*戦闘態勢
「ダグ、起きろ」
「ん……っ」
頭を優しくなでられる。
「あ、おかえり~」
目をこすって起き上がるとバッグを投げ渡された。
「お前の荷物だ自分で持て」
中を見ると着替えやら装備やらが色々入っていた。
「! ショルダーの方がいい」
入っていたホルスターに不満げに発する。
「好みだけで判断するな。己に合ったものを使え」
「ちぇ……」
少し口をとがらせヒップホルスターを腰のベルトに装着し確認してバッグに仕舞った。
「あ、バックサイドホルスターだ。いいな~格好いい~」
口笛を鳴らして羨ましがる少年を一瞥し装備を整える。
「見た目や偏見だけで決めるのは危険だ。己の使いよい形を知れ」
「解ってるけどさ~」
そのあとベッドの上にA2サイズの紙が広げられた。例の武器工場の見取り図だ。いくつか赤い丸が記されている。
ベリルは青いマジックと赤いマジックを持ち、あちこちにやじるしを書きだした。
「……」
立たせた片膝に右腕を置いて考え込む。そしておもむろに立ち上がり別のバッグを開け始めた。
「ダグ、手伝ってくれ」
「いいよ~何?」
出てきたのは大量の小型ヘッドセット。
「命綱だ、入念にチェックする」
「凄い数……人数分か~」
チェックし終えたヘッドセットをバッグに仕舞う姿を眺めながら問いかけた。
「ベリルさんのお父さんって、どんな人なんですか?」
「!」
その言葉に手が止まる。
「覚えていない。いや、そうでもないか」
「どっちなんですか……」
「傭兵では無かったが名うての兵士だった」
「へええ~」
ベリルはかつて戦術を教わったブルー教官を思い浮かべる。
国から招かれ、「キメラ」であるベリルの戦術の教官となった。ベリルにとっての『父』はきっと彼であっただろう。
自分のために命を賭けた人々……それは今でも彼の心の中に静かに重たい苦痛を与える。
一週間後──再び集まる仲間たち。今度は前回よりも広めの部屋だ。中心の大きなテーブルに見取り図を広げ、それを取り囲むようにして集合する。
ベリルは1人ずつに作戦などを記した紙を手渡して発した。
「1チーム5人ずつで行動。A~Jまでの班に分ける。Aは指揮。CとDは爆破、FとGは退路の確保だ。IとJは攪乱。残りは右チームの護衛。これから指示する動きに徹してくれ」
言ってヘッドセットを配る。
少年にも紙が渡されるが自分の名前が無い事に不満だった。もちろん指揮をとるA班に入れられるのは解っている。
Aにはキャシーと泉が入っていた。とかく泉を嫌っているベリルだが、その腕には信頼を寄せているという事がよく解る。
一通りの説明を終え一端、休憩に入った。