*取るに足らない
「ベリルはどれくらいで目を覚ます」
ロッシュは泉に問いかける。
「さあなぁ……像用だがベリルは代謝が早いから1時間から2時間てとこだろう」
「……そうか」
「秘宝があったわ!」
メロールが宝石を見つけてロッシュに手渡した。
「“神の子”か……あそこにホントの神の子がいるのにねぇ」
泉は薄笑いを浮かべて心配そうに見つめるライカとダグラスに寄り添われ未だに目を覚まさないベリルをあごで示す。
ロッシュはそれに無言で宝石を握りしめた。
数時間後──
「う……」
「ベリル!」
「ベリルっ」
初めに目に飛び込んできたのはダグラスとライカの顔。作戦が成功したと感じたベリルは笑って起き上がる。
「お……?」
ロッシュがその視線に入った。
「どうして助けに来た」
「当り前の事を聞かれてもな」
苦い表情を浮かべて問いかけるロッシュに彼はしれっと応える。
「!?」
「まさかあんな口ゲンカだけで私がスネてるとでも思っていたのかね?」
「それは……」
「私には取るに足らない事だ。お前が言いたい事も解る。多くの意見がありそれに対する作戦や指示もあるのは当然のことだろう」
同じ志であれば仲間だ。共に戦い同じ意志を持つ……いがみ合う意味など、どこにある。
「ククク……はっはっはっ! 確かにそうだ、俺は随分と1人で意固地になっていたらしい。あれは俺が悪かった。あの作戦は正しかった」
笑顔で言い放ったベリルにロッシュは呆れて溜息を吐き出した後に高らかに笑った。そんな彼に笑顔を返しライカの背中に手を添えて前に出るように促す。
「ロッシュ、しばらく彼の面倒を見てみないか」
「!? ベリル!?」
「こいつは……セシエルの拾い子か」