告げる想い
今回はついに!
誕生日会の前にアストに庭に来てほしいと言われた事を思いだし俺は言われたとおり庭へとやって来た。
アストが俺に話があるだなんて珍しいな、それに人目を気にしているのも不自然だし……
「来ましたか……では、ベンチに座りましょうマスター」
「あ、ああ……始めに聞きたいんだがこんな時間に話があるなんてどうしたんだ?」
「ええっと……なるべく他の皆さんには聞かれたくなくて……」
聞かれたくないっていうと、もしかして自分がホムンクルスだってことか?
それだったら他の皆に聞かれたくないのも納得だな……アストからしたら自分だけ仲間外れみたいに感じてるかもしれないからな……
まあ、こっちから聞いてみるのが一番か……
「アスト……いちおう聞くがこの話はもしかしてアストがホムンクルスだということについてか?」
「え、違いますけども? 別にホムンクルスだってことは望んで選んだんですから、それにこの身体がなければ私はずっとスキルだけとして存在することになってたのですからね」
「そ、そうか……悪いな変なこと聞いて」
ホムンクルスについてじゃないとすると料理くらいしか思いつかないぞ?
でも、エミリが居るしアストだって自分の料理の破壊力はしってる筈だからな……
「ええっと……最後まで聞いてくださいね?」
「ああ……なるべく口は挟まないようにする」
「単刀直入に言います、私はマスターのことが……木村大輝さんが好きです!」
え、俺のことが好き? 友達としての好きなのか、異性に対する好きかで大分意味は変わってくるけど一体どっちだ……
「マスターのことですから友達としてか異性としてかについて迷ってると思いますから言いますね? 私はマスターのことが異性として一人の男性として好きです! お付き合いをお願いします!」
「確認だが何で俺のことが好きなんだ? 俺よりもっといい男は山のようにいるだろうに……」
「私はそこら辺の男よりも何時でもみんなの事を想って行動できて、みんなの為に犠牲になれる覚悟をもつ貴方に惚れたんです! それに、マスターは辛そうなお顔を時々していました……だから、私はそんなマスターと共に支えあって生きていきたいと思ったんです!」
誰かに好きだと言われたのは始めてだな……
あっちの世界では周りから苛められてたし、父さんや母さんは好きではなく愛してるって言ってくれてるしな……俺は……
「「「ちょっと待ったー(ください)(ですわ)(のだ)!」」」
「な、なんだ!? どうしてリエ達が……」
「アストちゃ~ん? 抜け駆けはよろしくないな~、というわけでボクも想いを告げよう! ボクはずっとずっと前からダイキくんのことが好きです! 結婚してください!」
リエまで告白してきた……ていうかみんな何処に隠れてたんだよ……
(リエ=木の上、エミリ=草むら、マリア=ノーマルモードで土の中、ティア=翼で空の上)
「わたしもダイキ様のことをお慕いしてました! お付き合いをお願いします!」
「わたくしもダイキ様のことが好きでしたわ! 是非ともわたしくしと愛の契りを!」
「ワタシもダイキ殿のことが一人の男として好きだ! ワタシと結婚してくれ!」
いきなり付き合うから結婚にハードルアップしたぞ!? ていうか、みんなして一気に告白を!?
「返事は後日でってことは……」
「「「今すぐに(だよ)(です)(ですわ)!」」」
ですよねー……でも、俺はみんなの事を……
「俺はみんな同じくらいに好きだ、愛しいく想っている……こんなで悪いな。でも一人を選ぶことは出来なそうだ……本当にすまない……」
「ダイキくんは何か勘違いしてるみたいだね? こっちの世界じゃ別に一夫多妻制でも平気だよ?」
「え? それじゃ俺の勘違いってことか……」
「「「そうですね」」」
今まで考えてたのが馬鹿みたいだな……でも、それならそれで……
「じゃあみんな……こんな不甲斐ないヘタレな俺だが結婚してくれないか?」
「「「もちろん(だよ)(です)(ですわ)!」」」
あっちじゃ一生俺を好きになってくれる人なんて現れると思ってなかった……でも、それだけに喜びや幸せも何倍に感じるな……
「じゃあ、明日みんなの指輪を買いにいくから午後から一緒に買い物に来てくれるか?」
「「「はいダイキ様(くん)(殿)!」」」
こうして俺は異世界にて迎えた誕生日に両親と仲間達と祝い、その夜にアスト、リエ、エミリ、マリア、ティアの5人もの女性と婚約をした。
「きゃー! 明日はお赤飯にしなきゃねあなた!」
「そうだな母さん! 息子に可愛いお嫁さんが5人もできたんだからな! めでたいめでたい!」
いつからいたんだ? ていうか親に告白シーンを見られるってとんでもないダメージだな……実際にHPが半分以上減ってるし……
「これからもよろしくな皆! 一生幸せにするからな!」
「ふふふ……甘いなダイキくんは……ダイキくんは死んだら完全な神になるんだよ? そんな人がたった4人を神世界に連れてけないとでも思ったか! ボク達みんなの愛は正真正銘の永遠だよ!」
「「「愛が重い(です)(ですわ)!?」」」
リエによる爆弾発言で一気に場が静かになり俺達は家の中へと入った……もちろん、夜は別々の部屋で寝たからな!
・
・
・
・
「すみませーん、指輪を6つお願いしたいのですが?」
翌日、俺はアスト達と指輪を買いに以前みんなへのお土産を買った店へと来ていた。
「これはこれは、以前この店へ来てくださったダイキ様ですよね? あの後は……聞くまでも無さそうですな」
カウンターから中年の小太りだがとても優しそうな顔をした男性が出てきた。以前もこの人にアスト達へのアクセサリーを勧めてもらった。
「今回はアストにエメラルド、エミリにはアメジスト、リエはサファイア、マリアにはトパーズ、ティアにはルビー、俺にはブラックダイヤモンドのお揃いの指輪を頼む」
指輪に使う宝石は聞いておいた、みんな自分のイメージにあったカラーを選んでいる。
「はいはい、お届けは明日ご自宅へで大丈夫しょうかな?」
「ああ、じゃあ料金はこれで頼む」
俺は支払い額が入った袋をアイテムボックスから取りだし渡した。みんなとの指輪か……どんな宝よりも大事だな……もちろん、アスト達本人よりは下だがな。
「では、末永くお幸せに」
「「「はい!」」」
無事指輪も頼んだし国王にも明日に自慢がてら話に行くか。帰ったら昨日貰った召喚魔法の魔方陣で身を守る魔物と契約するかな。




