*監視
ベリルたちは空路で現地へ飛んだ。
「……」
ライカは何か落ち着かない様子でそわそわしている。
「どうした」
そんな彼にベリルが無表情に問いかける。
「ファーストクラスなんて初めて乗った」
もの凄く高いんじゃ……
「持ってる者は使わねば経済は回らん」
「ベリルは金持ちだもんね~」とダグラス。
「正当な金額をもらっているだけだ」
確かに彼が特別高額という訳ではなく依頼数が多いというだけである。もちろん依頼主の中には高額を支払う者もいるし相手を見て金額を決める事もある。
「っていうか……」
「なんだ」
「よく武器を機内に持ち込めたよな」
ベリルのバッグにライカは目を据わらせた。
「この航空会社は馴染みだ」
初めの頃は隠し持っていたが、その時に飛行機がハイジャックされてそれをベリルが助けた事から彼は特別扱いとなったのだ。
そうして彼はこつこつと顔を広げているのである。
現地に到着するとすでに簡易基地が設置されていた。活気に溢れた雰囲気にライカもダグラスも自然と笑みが浮かぶ。
「ベリル」
泉が彼の姿を見つけて呼びかける。
「今回は“リリパット”にも要請したのか?」
「相手が相手だからな。彼らにも協力してもらった方がいい」
初めて聞く名前にダグラスもライカもいぶかしげな表情を見せる。
「義賊の事をそう呼ぶんだ。ベリルはリリパットたちにも顔が広い」
一息ついて一同が部屋に集まる。
「……」
しばらく見回したベリルは決意したように切り出す。
「今回の作戦には、リリパットから2人協力を仰いだ。メロールとアルフレッド」
紹介された2人は1歩前にでて軽く手を挙げる。
「相手はシーフ寄りの傭兵だ。彼らの意見をよく耳にして欲しい」
「アンデルセンはよく知っている。我々とは敵対関係にある奴だ」
アルフレッドという男が一歩進み出て発した。それのあとをメロールが続ける。
「彼に関する事は何でも聞いて頂戴。我々が知る限りの情報はお教えするわ」
そして本題に入る。部屋の真ん中に設置されている大きめの簡易デスク。そこに広げられた見取り図を一瞥し皆に顔を向けた。
「公会堂だが……さて一体どこに集まっていると思う」
ベリルが訪ねるとあちこちから一斉に見取り図に指が差された。
「ではここだと予想しよう。どう動く?」
最も多く指の差された部屋を確認し再び問いかけたベリルに1人の傭兵が応える。
「まず1チームが潜入して進入路の確保かな?」
「現在トマックに監視している者と合流してもらっている。そろそろ連絡が来る頃だろう」
言ったベリルのすぐ後に無線から声が響いた。
<ベリル。今、合流した>
「様子はどうだ」
<雰囲気からして……奴らが集まっているのは中ホールっぽいな>
それを聞いた数人がガッツポーズした。
<外を監視してるのが……約3人。巡回するのはおそらく4人>
「ふむ……」
残りは待機と捕虜の監視と指示か……聞きながら見取り図を眺める。
「これは何かしら?」
メロールが見取り図を指さす。
「控え室?」
「トマック。中ホールの南にある部屋は見えるか」
<ああ、見えるが……何か置いてあるぞ。そんなに大きくない箱だが、随分と厳重そうだ>
まさかそれが秘宝『神の子』……?