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テンプレといえばナンパ男だよな!

※2020年5月9日 文の書き直し終了

 俺は、アスト達と一旦別れ、防具を買う為に再び武器屋に来ていた。

 武器は買ったのだが、防具を買うのをすっかり忘れていた。


「お、さっきのSランクの坊主(あんちゃん)じゃねえか」

「武器を買ったのはいいものの、防具を買い忘れていたんで」


 アストにも防具が必要か聞いたが、必要ないらしいので、今回は俺の防具だけを買いに来ていた。


「じゃあ、防具はこっちの部屋だ。自分の命を守るもんだ、じっくり選ぶんだな」


 そう言われると、おっさんに連れられ、店の奥の防具やアクセサリーのある部屋に案内された。種類は様々で、派手な装飾が施されたものから初心者向けの物まで沢山あった。


「武器と同じく、ここにある防具とかアクセサリーは全部売りもんだ。好きに見てくれて構わねぇよ」

「ああ、分かった」


 防具関連の棚を見た。

 色々と見てみたが、どれも良い物なのは確かだが、しっくりこない。いちおう、ローブ関連の棚も見てみる事にした。


「そこまで性能がいいのは、無いか……ん?」

「どうかしたか?」

「あそこに飾ってあるローブは?」


 壁に飾ってある一着のローブが目についた。色は青がメインで、肩には金属製のプロテクターが取り付けられていた。


【ドラゴン製のローブ】

・防御+3000 ・全属性耐性LV10 ・自動再生

・使用制限???(使用者LV100以上)


 おそらく、肩のプロテクターはドラゴンの鱗を溶かして固めた物だ。鑑定した限りでは、性能も申し分ない。


「ああ、あれか。一応売り物なんだが、制限があって使える奴が居ねぇんだよ」

「その制限は分かっているのか?」


 俺は鑑定で分かるが、他の人などはどうなのだろうか。

 鑑定するとなると、どのくらいのスキルレベルが必要なんだ。


「それが、鑑定のレベル7でも分からなかったらしい。最低でもレベル8以上の鑑定スキルでないと制限は分からねぇな」

「そうか。で、いくらなんだ」

「まてまて、話を聞いてたか? 制限があって誰にも使えないんだって」

「まあ、いいから。で、値段は」


 早く買って新居を見たい。

 こんな所で時間を掛けている暇はない。それに、アスト達のことも心配だから。


「たくっ……わかったよ。金貨100枚で売ってやるよ」


 まあ、使えないとはいえ、かなりのレア物の筈だからか。

 性能とかと比較しても妥当な値段だ。


「ほら、金貨100枚」

「ほらって、金貨100枚って普通のAランク冒険者の月収と同じ額だぞ……いくらSランクだからって、こんなホイホイ出すかよ」


 金貨を渡すと、掛けてあったローブを手に取り、服の上から羽織ってみた。羽織るのにも特に問題なかったので、大丈夫だろう。


「なかなか着心地がいいな。このローブ」

「何で着れるんだよ……制限の条件でも知ってたのか?」

「さぁ、想像にまかせるよ。まあ分かっても、大抵の奴は着れないと思うけどな」

「そうかい……まあ、使ってくれる奴が居るだけありがたいけどな」


 俺は、ローブを着たまま武器屋から出た。後はアスト達の所に向かうだけだが、先に食料を買っておくことにした。


「いらっしゃい! 何を買っていくんだい!」


 八百屋のおっちゃんのテンションは、こっちでも高いらしい。あと、野菜は大体同じものがあった。


「じゃあ、これとあれとそれと……それで」

「おお! ありがとな! ほれ、沢山買ってくれたおまけだ!」

「はぁ……ありがとうございます」


 その後、同じような感じで一週間分くらいの食材を買って、アイテムボックスにしまった。アイテムボックスって本当に便利だな……今のところは量とかも問題ないし。


「さてと、あとアスト達の所に行くか」


 アスト達との待ち合わせの場所に着いたのだが。。

 そこには、ボコボコにされたチンピラ達と、その側で拳を血に染めるアストがいた。


「アストさん? これはいったい………」

「あ、マスター! これはですね。チンピラ達が、エミリさんを無理矢理連れて行こうとしていたのを止めたら殴りかかってきたので、正当防衛ということで殺らせていただきました」

「そうか。だが、これは流石に過剰防衛だぞ。あと、お前らもこれで懲りたらナンパなんか止めとけ。少なくとも、俺よりいい男なんだから勿体ないぞ」

「「「は、はい! すいませんでしたー!」」」


 これも異世界のテンプレだよな。

 可愛い子を連れてるとナンパ男が発生する。だけど、あいつらもこれでナンパなんかしなくなるだろ。

 それにしても、拳を血に染める女ってかなり怖いな。


「で、エミリはどうした」

「は、はい……ここです」


 そこには、年相応の格好をしたエミリがアストの背後から出てきた。正直に言ってとても可愛い……これは、またナンパされないように気をつけないと。


「あ、あの……どうですかご主人様……」

「ああ……凄い可愛いと思うぞ」

「は、はい………ありがとうございます……」

「では、そろそろ新居に向かいましょうか。マスター?」

「は、はい」


 心なしかアストの笑顔が恐い。

 なんだ、今度はなにをやらかした。理由を考えているうちに、屋敷へと到着した。


「あ、あの~。なんでこんな貴族様が住んでいるいるようなお屋敷に……」

「今日からここに住むからだ」

「こ、ここにですか……!」

「ああ、なんか不満か」

「い、いえ! 滅相も御座いません!」

「じゃあ、入るか」


 入ってみたが、案外屋敷の中は綺麗に掃除されていた。

 一応調べたが、幽霊がいるとかそんなことはないらしい。


「わあ~! 凄いです!」


 エミリは、耳をピョコピョコさせながら中を見ていた。機会があれば、じっくりその耳を味わいたい。


「ご主人様は貴族様なのですか?」

「そんなんじゃない。言ったろ、冒険者だって」

「で、でも。普通の冒険者様はこんなお屋敷に住むような事は……」

「そうだな。だが、金の心配はないから安心しろ」

「は、はい……」


 エミリも少しずつ元気になってきたようだ。

 まあ、元気がないよりは何倍もいい。


「さてと、俺は倉庫の方に食材をしまってくるから、自分達の部屋を好きに決めて来てくれ。俺は余った部屋でいいし、地下室があったらそこが良いな」

「そ、そんな、わたしなんかの為に部屋を用意するなんて……私は物置で十分ですよ……」

「それじゃ俺の気が休まらない。頼むから普通の部屋にしてくれ。それに、住むのは俺達3人だから部屋は余るようにある。だから心配するな。今日から家族なんだから」

「は、はい! ありがとうございます!」

「アストもそれでいいか?」

「私は、マスターの言った事が全てですので」


 アストは簡単に聞いてくれて助かった。それじゃあ、食材しまいに行くか。

 そんなこんなで、俺の……いや、俺たちの異世界生活は始まった。

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