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協力

「ダイキ殿がいなくなった!? どういうことですかな!」


 私達は、マスターを捜す為に国王の元へとやって来ていました。事の発端は、マスターが魔王軍四天王のデススライムを倒しに行った事が始まりでした……。


「だから、ボク達もそれが分からなくて困ってるんだってば! 朝、ダイキくんの部屋に行ったらダイキくんが居なくて、机に手紙が置いてあったんだから!」

『さようなら……』


 たった一言だけの手紙でした。

 でも、その一言で何なのか理解出来るような。


「あの、確かリエ様はダイキ様の考えてることが分かるのではありませんでしたか……?」

「それが……2、3日前からダイキくんの居場所や何を考えているのか分からなくなってね」


 捜すにも、この広い世界でたった一人の人間を捜すのは、神でさえ困難の筈です。

 例えるなら、私達が迷子になったペットを何の情報もないまま捜すと同じくらいに……。


「それじゃあ、本当にダイキ様とはもう……」

「いちおう聞きますが、貴女方には何の心当たりもないのですかな?」

「うん、検討もつかないよ……彼の事を何でも知ってるつもりで、彼の心の奥底までは知らなかったんだね……」

「わたしもダイキ様には失礼がないように心掛けてるつもりでしたので……」

「わたくしもダイキ様の考えまでは……」

「ワタシはダイキ殿とは出会ったばかりですので……」

「私も心当たりは何もなくて……マスターはいったい何処へ」


 誰もマスターが何処へ行ったかは分かりませんでした。もしかしたら、本当にもう会えないのかも……それだけは……。


「そうですか……我々でも出来る限りの手助けはさせてもらいます」

「お願いね、国王……ボク達も頑張って捜すから……」


 王様は、ギルドや町の人から情報を集めると言ったので、私達は家へ戻りもう一度マスターが何故いなくなったのか話し合うことにしました……。

     ・

     ・

     ・

     ・

「で、みんな心当たりは……ないみたいだね」

「「「はい……」」」


 みんな暗い顔をしています。

 まるで大切な家族を失ったような……。


「ボク達が最後に会ったのは、確かダイキくんがデススライムを倒しに家から出たところだったよね……」

「それで、ボク達が帰ってきたらダイキくんの部屋の扉に張り紙があったから、何かあったのか心配になったけど、疲れてたかもしれなかったから声を掛けるのも控えたんだよね……」


 全員が頷きました……それでも何故こんなことになったのか。でも、最後に見たマスターの顔は何処か辛そうな感じでした……。


「みんなは気がついたかな? ダイキくんが家を出る時にとっても辛そうな顔をしてたのを……」

「「「はい……」」」

「ボクは過去にもあの顔を見たことがあるんだ……今では、あの顔より辛そうな顔はしないけどね」

「それって、前に話してた別の世界でダイキ様へのストー……見守ってたっていう時期ですか?」


 そうでした、リエ様はマスターの過去を知っているのでしたよね。それが分かれば何か手がかりになるのではないでしょうか、ほんの小さなことでも分かれば……。


「ダイキくんには悪いけど話させてもらうね……ダイキくんの過去を……」


 私達は、昔マスターに何があったのか聞きました。

 それでマスターが消えた理由がはっきりしました……。


「みんなに話してて分かったよ……みんなも分かったよね。ダイキくんは、ボク達が離れて行くかもしれない事を恐れているんじゃないかな……だから、いっその事ボク達から離れていこうと……」

「多分そうだと思います……ダイキ様は、たまにわたし達を見ると苦しそうな顔をしていましたから」

「ダイキ様ならありえますわね……以外にメンタル弱いですし」

「ワタシも、リエ殿のお考えであってると思います……」

「マスターは、いつも一人で抱え込んでいたのですね。それなのに私達は距離をおいてしまうようなことを……」


 リエ様、マリアさん、ティアさんは気付けなかった自分に後悔してるようでした。エミリさんは、涙を堪えるように下を向いています。


「みんな……ボク達じゃ、ダイキくんをこの家に戻ってこさせるのは無理だと思う……」

「それじゃあ、諦めろっていうんですか!?」

「じゃあ、エミリちゃんには何年も人から蔑まれ馬鹿にされ続けた人の苦しみが分かるのかい!? 誰かに頼ろうとも誰も仲間はいない、何時も一人で苦しみを抱え込むということを!」

「そ、それは……ごめんなさい……浅はかでした……」

「ボクも強く当たっちゃってごめんね……」


 でも、それじゃあマスターとは……私を生み出してくれて幸せというのを教えてくれた恩人とはもう……。


「では、マスターとはもう会えないのですか……」

「いや、可能性はない訳じゃないよ……たった一人だけ、この世界でダイキくんが信頼し信用した人物がいたよ」

「マスターが信用した人間が?」

「リエちゃんでも会ったことはないと思う。ダイキくんが初めてこの世界に来た時に、とても親切にしてくれて、他の勇者がやられた時に城へダイキくんの事を伝えた人物……」


 そういえば、騎士団の一人が生き残っていたと……しかもそれを聞いたときのマスターの表情はとてもホッとしていました。マスターの命の恩人でもある人物ですか……。


「ボクからも神託ということで伝えておいたよ。ボク自信が捜すことは出来ないけど、彼には捜しているものを見つけ出せるスキルを……それともう二人だけダイキくんの心を開かせると思われる人……」

「そんな人が……?」

「うん……二人とも死んでるけど、今回だけ特別に冥界の王から幽霊としてダイキくんのもとへと向かわせてあげてるんだ。二人に会えば、きっとダイキくんも心を開くと思う……」


 私達は待ってることしか出来ないのですよね。

 でも、それなら私は今日行うはずだった事を……。


「みんな……ダイキくんが帰ってくるのを期待して準備をしよう。昨日は、その為にダイキくんがいない内に出掛けていたんだから!」

「そうですね……どうせ帰ってくるなら喜んでもらった方が絶対いいですからね!」

「わたくしも魔法を思いっきり使いますわ!」

「ワタシも護衛の身としてダイキ殿へ罪滅ぼしをしようでわないか!」

「マスターの為に私も頑張ります! きっとマスターは帰ってきますから!」


 そうですよね……マスターは絶対に帰ってきます。今日はマスターの____なのですから、盛大に喜ばせましょう!

     ・

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     ・

 オレは実家の手伝いをしていたのだが、突然頭に声が聞こえてきた……。


『君がロインだね? 急で悪いんだが、創造神であるボクからの神託だ。君はダイキくんの恩人だったよね、実はダイキくんが姿を消してしまったんだ……だから君に捜してほしい』


 創造神とは最近王都に降臨したという神様だったな。

 それにダイキというのは、勇者を召喚した時にオレが色々と教えてやった男だ……。彼は魔王を倒したと聞いたが、何故オレなどが探す必要が?


『ボク達じゃあ駄目なんだ……彼が心を開ける人間じゃなくちゃ。それに、君にはダイキくんの居場所が分かるようにスキルを付けといたからよろしく頼むよ……君は裏表のない本当の善人だからさ』


 よく分からないが……我々の代わりに王都を救ってくれた男だ。その恩も返さなければな……よし、知り合いなら何かあったのなら手助けしてやらなくてはな! それに先程貰ったスキルを見ると此処から近いしな。

     ・

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『君達の____であるダイキくんの心を開いてほしい……これはボクだけじゃなく、ダイキくんの周りにいる皆の頼みなんだ……』


 ボクは、あの世にいる二人の人物に会いにきていた。

 全ての始まりであるダイキくんの____に……。


「神様の願いなら聞かなくてはな! それに大きくなった大輝の姿も見たいしな!」

「そうですね、私達の大輝が苦しんでいるならほっとけませんからね!」


 こうしてダイキくんの苦しみを解き放つ為に、ロインとある二人に協力してもらう事にした。

 どうか、ダイキくんを救ってくれ……。

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