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勇者と魔王は、女子高で青春を謳歌します。  作者: 六錠鷹志
第二章 女子高にお世話になる2人、キッカケは使用済みパンツです
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2 勇者と魔王は、女子高前でごたつきます

 悲しそうな呻き声を発しながら、女生徒は走るのをやめてしまった。

 その場で立ち止まり、両手で目を覆い泣いている。うずくまらないのは正しい。また見えてしまうからな。

 マオは、俺に笑顔を向けて気が付いたことに同意を求めてきた。


「ぼーぼーでしたね、ユウさん」

「あぁ、そうだな。ちなみに俺は、あんなに生えてないぞ」

「わっ(わたくし)もですよ。つるつるですよ」


 あーあ。もっと泣いちまったよ。マオは悪くないが、少しずつ人族の常識を覚えないといけないかもな。マオはマオのままでいいんだけど今後人族と関わるかもしれないし。トラブルは避けたいしな。

 パンツを頭にかぶろうとしたマオに俺は、それはパンツだよって教え……今思ったがあの女言っていなかったか。私のパンツがどうのこうの。

 そう思ったとき、体操服姿の女学生がやってきた。女学生は、うずくまっている彼女に明るく話しかける。


「ねー。ケフィーなんで泣いてるんすか。ノーパンチラ見せプレイしといて泣くとかどんだけレベル高いんすか」


 励ましの言葉とかじゃないのかよ! トドメさしてどうするんだ。

 しかし、ケフィーと呼ばれた彼女は立ち上がると、強気な声を出した。意外と励ましの言葉だったのかもしれない。


「なっ、あ、あんたは何でそうなのよ! チャー!」

「あっ、泣き止んだ。そうだ、マオ。それは下着なんだ。彼女にはかせてあげなさい」

「そうだったのですね。畏まりました。はかせて参ります」


 マオが頭からパンツを取り、ケフィーに近づく。

 しかし、チャーと呼ばれた黒髪眼鏡の女学生は「はかせるはかせる、はかはか……はか」と呪文のように呟くと、閃いたようにポンっと手を打ち「なっなんだってぇぇ!」と叫んだ。


「破〇! 〇瓜しちゃったの? 破っちゃったの? 初めて失っちゃったのぉぉ、ケフィー?」

「ばっばか。私はまだ「ぴー」女よ! チャーが私のパンツ飛ばしたんでしょうか。もう忘れたの、てかあんたもはかせようとしなくていいわよ。貸して」


 マオからパンツを取り返そうとしたケフィーは、マオに阻まれる。


「いえ、ユウさんに頼まれたのです。(わたくし)がはかせてあげます。私の仕事です」

「そんな仕事があってたまるか! プレイでも聞いたことないわよ!」

「断っていいんすか、ケフィー。こんな可愛いネ・コ・ミ・ミつけた女の子にしてもらえるんっすよ。本望でしょ。パンツはくと碌なことにならないって言おうと思ったけど、これはナイスな展開じゃぁないっすか」


 「ちょっ、そこの男! この女に言ってやってよ」と俺はケフィーに言われ、プチ切れた。

 ちなみにマオは、まだケフィーにパンツをはかせようとしている。 


「この女とはなんだ! マオだ、マオ! ちゃんとした名前があるし、顔も可愛い。性格も良くて全部が可愛い。ちょっと成長が遅いかもだけど、背が低いかもだけど育つとこは育ってんだぞ。おっぱい大きいんだぞ」

「そうです。おっぱい大きいんです」

「ちょっとあんたワンピの下、ブラしてないの! 乳首の自己主張激しすぎでしょ!」


 マジで?

 俺は、マオの胸に視線を走らせた後、ケフィーに向き直った。


「うっせぇ、無乳(むにゅう)

「そうです。おだまりなさい、無乳」

「ちっがうわよ、無乳じゃないわ! 変乳(へんにゅう)よ! 私は!」


 変乳とはなんだと突っ込みを入れる前に、チャーは黒縁の眼鏡をくいっ、として言う。


「ケフィー、そんなムキになって恥ずかしくないんっすか。筋増えるっすよ。秘部じゃなくて、顔のっすけど」

「心配いらないわよ! もう吹っ切れたわ!」

「……そんなに突っ込んでつかれねぇのか」

「単に返しているだけよ! 突っ込んでほしいならちゃんとボケなさい!」


 ケフィーは案外付き合いがいいのである。そう思う。


「はいはーい、ケフィーに突っ込みたい時はどうすればいいんっすか」

「それは、まぁ。私の心を射止めたらいいのよ。頼りになる人がいいわ。その人なら私の「ピー」女を「ぴー」して「ぴー」「ぴー」てもいいってか、ハイブ! 言いたいことがあるならこっち来なさい。あんたもとっととパンツ返してえっえ、」

「とぉぉ」

「ああぁぁぁぁぁぁぁん」


 マオがいきなりパンツを持ち上げたのだが、勢い余って食い込んでしまったようだ。ケフィーの頬は熱っぽく。多感で敏感で感じやすい人なんだな、というよりもケフィーは付き合いが本当にいいなと思った。わざわざマオがはかせられるようにマオが広げたパンツに足を通して待機していたのだから。

 そんなことを思っていたら、ハイブと呼ばれた女学生が木陰から現れた。赤茶色の髪を編み込んだハイブは手に黒い箱を持っている。

 突起物が多くついているが何をどう使うのかわからないが、どうやらそれが「ピー」音の正体ということはわかった。


「……れすた」

「……ん?」

「……むぅ?」


 俺とマオが首を傾げながら、ハイブに続きを促すが無言のままだ。


「あぁ、ハイブは全然しゃべらないのよ。だからその時は周りを見渡すとかして……あっレスタせんせ」


 駄目だと思い俺とマオは一緒にケフィーに顔で問うと、ケフィーは首を回しある方向で止めた。その方向を見ると街で出会った女がいた。


「あぁぁぁ、お前ネコミミの……」

「あなたは私を脱がそうとして諦めたヘタレね」


 ん? いやお前からはネコミミをもらっただけなのになんでそうなる。そもそもレスタって名前今知ったし。先生ってのも。

 ケフィーたちがいやそうな目で見つめてくる。

 俺はドキドキしながらマオの顔を見るとーー


 「うぅん?」


 --よくわかっていなさそうにコテンと首を折って、顎に手を当てていた。

 かわいいから許す、いや許してもらうのは俺だって。でも、マオ良く分かってなさそうだし、大丈夫だろう。


 俺は少々テンパったまま、「詳しい話は校長室でな」と連行されたのだった。


 ーー学校という忌まわしい施設へと。




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