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廻転世界録エンドレスワールド  作者: 江流グレコ
第1章 意志や希望の集う場所
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1話 放課後の決闘

初投稿です。至らない点も多々ありますが

よろしくお願いします!

剣と剣が交わり、乾いた音が鳴り響く。


部屋には剣を持った二人の男と、

その他大勢の観戦客で満ち溢れていた。


第四訓練室と呼ばれるその部屋は、主に

生徒たちの自首室として使われている。

広さは普通の教室四つ分程で、床や壁は石畳

という簡素な造りとなっている。


部屋の中央は砂場となっており、本来ならば

武器の練習用の木の的が立っているのだが、

今は全て部屋の隅に片付けられている。


その何もない砂場で二人の男が剣を構えて

向き合っていた。


剣とはいっても二人が持っているのは

練習用の重りのついた木剣である。


「やめるなら今のうちだぞ?」


木剣を優雅に構えた長身の男がそう言った。

くすんだ金髪をオールバックにした男だ。

精悍な顔立ちからか鷹などの猛禽類の様な

鋭い雰囲気を纏っていた。


「そっちこそ。尻尾巻いて逃げるなら今はうちだ!」


金髪の言葉に対して煽る様に茶髪の男が返す。

茶髪は金髪と同じく木剣を構えており、

目にかかるかどうかの長髪の男だ。

目つきが鋭く身長は金髪より少し低い。


「さもないと毛を刈られた一角ヒツジみたいに

してやるぜっ!」


茶髪が凶暴な笑みを浮かべ挑発する。


「ふっ、面白い!」


それに対し、金髪は余裕げに笑う。


ちなみに一角ヒツジとは大きな一本角を持つ

家畜で、毛を刈られると寒さでブルブルと

面白いくらい震えるのだ。


「さて、いくぞっ!」


金髪のその言葉と共に空気が張り詰める。

剣を構えた両者が睨み合った。


そして、ジリジリと焦ったくなる程ゆっくりと

距離を詰め合う。


痛いくらいの沈黙が場を支配した。

しかし、それは長く続かずに破れる。


「はあっ!!」


茶髪が声を張り上げて地面を蹴る。

その反動で一気に前へ跳び、勢いを殺さぬままに

剣を縦に振り下ろした。


瞬間、再び乾いた音が鳴り響く。


金髪が剣の腹でその一撃を防いだのだ。

防がれたと知るや否や茶髪は更なる一手を放った。

左足を軸に回転し、右足を振り上げる。

所謂、回し蹴りが金髪の腹に吸い込まれた。


「うぐぅっ!?」


ゴッという鈍い音と共に蹴りが炸裂する。

思わず顔を歪める金髪の男に茶髪が

追い打ちをかける。

剣が大きく振りかぶられ、そして振り下ろされた。

しかし、金髪はニヤリと笑った。


「甘いっ!」


可能な限り身を屈め、金髪は全体重を肩に乗せて

茶髪へと突っ込んだ。

それはタックルというにはあまりに低い。

猪の突進の様な一撃が、剣の軌道を掻い潜り

茶髪の足を捉えた。

その衝撃により茶髪は数歩下がってたたらを踏む。


そんな隙を茶髪は見逃さない。

タックルから体勢を立て直して金髪は

剣を茶髪へ袈裟斬りを放つ。


木剣同士が擦れ、また乾いた音が鳴り響く。


「くぅっ…!」


不安定な体勢の中、茶髪は無理矢理に身体を

捻じ曲げ、辛うじて攻撃を防いだのである。

だがその結果、茶髪は更に体勢を崩した。


金髪はこれを好機と捉え、次なる一手の構えをとる。


「これで終わりだっ!」


金髪は声高らかに告げる。


「勝手に終わらすなよ!」


茶髪はそう言い返し、右足を地面に刺した。

砂の地面はサクッと小さな音を立て、

右足を底の方まで沈める。

そして勢いよく右足を振り上げる。

それにより砂が打ち上げられ、砂は矢の様に

真っ直ぐ金髪の顔にかかった。


「うおあっ!?」


眼に砂が入り思わず手で顔をおさえる。

その間に茶髪は後方へ下がり体勢を立て直す。


すぐに金髪も立ち直り、いささか充血した眼で

キッと茶髪を睨みつけた。

そして息を吐くと、力強く地面を駆けて

一瞬にして茶髪の前に現れる。


茶髪は驚き、咄嗟に剣を振るう。

両者の剣がぶつかるであろう瞬間、金髪は

ステップを踏んで茶髪の真横へ跳んだ。

茶髪の剣が宙を食む。

金髪はそれを見てニヤリと笑うと、片足を軸に

舞う様に回転しながら剣を押し出す。

鞭の如くしなる剣が茶髪へと迫る。


「強すぎだろっ!」


茶髪は悪態をつき……


……ガコンッ!!


……意識を失った。

いかがだったでしょうか?

もし誤字脱字等がありましたら

感想の方にでも報告していただけると恐縮です。

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