表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使の残像  作者: 河野 る宇
◆第2章~神の子
36/45

*才能

 しばらくしてベリルが到着した。

「ベリル!」

「久しぶりだな」

 口々に声を掛ける男たちにベリルは手を挙げて応えた。今回集めたのは30人。集めたデータからベリルが計算して出した人数だ。

「ここで軽く作戦を立て移動。移動した先で最終的な決定を出す」

 地図を広げながらベリルが説明する。

「この建物は何かの施設だったのか?」とメイヤー。

「公会堂だったらしい。10年も前から使われていない。そこを奴らは隠れ家としたようだ」

「ロッシュが捕まったのなら移動してるんじゃないか?」とトマック。

「リアンナがロッシュが捕まったと知らされてすぐ、傭兵を雇って監視させているらしい。それだとまだ移動はしていない」

 それに何人か口笛を鳴らす。

「さすがロッシュの娘だ」

「今回はロッシュ救出と彼の依頼を同時に遂行する。気を引き締めていけ」

 聞いて全員移動を始めた。


 ライカはベリルから荷物を受け取る。

 いつもならベリルから渡さなければ何もしなかったのに自分から荷物をすすんで取りに来た。

 車に乗り込むとライカはすぐにバッグの中を探り出す。そして武器を1つ1つ取り出して、何やらぶつぶつと独り言を言っていた。

「ライカ」

「何?」

 ベリルはそんなライカに数枚の紙を手渡した。

「アンデルセンとよく組む奴らだ。覚えろ」

「15人?」

 仲間は30人近くいる。パーティ戦に慣れていないライカには敵の顔を覚えてもらう方が味方撃ちを防げる。

 ライカはすぐに記憶を始めた。

「僕は覚えなくていいの?」

「お前はライカの後で見せてもらえ」

 ダグラスはそれに怪訝な表情を浮かべた。

 ライカの後って……そんなのいつ回ってくるか解らないじゃないか。

「はい、ダグ」

「え!?」

 まだ10分くらいしか経ってないよ!? 驚くダグラスにベリルは小さく笑った。


「どういう事?」

 シャワーを終えたダグラスがベッドで銃の手入れをしているベリルに訪ねた。

「何がだね?」

 ダグラスはシャワールームにいるライカにクイと頭を向けて示しながら発する。

「敵の顔だよ」

「あれが本来のあいつだ」

 言われて少年は眉間にしわを寄せた。

「奴は要領が悪かっただけだ。向上心さえ出ればちゃんと出来る」

「ベリルはそれに気付いてたの?」

「おや、気付かなかったのかね?」

 しれっと答える。

「は~さっぱりした」

 相変わらずオヤジ臭い物言いですっきりした顔のライカが出てきた。

「ライカ」

「何?」

「買い物を頼まれてくれないか」

「いいよ~何?」

「9ミリパラベラム弾を3箱、50口径AE弾を2箱」

「OK~服着てすぐに行く」

 着替えるため別の部屋に向かったライカをダグラスは唖然と見つめた。

「な?」

 とベリルは笑って言った。

「……」

 “な?”って言われても……

「お前は天性のものがあるがライカは努力型なのだ。1つ1つ、しっかり覚えたり見たりする事で上達する」

 今度はナイフを取り出し刃を確認しながら応える。

「……」

 このままだとすぐに追い越されてしまう……ダクラスは慌てて敵の顔を覚え始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ