決闘
ガンマン二人は決闘をする事になった。
使用するのは六連発式のリボルバー。有効射程距離は一〇メートル。
だが、ガンマンAは五メートル以上離れた的に命中させる腕がなかった。対するBは一〇メートルの距離なら百発百中の腕前。
誰が考えても勝敗は明らかだった。野次馬達はBの勝利にばかり賭け、頭に来たAは自分に有り金全部を賭けた。
そして、決闘当日。逃げずにやって来たAに、Bは不敵な笑みを浮かべた。
「先に抜けよ。ハンデだ」
「いいのか? 悪いな」
互いの距離は一〇メートル。Aの腕ではあと五メートル接近しないと当たらない。
誰もがそう思った。野次馬はもちろん、Bも。そして、A自身も。
Aが腰のホルスターから銃を抜き、Bに銃口を向ける。
刹那、Aの銃の銃身がシャカシャカッと伸びた。伸びた銃身の先端が眉間にコツンと当たり、Bは目を丸くした。
「これなら外さないぜ」
「ちょっ、待て! こんなの卑怯……」
それがBの最後の台詞だった。
大儲けをしたAは、二度と決闘をする事もなく、幸せに暮らしたという。