異質
それはいつも唐突に始まる。
「今日、空けとけよ。」
私はいつも待つだけ。
悪く言えば私に決定権は無い。
だけど自分の置かれている状況はよく理解しているつもりであり、私はそこまで馬鹿ではない。
『ええ、こっちでいいの?』
「・・・ああ。今日はそっちへ行こう。」
今回はカフェの一角。
この前は学校だった気もする。
「なあ、お前さ。いいわけ?」
何が?なんて聞くほど馬鹿じゃない。
『別に。あなたが求めたんじゃないの。私に決定権があって?』
湯気がまだ出ているコーヒーを一口飲む。
そして目の前に座っている男、西村 凪の目を見る。
「そうかよ。」
『ええ、そうよ。』
言い忘れていたが私たちは立派な高校生である。
普通の高校生で、学校では普通に授業を受けている。
それは彼もおんなじことで、ちょっと言えばたまに授業をサボる程度。
「冷めてやんの。」
だけど普通の高校生と違うのは私達は少しだけ異質の存在だ。
『うるさいわね。もとからよ。』
周りの高校生と比べて顔立ちは整い、手足は細長く、色白な肌にふっくらとした薔薇のように赤い唇。睫毛は節目がちに長くカールしている。
彼だってほとんど一緒。
周りの高校生とは違う。
異質の存在たち。