1日で再会って…
※2020年5月11日 文の書き直し終了
朝起きたら、女の子の顔が目の前にあった……なぜだ。
俺は、昨日の夜の事を思いだし始めた。確か、エミリを部屋に呼んで、エミリに家の管理を任せることにしたんだ。それで、疲れが一気に襲ってきて、そのまま眠りに着いたんだった。
「あー、あの後すぐに眠くなったんだったか……でも、何で膝枕?」
そこが分からなかった。起きてた時点では、膝枕をされていた記憶はない。つまり、眠った後に膝枕をする形になったという事だ。
「ということは、眠って前に倒れたらエミリの膝だったのか。ベッドの上に座って話してたのが失敗だったか」
「ん、ん~……」
そんな事を考えていると、エミリが目を覚ました。さて、この状況をどうやって切りぬけるか。
「あれ、ダイキ様……?」
「あ、ああ……おはよう」
「なんで、わたしの膝に……たしか、あの後……」
何かを思い出したらしく、エミリは顔が真っ赤になった。そして、部屋から一目散に出ていった。
「し、失礼しました~!」
__バタン、っと扉が閉まる。まだ眠かったので、再び眠りについた。若いとはいえ、いきなり異世界で暮らすことになったことに体が疲れを感じないわけないか。
「あとで……エミリに謝んないと………ん、誰だ……」
誰かが部屋に入ってきたようだが、眠気には勝てず眠ってしまった。
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気が付くと、そこは前に訪れたことがある場所だった。たった1日で訪れるって……そんなに暇なのだろうか。
「で、なんで俺は呼ばれたんだ?」
「あはは~! 何ででしょうねぇ~?」
姿は見えなかったが、いるのだけは分かった。
そう、この世界に来る直前に会った神がいる。
「知るわけないだろ……ていうか、夢の中でも会えるのかよ」
「じゃあ、ヒントをあげよう! ヒントは……君の仲間について!」
というと、アストの事か。体だけとはいえ、ホムンクルスはあっちの宗教的なのでは禁忌だったな。
「あ、一応言うけど、アストちゃんの事じゃないから。ホムンクルスは人が犯すと禁忌だから、仮にも称号に神がある君が使うのは問題ないよ」
「そういえば! どういうことだ! あれ!」
すっかり忘れていたが、あのステータスは何だ。新手の苛めか何かなのか。だとしたら、断固抗議だ。
「酷いな~。親切心でやっただけなのに~!」
「お前は、大きなお世話という偉大な言葉を知っているか?」
「当たり前でしょ~。僕は神の中でも最上位の神である、創造神だよ。その言葉だって、僕が広めるように指示したんだから~」
マジか。創造神がこれって……世界終わるんじゃないのか。
まあ、終わったら終わったで大変なのだが。
「まぁ、世界が終わるって事は否定しないね。だって、今まさに魔王が世界を壊そうとしてるからね~」
「つまり、魔王もお前が作ったんじゃないのか」
「それは違うよ。一言でいうと、魔王はバグみたいな存在なんだ。君たちの言うゲームは、神がいう世界みたいな物だからね」
まあ、なんとなく理解した。
つまり、世界は神の暇潰しの道具ってことか。迷惑な話しもあったもんだ。
「なんで、僕のイメージはそんなに駄目な感じなの~! 僕だって頑張ってるんだよ。その為に、君の元居た世界を作ったんだから」
やっぱり、暇潰しに世界を作ってる気がするのだが。
とりあえず、この神を信用するかどうかは今後次第だ。
「酷いな~。もう! 僕だってお仕事頑張ってるのに。ぷんぷん!」
「男がぷんぷんとか、マジで需要ないぞ……」
「残念でした~! 僕には的確な性別が存在しないのでぇ~す! だから男にも女にもなれるのだ~!」
うわー、なにその無駄な要素。人によっては喜ぶかもだけど、大抵の人には需要ないぞ。
「もぉ~、人が変態みたいな言い方して~」
「いや、お前は人じゃないだろ」
「例えばの話しだよ~! 居るよね~。そういう細かい事を気にする人~」
何なんだよ、本当に。
この前よりも、さらにウザくなってる。
「あ、それよりもさっきの話しの続き!」
「あ~! そういえば!」
こいつには調子を狂わされる。
もう少し大人しくしてればいいのに。エミリと足して割ったら丁度よくなりそうだ。
「も~、また君は、神をこいつ呼ばわりして~」
「はいはい、早くしろよ」
「面倒だから答えるね~。答えは、エミリちゃんの正体について!」
エミリの正体? 何を言ってるんだこいつ。
エミリは、獣人の村の生まれの普通の獣人だろ。
「それが違うんだな~! エミリちゃんはななんと!」
「なんと?」
「神の子供でした~!」
「は?」
エミリが神の子供? ついに頭までおかしくなったのか。アホなの、バカなの? さすがにジョークにしては度が過ぎる。
「酷いな~。君だって知ってる神様だよ~?」
「俺でも知ってる? 俺はこっちの神なんて誰一人知らんぞ」
「こっちの神様じゃないよ~。君の元いた世界の神様だよ~」
駄目だ……元の世界の神も全然しらない。
知ってるとしたらゼウスとかそんな辺りだぞ……。
「君が何で適正者なのか分からなくなってきたよ……」
「フフフ……俺だからだ!」
「本当に何でだろ……」
「で、エミリはどの神の子なんだ?」
「それはね……なんと、稲荷神だよ!」
稲荷神っていうと、たしかお稲荷様とかって呼ばれてるあの神様か。確かに有名な神様だ。
「そうそう。しかも、隠し子というレアキャラだよ!」
「うわー、関わったらヤバいのだったか……」
「いや、大丈夫だよ。別に隠し子っていっても、人間から存在を隠してるだけで神達は全員知ってるから」
神様達の公認ってどういうことだよ。てか、隠し子なのに隠してないし。
「だから、命の心配とかはないよ」
「でも、いいのか? 人間の世界に子供を放棄して」
「僕達は基本的に、子供には自由に過ごしてもらおうと考えているんだ。だから、その子がどんな生涯を遂げてもその子の責任だよ」
「俺が関わっても良かったのか」
「君は特別だよ。なんたって、君は、魔神、剣神、龍神という三つの称号を手に入れたからね」
「それでどうしてだ」
「神の中でも、三つの称号を持っているのは結構レアでね。あわよくば、自分の夫にしたいと考えている者もいるよ」
なんじゃそりゃ。
なんだ、俺に自由は無くなるのか。酷い話しもあったもんだ。
「君が良ければ、僕が貰ってあげるよ? 僕は、いつでもバッチコイだよ!」
「いや、姿も見えない奴と結婚なんて出来るか」
「え、姿が見えたら良いの?」
「場合によるな。だが、俺は男と結婚する趣味はないからな」
「ふふふ……分かったよ」
じゃあ、話はこれで良いのか。
ずっとここ居ると、感覚がおかしくなりそうだ。
「うん、大丈夫だよ」
「じゃあ、お稲荷様に子供は責任を持って預かる。そのうち会いに行きます、って伝えといてくれ」
「はいはい、君も過保護だね~」
「うっせ、じゃあな」
「うん、またね。ダイキくん」
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目覚めると、また横に違和感があった。
なんだ、誰かいるのか。もう、既に嫌な予感しかしないのだが。
「ん~……マスター。それは醤油じゃなくてソースですよ……」
どんな夢を見てるんだアストは……まあ、寝かしといてやるか。
んで、反対側にも何かいる。
いや、そんなまさか、な……。
「ダイキ様……それは下着じゃなくて水着ですよ。まったく、ダイキ様はドジなんですから……ふふふ」
こいつら揃いも揃って、どんな夢見てるんだ。
まあ、少なくとも悪い夢を見てる訳じゃなさそうだ。これから世話になるんだし、これくらいは良いか。
こうして、俺も二度寝ならぬ三度寝をした。
アスト「むにゃむにゃ……」
エミリ「むにゃむにゃ……」