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天使の残像  作者: 河野 る宇
◆第3章~シーフ
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*作戦確認

 ベリルは、とあるグループの元へ来ている。一番先に施設に突入するチームだ。

「最終確認を行う。何か質問は?」

 それにロイスという男が軽く手を挙げた。

「あのよ……殲滅戦の意識でいいって言ってたが。なんでだ?」

「アンデルセンという男は容赦が無い。相手が赤子でも躊躇無く殺せる者なのだ」

 それを聞いた先発隊は眉間にしわを寄せた。

「ロッシュたちのチームは6人。彼らを救出するには相手の命を考えては行動出来ん」

 そういう相手ならこちらもそういう意識で動く必要がある。

「だからといって無理にトドメを刺す必要は無い。武器を全て奪ってから次の行動に移ってくれ」

「解った」

 先発隊は1チーム3人が3方向から突入する。

 現在3方向からそれぞれ監視していて先発隊の突入にも彼らの情報がリアルタイムで示される事になっている。

 ベリルは次に、後続のチーム各々に確認作業を済ませ決行3時間前にヘッドセットの最終チェックを行った。


 決行1時間30分前……いよいよアタック・ポイントへ移動となる。車で100m付近まで近づきその後は徒歩でポイントに待機する。

 緊張するダグラスとライカにベリルは「落ち着け」と軽く肩を叩いた。

「……」

 冷静な表情で周りを確認するベリルをライカはじっと見つめた。

 そうだ……オヤジもいつも冷静だった。と思い起こす。

『冷静にならなければ窮地に直面した時、正しい判断が出来ない』

 セシエルはライカにずっとそう語っていた。

 傭兵でありハンターであったクリア・セシエル──今、その忘れ形見であるダグラスとライカはベリルの元にいる。

 まるでセシエルの霊魂が導いたかのように……たった2度の出会いがセシエルとベリルの間に絆を生んだのかもしれない。

 そして、その絆は次に受け継がれていく。


 待機しているダグとライカは固唾を呑んでその時を待っていた。自分の心臓の音がうるさい。

 手が小刻みに震える。

「落ち着け。指示をしっかりと聞いていれば心配する事は無い。緊張する必要は無い」

 ベリルは優しい口調でささやく。

「う、うん……」

「そうだよな……」

 緊張を隠せない2人の頭を引き寄せてコツンと自分の頭にくっつけた。その温もりが伝わってきて何故だか無理な力が抜けていくように感じられる。

「周りばかりに気を取られるな。無理に攻撃しなくとも良い仲間から離れないようにする事を重点に置くのだ」

 ベリルの落ち着いた声と、その笑顔でダグとライカはホッとした。

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