プレゼントは……
※2020年5月14日 文の書き直し終了
魔王を倒した後、ワープを使って家の前に戻った。
連戦だったこともあり身体が重い。
「はぁー……疲れた。ただいま___ぐわっ!」
扉を開けると、中から謎の物体が飛び出して来た。そして、俺の腹部にダイレクトアタックをくらわせてきた。
ついでに意識も途切れた……何なんだよー!
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「あははっ! 君は本当に災難だね!」
見覚えのある白い部屋にいた。そして、この声ってことは間違いない。神界か……いくらなんでも早すぎるだろ。
「せっかく魔王の一人を倒して家に戻ったら、仲間に体当たりされて気絶するなんてね! アハハッ、笑いすぎてお腹痛いよ」
「お前は本当に失礼だよな……で、何で1日も経たずに呼ばれたんだ」
これが一番重要な事だ。異世界に召喚された奴の中で、ここまで神に短期間で沢山呼ばれる奴は滅多にいないだろう。
それに、ただ気絶しただけなら、ここには来ない筈だ。
「ごめんねー! 暇だったからさー。君も気絶してたしちょうど良いかなと思ってね」
「暇だったから、って……仮にも神だろお前」
「えー、別に良いじゃん! 僕だって話し相手の一人や二人欲しいんだよ〜! この話の後、すぐに休暇も入るしさー」
神にも休暇なんてあるんだな……てっきり、働きっぱなしのブラック企業かと思ってた。
「さすがにそれは辛いよ……でも、約1000年ぶりの休暇だからブラックって考えたら、ある意味ブラックだねー!」
「マジかよ。そんな所で働きたくないな。ていうか、休暇って事はこれからお前と会わなくなるのか」
「そこは安心して、秘策があるから! フフフ……」
こいつが考えるって、嫌な予感しかしないのだが。
まあ、俺に被害がなければ別に構わないか……あったら殴る。
「じゃあ、話がずれたけど魔王討伐おめでとー! 君にはプレゼントが用意してあるから楽しみしててね!」
「まあ、貰えるものは貰っとくか……」
「それと、魔王の話しをしようかな。どうする、聞く?」
聞いて損はなさそうだし聞いとこう。どちらにせよアストに聞くことになっただろうから。
「僕たち神にとっての魔王は、ゲームのバグと云う話しをしたのは覚えてるよね。なんで魔王が誕生したのかを話そう」
あっ、これ長くなるタイプだ……でも、仕方がないんだよな。
覚える自信はないけども。
「魔王が誕生したのは、今から約1000年程前の出来事なんだ……」
神々の世界には、善神だけがいる訳ではない。幽閉されている悪神もいる。
ある時、その中の一柱が、ある事件を起こしてしまった。
その悪神は、沢山の人の命を奪ったので幽閉される事になったのだが、奪った命の在処は誰にも分からなかった。
だが、すぐに分かることになった……。
ある世界の五人の魔族の中に埋め込まれていた。その内の4人は、膨大な力を得て魔王となった。しかし、残りの1人は悪神の力も得て、邪神と化したのだ。
邪神達は、その世界を破壊し尽くし、多くの命を奪った。しかし、人間の国が、別の世界から一人の男を勇者として召喚した。
その男は、人間とは思えない強さで邪神達と戦った。両者ともボロボロとなったが、勇者は最後の力を振り絞り、邪神を世界の果てに封印した。
魔王達は、邪神を失ったことにより、仲間割れを起こし、各地に飛び去った。魔王達は、力を消耗した事により、長き眠りについた。
それから数百年後、復活した魔王達と人間との戦争が始まった。その戦いで人間側は、過去のように別の世界から勇者を召喚した。
「で、その勇者が君たちって事だよ」
つまり、神達の不手際ってことか。
酷い話しだ……俺達は神の尻拭いをするために召喚されたようだ。
「えー! 酷いな〜。僕達だって頑張ってたのに」
「結局のところは、悪神のやった事を事前に阻止出来なかったお前らの責任だろ」
「まあ、そうなんだけどね……」
「でも、過去に召喚された勇者の人凄いな。邪神を封印したんだろ。かなり勇気のある人だな」
「まあ、君のお爺ちゃんなんだけどね」
「は? 爺ちゃんが」
どういう事だ。そんな話ししらない。
というか、爺ちゃんはこの世界に召喚されていたのか。
「うん、亡くなった後に身体を若返らせて、そっちに行ってもらったの。格好よかったよー! 一人で邪神と対等に戦ったんだから〜」
「マジかよ。爺ちゃんは異世界で勇者をやってたのか……」
「まあ、こんなとこだね。あ、もう時間だ。それじゃあ頑張ってね。君の使命は邪神を倒すことだから。じゃあ、またねー!」
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目を覚ますと、ベッドで横になっていた。
そして、周りを見ると、アストとエミリがベッドの側に立っている。
「あ! ダイキ様。目を覚ましたのですね!」
「まったく……心配したのですからね。マスター」
「あぁ、すまなかったな。二人とも」
ちゃんと戻ってこれたんだな。無事に戻ってこれたなら良かった。
「で、聞きたい事があるのですが……」
急にアストの顔が険しくなった。
なんだ……今度は何をやらかした。
「その、横に寝ている女性は誰ですか。マスター……?」
横に寝ている女性? なに言ってるんだ。横に女性なんて……いた……青髪ショートの女の子が。
「え、誰だ。この子」
アスト達に目を向けるが、二人も分からないらしい。
見た感じ、俺と同い年か。でも、こんな子知らないぞ。
「んー、よく寝たー!」
そうこうしてる内に目を覚ましたらしい。
本当に誰なんだこの子は。でも、この声は聞き覚えがあるような……。
「起きたばかりで悪いが、聞きたい事がある。君はいったい誰だ」
「んー? ボクの事は、ダイキくんが良く知ってるはずだけどなー」
マジで誰だよ……さっきからアスト達の目線が怖いんだが。若干、黒いオーラ纏ってるし……。
「じゃあ、こう言ったらわかるかな? プレゼントは……わ・た・し」
「プレゼント、って……はぁぁぁ!?」
え、嘘だろ……嘘だと言ってくれ! あいつが可愛い女の姿で横に居るなんて。
「ふふふ……嘘じゃないんだなー! これから毎日会えるね、ダイキくん!」
「あぁ……そうだな……創造神……」
こうして、俺の異世界生活にまた一人、メンバーが増えたのだった……。
創造神「可愛くて最強の美少女ここに爆誕!」