幸せ
「今回は本当にごめん「「「ごめんなさい!」」」……え?」
何故かアスト達は俺が謝ると同時に謝ってきた、悪いのは自分勝手に家出した俺の筈なのに……
「なんで皆が謝ってくるんだ? 悪いのは俺のほうだろ、勝手に家出なんかしてみんなを困らせるような真似して。あ、そうか……謝っても許さないって意味でのごめんか……分かったよ……もう、会わないように極力頑張るよ……金は俺の部屋にあるから」
「いやいや、違うからね!? せっかく帰ってきてくれたのになに言ってるの!?」
「マスター……いくらなんでも卑屈過ぎます……」
「ダイキ様がここまで追いこまれてたなんて……」
「もう、精神病のレベルかもしれませんわね……」
「ダイキ殿、あなたが居なくなられては我々が困ります!」
「大輝……いちど病院で診てもらいましょうか……大丈夫よ、お母さんはあなたの見方だからね?」
なんか俺がヤバい人みたくなってきたぞ……ていうか違うって何が違うんだ?
「はあ……一から話すよ? まず、アストちゃん達にはダイキくんが昔なにがあったのか話したから」
「ああそうか……こんな何時までも昔のことを引きずってる男なんて嫌だってことか。今までありがとな、あの世で先に暮らしてるからな……」
「まってまって!? その取り出した縄で首を絞めようとしないで!?」
「大輝……いったんこの娘たちの話を黙って聞いてあげなさい……」
「母さんが言うなら……分かった……」
そうして俺は縄をアイテムボックスに閉まい椅子に座った。何度でも立ち向かうとか考えてたけどこれ以上は耐えられそうにないな……いっそのことワープで……
「じゃあ、続きを話すね? まず、ボクは君が事故にあった日から君を神界から覗いてたんだ。で、君がどんな人生を歩んでたのかは知っていた」
「そうか……リエは全部知ってたんだな……」
あれが全ての始まりだしな……あの日、事故に遭わなければ別の人生を歩んでたのかもな。いや、考えたって無駄か……
「で、ボク達にも理由があったんだけどそれ以上に君への配慮が足りてなかったって話になったんだ……」
「それで謝ってきたのか……別にいいよ、俺が弱いのが原因なんだしさ……」
そうだったのか……てっきりもう俺を受け入れられないって意味でのごめんだと思ってたよ……
「簡単に言うとこんな感じだね、それだからダイキくんが謝る理由なんてどこにもないんだよ?」
「そうか……でも、心配させたのは確かだからごめ……いや、ここは探してくれてありがとうか」
「「「どういたしまして!」」」
本当に俺のことを思っていってくれているんだよな……こんな事があるなんて数日前の俺じゃあ絶対に信じないだろうな……
「それじゃあ、これからはちゃんとダイキくんがボク達のことを頼ってくれるように皆で頑張るからね!」
「「「そうですね(ですわ)(だな)!」」」
何だろうなこの気持ちは……短くても長いあいだ抑え込んでたような皆へ対する気持ちは……そうか、これが愛しいって気持ちなんだな。初恋がこの年ってどうなんだよ……
「それじゃあ話はまとまったみたいね! お母さんはお父さんの所に行ってるから」
「では、私達もリビングに行きましょうか。あ、マスターは5分程遅れて来てください」
「よく分からないが分かった……じゃあ、少しトイレに行ってくる」
そう言って俺は部屋を出た……
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リビングへ向かおうとしていると途中にアストが立っていた。
「どうかしたのか? 俺に出来ることがあるなら何でも手伝うぞ?」
「ええっとですね……夜、話があるので庭まで来てもらえますか?」
「ん? 別にいいが……」
なんだ? まさか親が寝ているときを狙ってのアスト達による集団リンチか…………まあ、アストに限ってそれはないか。
「じゃあ、これからマスターには目隠しをして食堂へと来てもらいます」
「目隠し? 別に構わないが……もしも、リエとかが何か企んでたらすぐさま逃げるからな?」
「それはないので安心してください……じゃあ、私が手を握って案内しますので」
俺は目隠しをするとアストに手を握ってもらって食堂の前へと来た。女の子の手を握ったなんて幼稚園児いらいかな? 男の手と違って丸みを帯びて柔らかい手だな……
「では、目隠しを取ってください」
俺はそう言われ目隠しを取ると……
――パンパン!
いきなりクラッカーを鳴らす音が聞こえた……
「「「誕生日おめでとうダイキ(マスター)(様)(殿)(大輝)!!」」」
皆のうしろの壁には『18歳の誕生日おめでとう!』と書かれた布がかけらていて他にも色とりどり飾りがしてあった……
「ダイキくん、絶対に忘れてたでしょ? あっちじゃ誰も祝ってくれる人なんて……って、なんで泣いてるの!?」
「え、泣いて……ぐすっ……何年ぶりだろのんなの。しかも父さんや母さんも居て……」
気がついたら俺は泣いていた……あたり前だろ、あっちじゃ小学生の頃には既に苛められてんだから……
「ほらほら泣かないの! 今日の主役が号泣してたら楽しめないでしょ!」
「うぅ……母さんでも、こんな事もう二度とないと思ってたから……」
「まったく大輝は泣き虫だな! 誰に似たんだか……って父さんか……」
「本当にみんなありがとうな……今日ほど幸せだと思ったことはないよ……」
父さんと母さんと一緒に居れて仲間とも一緒に居れて……それに誕生日をみんなに祝ってもらうなんて……本当に嬉しくて涙が止まらない……
「じゃあ、早速プレゼントタイムと行こうか! ボクからはこれだ!」
そう言われリエから写真立てを貰った。
「リエ……写真が入ってないがこれって……」
「それは今から撮るのさ! カメラはこの世界にもあるからね! さあ、みんな並んで!」
リエはそう言ってカメラをアイテムボックスから取り出し皆を並ばせた。
「じゃあ、タイマーセットしたから撮るよ! じゃあ1+1はー?」
「「「にー!」」」
めっちゃ古いな……でも、楽しく写真を撮るなんて何時ぶりだろうな……学校では毎回横の人が嫌がってたしな……
「お、どれどれ……うん、よく撮れてるよ! じゃあ、写真を写真立てに入れてってと……じゃあ、これがボクからの誕生日プレゼントだ!」
「ああ……ありがとうなリエ……うぅ……」
「もう、泣かないの! 格好いい顔が台無しだぞ?」
「お世辞まで言ってくれてありがとうな……」
「お世辞って訳ではないんだけどな……」
誰かから誕生日プレゼントを貰えるなんて思ってもみなかったな……今の気持ちが幸せってことなんだな……
「じゃあ、次はわたしですね……その、あんまり上手ではないのですが……」
そう言うとエミリは後ろに隠し持っていた物を出してきた……その手には大きなケーキが持ってあった……ヤバい、これ以上は本当に号泣しそう……
「エミリ、ありがとうな……このケーキほど俺が嬉しいと思ったケーキはこの世に存在しないよ……」
「ど、どういたしましてです……」
顔を赤くして横を向いてしまったがさすがの俺でもそれは照れているのだと分かった。
「では、わたくしからはこれを……」
マリアは魔方陣? のようなものが書かれた紙をくれた。
「それは召喚魔法を使うための魔方陣ですわ、それを使って魔物などをランダムに呼び出して契約するのですわ。一度契約すれば名前を呼ぶだけで呼び出せるので便利ですわよ」
「ありがとうな……さっそく明日使って呼び出してみるよ」
テイマー的なのがこの世界にもあるんだな……てっきり魔物は全部敵みたいな世界だと思ってた……
「じゃあ、ワタシからはこれをダイキ殿へ」
ティアは懐から一つの石? を取りだし渡してきた。
「それは龍の里の秘石で龍王の称号を持つ者が認めた者にしか扱えないもので何かが眠っていると言われています」
「そんな貴重そうな物を……ありがとうなティア……大切にさせてもらうよ」
でも、何が眠っているんだ? 色は薄い緑で綺麗だけど危険なものが眠っているって訳じゃなさそうだしな。
「マスター、私からはこれを……」
アストからは黒い宝石がはめられたネックレスをくれた……あれ? このネックレスって……
「気づきましたか? そのネックレスは以前マスターが私にくれたネックレスの別の宝石のバージョンなんですよ。どうせならマスターとお揃いがいいと思いましたので……」
「アストありがとな……アストにはこの世界に来てからずっと助けてもらっている、もう感謝してもしきれないよ……」
「い、いえ……マスターに喜んでもらえるのなら私は十分ですよ」
そう言ってアストは俺に笑いかけてくれた……こんなに俺を大切に想ってくれる皆の為にも俺はいっそう頑張らないとだな……
「じゃあ、父さんと母さんからはこれをやろう」
「迷ったのだけれど大輝にはこれが良いと思ってね」
そう言って父さんと母さんは腕時計をくれた。
「それはあの世での特注品でね、オリファルなんたらって言う特別な素材で出来てるのよ。しかも、永遠に動き続けるっていうね!」
「母さん……それって凄い貴重な金属だよ……でも、ありがとう。これなら絶対に壊れないだろうし嬉しいよ」
本当にみんなには感謝してもしきれないな……こんな俺なんかの事をとても大切に思ってくれるなんて……もう二度とあんな真似はしないようにしないとな……
俺はそのあと皆とともに誕生日を心から楽しんだ。そして夜になりアストが庭に行くのが見え話があると言っていたのを思いだし俺も庭へと向かった……4つの影が後ろからついて来てるとも知らずに……
次回ついに!




