のおっさんに店の奥へと連れてってもらった。
「ここにある武器は全部売り物だ。好きに見てくれ」
「分かった。何かあったら呼ぶよ」
そう言われると、俺とアストは武器を見始めた。
やはり、武器というとロングソード辺りか。だが、大剣も良さそうだ。アストは……決まったみたいだ。
アストは、自分の背と同じくらいの斧を持っていた……鑑定結果は。
【魔斧ハルバンド】
・攻撃+1000 ・斧スキルLV10以上
・呪いLV10
あきらかにヤバそうな斧を持ってる。まあ、使うのはアストだし文句は言わないが。いちおう呪いは解いておこう。
さて、俺は……ん、これはまさか。
「なあ、おっさん。何でこれだけ値段がタダ同然なんだ?」
「ああ、それか……それは使える奴が誰も居ないんだよ。だから買おうと思う物好きも全くいねえんだ」
日本でお馴染みの刀だった。確かに刀スキルなんてのはこの世界に無い。
いや、待てよ……俺なら。
「『スキル作成』………刀スキル」
「ん? なんか言ったか」
『スキル作成完了。【刀】』
よし出来た、これで使える筈。
刀を鞘から抜き、軽く振ってみた。
「おお! お前は使えそうだな!」
「みたいだ。じゃあ、これを買うか」
「おう、値段は銅貨50枚だ」
「はいよ。アスト、お前はそれでいいのか」
「はい、マスター」
「じゃあ、そいつは金貨100枚だ。かなりのレア物だからな」
「これであってるよな」
俺はおっさんに金貨を渡した。
アイテムボックスは、金貨の取り出す量も、イメージすれば調整出来るらしい。
「すんなり金貨100枚を出すあたり凄いな……」
「まあ、気にしない気にしない。じゃあこれで」
「ああ、また来いよ」
そして、俺とアストは店を出た。
肝心の刀のステータスは。
【白雪】
・攻撃+5000 ・耐久力LV10
名前のとおり、真っ白な雪のような色をした刀だ。
調べてみたが、耐久力というのは武器特有のスキルで、刃などに影響するらしい。レベル10のこの刀は、何があっても折れず、歯こぼれもしないらしい。
「いい武器を手に入れたな。刀が手に入ったのは正直に言ってラッキーだった。日本人なんだから、憧れるのは仕方ないよな」
「そうですね、マスター。私もこの武器を気に入りました」
俺とアストは、次に不動産屋に向かった。
アストの能力で、大体の相場は調べられた。こういうのは先に調べておかないと詐欺にあうかもしれないから。
「ここだな」
「はい、そのようですね」
そこまで立派ではないが、ボロい訳でもない。
至って普通の店構えだった。
「すみません、家を買いたいのですが」
「ほほう……予算はどのくらいですかな?」
「ざっとこのくらいで」
そう言うと、金貨を3000枚ほど出した。
これだけあれば、大体の家は買える筈だ。
「こ、こんなに?」
「ボロボロの家なんかには住みたくないから。この予算内で見繕ってもらえます?」
「か、かしこまりました!」
俺とアストは出された資料を見る。さすがは金貨3000枚だ。かなり良い家ばかりだった。
「じゃあ、これで」
大きい屋敷を選んだ。
誰だって、一度は大きな家に住みたいと思う筈だ。
「は、はい。分かりました。金貨2500枚になります。いちおうお聞きしますが、今日から住みますか?」
「そうさせてもらいます」
不動産屋から鍵を受け取り、新しい家に向かう事にしたのだが。
あることに気づいた……いや、気づいてしまった。
「いま思ったんだが……アストは料理できるか」
「女の価値は、料理で決まるものではありません」
あ、これ駄目なやつだ。
どうすんだよ家事とか、料理とか、料理とか、料理とか。
「マスター。ならば奴隷を買ってみては?」
「奴隷? ネット小説とかでよくある?」
「その認識であっています。奴隷は高くても一人金貨100枚もあれば買えるようです」
人の命がたったの金貨100枚か。
何か嫌なこと聞いた……でも仕方がないか。買わなきゃ俺達の死活問題だ。
「ああ、そうするか……気乗りはしないけども」
「では、近くに奴隷商があるようなので向かいましょう。いちおう聞きますが男の奴隷ですか? 女の奴隷ですか?」
男の手料理……どうせ食べるなら女の子の料理が食べたい……。
「男の手料理よりは、女の奴隷がいいかな。旨ければ別にどっちでもいいけども」
「安心しました、マスター。もし、そっちの気があったらどうしようかと……」
こうして俺達は、家に向かう途中に奴隷商へ寄り道することになった。それと、危うくアストに変な誤解をされるところだったようだ。