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式典当日と罰

「そろそろ行くぞ、置いてかれたくなかったら早く玄関に来い」

「「「はーい!!」」」


 今日は、魔王の一人からこの国を救ったということで、式典が行われることになっている。しかし……リエが遅い!

 アスト達4人は、呼んだらすぐに来たが、リエだけ30分以上かかっている。何してんだ、あいつは……。


「早くしろ、もう先に行くから……な」


 これ以上は時間が勿体ないと思い、リエの部屋の扉を開けると、そこには誰も居らず、机の上に一つの紙が置いてあった。


『先に行ってるね、ダイキくん! あと、時は金なりだよ? AM5:00』


 つまり、イライラして待ってたのは時間の無駄だった、と言いたいんだな。あの馬鹿神は……。


「どうしたのですか、マスターって……」

「アスト……リエを見つけたら、縛り上げて棺桶にでも入れろ。あと黒い悪魔こと、Gだらけのあの物置に突っ込んどいてくれないか」

「今日は式典なので、帰ってきたらということで……式典にも縛り上げて出しますが……」


 これで騒ぎまくってたら棺桶の中にもGを入れといてやる。

 ついでに、魔法は使えないようにしてな……。

     ・

     ・

     ・

     ・

「おぉー! 勝者リエー!」


 冒険者ギルドへ着くと、ギルドマスターとリエが、どちらが多く酒を飲めるか対決していた。よし、判決は有罪だな……ティアは護衛の為に鎧を着ていたが剣に手をかけ怒りに震えていた。


「ダイキ殿……神って、斬っても死にませんよね?」

「嗚呼、ついでに言うと殴り飛ばしてもな……龍神の称号をもって許可をしよう……」


 ついでに言うと、俺もあの馬鹿を今すぐ殴り飛ばして、縛り上げたかった。いや、殴り飛ばして縛り上げる……決定事項だ。


「判決は有罪ですね、マスター……」

「ダイキ様……帰ったらアスト様の料理を死ぬほど食べさせて良いでしょうか……」

「ダイキ様……私もエミリさんの案に賛成ですわ……」


 自分で作らせて、自分に食わせるか。ああいう料理を作る奴は、大抵味見をしない。神なんて関係ねぇ……。


「あ~れ~、ダイキくん達どうしたの? そんな怖い顔して、ほらこっちで一緒に飲もう飲もう!」

「「「ギルティ(ですね)(ですわ)……」」」

「ん?…………ギャー! 助けてー!」


 その日、ギルドでは縄で縛られ、泣き叫びながら謝る女の子が目撃されたのだった……。

     ・

     ・

     ・

     ・

「あのー……創造神様は予想通りでしょうか?」

「嗚呼、だから気にするな。縛られて式典に出る神様って、結構ウケると思うからな……口元は直前に解くから」

「ンー!? ンー!」


 国王と打ち合わせをしているのだが、後ろには黒い笑顔をしたアスト達と、馬鹿神ことリエが縛られている。家に帰るのが楽しみだ……。


「ンッ! ンー!」


 涙目で許しを請いでいるが、口を塞いでいるので何を喋っているのか分からない。あ、さっき言ったのだけじゃ足りない、ってことか……スライムも入れておこう。


「ンー……ンー! ンー!」

「じゃあ、式典の打ち合わせを始めようか」

「は、はぁ……分かりました」


 時間も丁度いい頃なので、式典の会場に向かうことにした。

 縛られている神様を連れてだが……。

     ・

     ・

     ・

     ・

「これより、魔王の一人を打ち倒した者である、ダイキ殿の表彰を始める!」


 周囲は一気にざわついた。ギルドマスターは最前列にいるようだが、ロインさんは来てないか……。今日なら会えると思ったんだけどな……。


「では、ダイキ殿。国王陛下の前へ!」

「はいっ!」


 呼ばれたので、事前に教えてもらった通り国王の前へと出た。


「今回は、魔王を一人で倒すという大義を果たしてくれ、国の代表として感謝を申す。本当にありがとう」

「有り難き御言葉」


 リエが笑ってるのが見えたので、帰ったら罰を増やさないといけないな……。どんなのにしてやるか……。


「今回の褒美として、そなたに侯爵の位を授ける!」

「有り難く受けとります」


 これで魔王軍についての件は終わりかな。

 んじゃ、次は……。


「今回だが、皆の者に嬉しき知らせがある……なんと、創造神様が下界に降りたってくれた! では、創造神様こちらへ」


 リエはそう言われると、国王の隣までやって来た。ギルドマスターや先ほど一緒に飲んでた連中は、顔が面白くなるほど驚いている。だが、それよりも縄で縛られているのは何故かという声が大きかった……。


「では、創造神様から有難いお言葉を……皆の者、しっかりと聞くように!」

「みんなー! 創造神でーす! 今は、ダイキくんの仲間として下界にいるので、ヨロシクねー! 因みにボクのダイキくんに危害を加えようものなら国を消すよ…………ダイキくんが!!」


「俺かよ! つーか、ありがたくも何ともねえな!」


 事ある毎にパシりのように使おうとするな。てか、みんな俺を凝視して顔が青ざめてるじゃないか!


「あ、ありがとうございました、創造神様……そして、もう一つ重要な話がある。しかと聞くように」


 騒がしかった周りが、再び静かになった。

 そして、国王と縄で縛られている馬鹿神に集中した。


「先ほど紹介したダイキ殿についてだが……なんと魔神、剣神、龍神様の称号を持つ三神である!」

「「「えぇー!?」」」

「ダイキ殿、再び前へ!」


 呼ばれたので、リエの隣まで来たが、リエのドヤ顔が更にウザくなっている。よし、ここは……リエに。


「帰ったら罰のレベル上げるからな……」


 リエの耳元に小声で囁いたが、顔を真っ青にして震えている。


「えっと、紹介にありました。三神こと、Sランク冒険者のダイキです……以上!」

「随分と個性的な挨拶ですな……では、これにて式典を終了致す!」


 なんか色々あったが、式典は無事に終了した。式典は、だが……。


「はぁ、ボクは疲れたよー! 早く帰ってご飯にしよう!」

「そうだな、早く帰ろう……お楽しみはこれからだしな……」

「「「ふふふ……」」」

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     ・

「グスッ……すみませんでした……早くここから出してくださいダイキ様達……」


 俺達は家に着くと、縛られているリエを問答無用でスライムがたっぷりの棺桶に入れて物置に突っ込んでいた。


「仕方ないな……あと、1時間で解放してやるよ……」

「あぁ……カサカサ言ってる……ネバネバしてネチャネチャしてるよ……あ、そこは入っちゃらめぇ……」


 それから1時間後、ちゃんと解放されたリエだったが、翌日ギルドで同じように発見されたので……再び物置に突っ込まれることになった。

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