第二話 クッキーはプレーンが一番
サブタイトルあまり関係ありません。
季節は風薫る五月、五月晴れの空に鯉のぼりが元気よく泳いでいる。
「というか前回の私の出番少なくない!?」
「いきなりそんな台詞から入らなくても・・・」
初っ端から五辻涼子が菜穂子に喰いつく。
「しょうがないじゃん~。五辻は脇役なんだから。」
千世子は平気で酷いことをサラッと言ってしまう。
「はぁ!?三木何それどういうこと!」
「ちっ違うよ。すずちゃんは脇役より・・・えっとヒラって感じだよ。」
「ヒラって琴子それフォローになってないだろ。」
琴子の天然ボケに侑子がツッコむ。
「それよりも五辻さん、さっき伊東先生が呼んでいたわよ。行かなくていいの?」
伊東というのは彼女らの担任教師である。
彼女の扱い方が上手い菜穂子のおかげで涼子はしぶしぶ伊東のもとへ行った。
「ふぅー、これで落ち着いてごはんが食べれるね。」
只今昼休み中、屋上で昼食の途中である。
今日のように天気のいい日は毎回四人で屋上ランチがお決まりなのだ。
「あれぇ?侑子、何食べてるの?」
千世子が侑子が持っている手作りクッキーらしいものを指さす。
「ん?あっこれはさっき後輩からもらったんだ。」
「相変わらずモテモテですねぇ~。このこの。」
千世子が侑子を肘でつつく。
侑子はそのルックスと姉御肌という気質で特に後輩からは大人気。
女子の後輩からは憧れを下級生の男子からは尊敬の念を抱かれている。
「だって侑子ちゃんかっこいいもん。この前なんてひったくり犯をグワッと。」
琴子がジェスチャーで背負い投げの真似をしてみせた。
侑子の家は剣道道場を営んでおり彼女は永山一刀流の跡継ぎである。
そのため幼い頃から剣の修行を重ねてきている。
彼女が凄いのは剣術だけでなく柔道・弓道もこなすいわば武道の達人なのだ。
「あたしはただ偶々その場にいただけだから。」
侑子は豪快に笑う。
「本当侑子ちゃんって後輩にモテるけど好きな男の子とかいないの?」
何気ない琴子の質問に侑子の手が止まる。
「・・・・・いない、そんなの。」
「ちょっと~今の間は何ぃ?」
こういう話には疎い侑子だが今日は何か違った。
「何かあったの?」
菜穂子の優しい問いかけに侑子が切り出す。
「実は・・・」
「「「えーーーーー!!!」」」
何とまぁ微妙な終わらせ方。