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過去と今

今回は、ダイキのこれまでの人生の回想シーンです。

※2020年5月12日 文の書き直し終了

 いつも一人だった。家でも、学校でも。

 初めて心から泣いたのは5歳の時だ。その日は、両親と一緒に遊園地に向かっていた。だけど、向かっている途中に事故にあった。その事故で、俺の父さんと母さんは死んでしまった。

 事故の原因は、相手の車の飲酒運転だった。俺は葬式の時、ずっと泣いていた。始めは「なんで俺の父さんと母さんが……」と思っていた。だけど、それ以上に悔しかった。


 その後、親戚の家に引き取られた。

 それからの生活は酷い毎日だった。転校先の学校では毎日のように嫌がらせを受け、従姉妹には虐められた。最低限の暮らしは出来たが、俺の居場所は何処にも無かった。


 中学生になっても相変わらず酷い毎日だった。

 家では、亡くなった父さんと母さんを馬鹿にされ、暴力を奮われた。学校でも暴力や典型的な虐めを受けるようになっていた。

 誰かが、「人には大抵好きな奴がいる」と言っていた。だが、人を友達としてすら好きになる事はなかった。

 友達になった者は、みんな俺を裏切り突き放した。

 それでも精一杯耐えた。暴力を奮えば、彼奴等と一緒かそれ以下だと自分に言い聞かせて。

 何度も死にたいと思った。でも、出来なかった。

 いざとなると、体が震え、事故に遇って血を流していた両親を思い出した。その度に、何度も吐き気を催した。

 ____耐えた。

 苦しみ、悲しむ度に、何かが傷付き崩れていくのを感じた。


 高校生になって、他県の高校に進学した。

 そこでは暴力などは受けなかった。だが、からかわれたり、教科書への落書きなどの精神的な虐めは嫌と言うほど受けた。

 結局、何も変わらなかったのだ。


 何がいけなかったのか、どこで道を間違えたのか。

 誰も味方はいなかった。先生や大人達は話しを聞いてくれなかった。

 いつも一人で泣いていた。あの日から数えきれないほど泣いていた。


 そして、この世界に来てから俺の運命は大きく変わった。

 初めて心から笑いあえる知り合いができた。だけど、信頼することはできても、信用することは出来なかった。

 だから、ギルドに呼ばれた時、二人には家に居てもらった。冒険者の皆には一人で行かせてくれと頼んだ。

 そして、あることに気づいた。

 人の体は傷付いても治る、例えどんな傷だろうと。だが、心は違うのだ、傷付き崩れ去った心は治らない。

 その苦しみは一生変わらない。


 これが俺の過去と今。__木村大輝の苦しみ。

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