表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なゆちこ。  作者: 黒やま
二ノ巻
12/12

第十一話 閑話休題

「ほんとっ、昨日の体育祭では散々な目に遭ったよー。」


「まぁまぁ、琴子のおかげであれはまさに藤高史に残る

 伝説の体育祭として後世に名を残して――――――――――――――――」


「だからそれがダメなんだってばーーーーー!!」


鷹野(たかの)琴子(ことこ)永山(ながやま)侑子(ゆうこ)の漫才でいきなりの幕開けで始まったこれはなにかというと


今日は体育祭の翌日、つまり休みの日なのだ。


この休日の意味は本来は体育祭での疲れを残さず


次の学校の授業に集中してほしいというものであるのだが


彼女ら四人はただいま杜崎家にて歓談中である。


ひとつの長方形の白いテーブルを囲み昨日の体育祭について楽しく


盛り上がっているところなのだ。


「あら、琴子。私もあなたに感謝しているのよ。

 なんだって琴子のおかげで体育祭が盛り上がったも同然なんだから。」


「なっ菜穂ちゃんに褒めてもらっちゃったーー!やったー、うれしいー!」


「菜穂に褒めてもらっただけですっかり機嫌良くなっちゃうなんて

 本当琴子は現金な奴ねぇ~。」


「むぅ、それはちょこちゃんだけには言われたくない!」


三木(みき)千世子(ちよこ)は先程杜崎(もりさき)菜穂子(なほこ)が冷蔵庫から出してきたお手製のプリンを


頬張りさらにはその前に出されたチョコケーキを頬張り交互に食していた。


「ん~相変わらず菜穂のお菓子は美味しいねぇ。」


「ありがとう、ちょこがそう言ってくれると嬉しいわ。」


「何を隠そう私はお菓子マスターだからねぇ。」


「いや、全然隠れてないし。それにお菓子マスターっていうかお菓子食べマスターでしょ。」


「琴子、小さいことは気にしな~い。」


「かっかっかっ、そうだ琴子。小さいことばっかり気にしてると

 あっという間に年とっちまうぞ。菓子は上手けりゃそれでいい。」


琴子の肩をバンバンと愉快そうに笑っている侑子に千世子はそういえばと口を開き


「侑子ってよく手作りお菓子もらっているのは目にするけど~

 侑子自身は作ったりしないのぉ?」


千世子の純粋な疑問に身を固くする侑子に一同興味津々に答えを待っている


しかし待っても待っても返事は返ってこない。


そこで代表して菜穂子が訊くと


「あの、侑子?どうしたのかしら。」


心配そうに尋ねても一向に返ってこないのでさらに問おうとしたら千世子が間髪入れず


「もしかして侑子料理下手ぁ?」


またまた千世子の核心を突いた発言にとうとう侑子の固まった原因が判明した。


「そういえば侑子ちゃん、調理実習の時なんかも準備とか鍋見てるとか後片付けばっかりしてたよね。

 よくよく思えば包丁握っているとこ見たことないかも・・・。」


さっきまでの楽しい雰囲気はどこへやら、一気にズ~ンと重い空気に変わってしまい


三人が気まずいなかただ一人だけ千世子は美味しいお菓子が食べれて


頭の周りに花が咲いている。


だがしかしこういう時は大抵救いの女神が現れるのだ。


「じゃあそんな料理が苦手な侑子のためにもこれからみんなで何か作りましょうか。」


「さんせ~い。」


「琴子も賛成!!」


「うっ・・・・・。」


機転がきいた菜穂子の発言だったがそれがまさかあんな事態に陥るとはこのとき誰も思わなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ