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天使の残像  作者: 河野 る宇
◆第二章~戦うことの意味
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*対峙

「今度こそ逃がさねぇからな!」

「なかなか根性があるじゃないか」

 ベリルは指を差して怒鳴るライカに薄笑いで応えた。

 ここはアメリカ合衆国、アイオワ州──中西部に位置し、州都であるデモインは人口最大の都市だ。西にネブラスカ州やサウスダコタ州などがある。

 地形は平坦ではなく、うねりのある丘陵で構成されている。トウモロコシの生産量が全米トップの州だ。

 ユタ州からネブラスカ州、そしてアイオワ州と移動した自分にちゃっかりついてきたライカに多少は感心した。

 当のライカはあっちこっち行きやがってとベリルに腹が立っている。連続の長距離移動に嫌気が差していた。

 アイオワ州のさびれた町外れ、歩いている人もほとんど見かけない一角にて二人は向き合っていた。

「一つ訊きたいのだが」

「依頼主は言わねぇぞ」

 そこだけはきっちり守らないと信用に関わる。依頼内容をベラベラ喋るような人間に依頼などしてくるはずもないのだから。

「私の何を聞いて依頼を受けた」

「えっ? えと、それは~……。えーと?」

 そういえば具体的なことは聞いてない。いくら思い出そうとしても記憶には見つからない。

「ほう?」

 思い出そうとしている様子にベリルは目を据わらせた。

「詳細も調べぬまま相手を捕えようとするなど出直してはどうだね」

 初めて感情らしい感情を示されてライカは戸惑った。しかも、どうしてだが追いかけていた自分が怒られている。

「な、なんだよ! えっらそーに!」

「文句があるなら言ってみろ」

「ぐ──っ」

 今までにないぶっきらぼうとした言動に、ライカはもはや何も言えなくなる。そんなライカを一瞥しベリルは深い溜息を吐き出した。

「そんなもん! おまえを捕まえてから調べればいいだけのことさ! 悪人だと依頼があったってことはそれなりのことはしてきたってことだろ!」

 馬鹿にされた感覚にカッとなりハンドガンを抜いて銃口を向ける。

「それでよくもハンターなどと言える」

 あまりに突拍子もない言い分に目を丸くしたベリルは再び深い溜息を吐いた。色んなハンターがいる事くらいベリルは熟知している。しかしこれでは子供の言い訳だ。

「いいから大人しくし──うっ!?」

 言い終わらないうちに持っていたハンドガンが弾かれ、その衝撃からきた痛みと痺れに手を押さえる。

 何が起こったのか解らずベリルに視線を移すと、いつの間にかオートマチック拳銃を手にして自分に銃口を向けていた。

「え? いつの間に?」

 どれだけ素早い動作なのかと驚かずにはいられない。しかも、手を傷つける事なく持っているハンドガンだけを弾いた。狙ってやったのだとしたらなんという腕前だ。

「貴様の求めるハンターとはなんだ」

 問いかける瞳が鋭く冷たくてライカは体を震わせた。

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