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天使の残像  作者: 河野 る宇
◆第4章~意味の無い事
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*最終話~別れ

「私だけでなく他の傭兵の技術も学べ。彼は信頼出来る者だ。傭兵としての力量も申し分ない」

 驚くライカに優しく微笑みロッシュの前に促す。

「素晴らしき傭兵にそう言ってもらえると嬉しいよ」

 ロッシュはベリルに対する負の感情は綺麗に無くなっていた。素直に彼が素晴らしい存在だと認識出来る。

「……っ」

「今のお前なら十分に彼の役に立つ。そしてセシエルの意志を継ぐにふさわしい者に近いうちになれるだろう」

 突然の事に戸惑うライカをなだめるように発した。

「! オヤジの……」

 そして少年は戸惑いながらライカの前に立ち喉を詰まらせる。

「ライカといて楽しかったよ。いいライバルになれた。離れていてもライバルは変わらないからね」

  ダグラスがそう言って彼に手渡したものは……

「! これ……」

 それは小さなナイフ。ダグラスがずっと持っていた大切なナイフだ。ダグラスはその後の言葉が出なくて涙をこらえるようにベリルの後ろに身を隠した。

「うん。ありがとう」

 ライカもそれだけ言うのが精一杯だった。


 ライカは助手席から見送るベリルの姿を焼き付ける。

「……」

 俺は立派なハンターになるのが夢だった。ベリルはその手助けをしてくれたんだ。本当の両親の顔はもううっすらとしか覚えてないけど、セシエルとベリルの記憶があればそれで十分だ。それ以外に望んだら贅沢者だよな。

 次に彼と再会する時は、一人前のハンターになったのだと胸を張れるようになりたい。その時きっと彼なら、柔らかな笑顔で「良かったな」と返してくれるだろう。



 この5年後──さらに多くの技を学ぶべくダグラスもベリルの元を旅立つ。


 セシエルの忘れ形見。その2人にベリルはかつてのセシエルの面影を追った。


「これで満足か? セシエル」

 ベリルはオーストラリアの荒野に1人佇む。

「楽しかったよ。お前にしてはなかなかの贈り物だった」

 乾いた風に小さく笑って発した。



 END

*お付き合いくださり、ありがとうございます。

 少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。

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