*攻防戦
「いい加減にせんか!」
声を張り上げたベリルにすかさず2度目のキス。
今度はかなり深いらしい……抵抗するベリルの腕の力がゆるゆると抜けていくのが見て取れた。
「……」
わ~この人って凄くキス上手いんだなぁ~……などと少年はじっくり観察した。
「やめんか!」
解放されて荒い息を整えながらギロリと睨みつけ再び口を拭う。
「泊ってるとこ教えて」
「ふざけるな」
思い切り睨み付けられているのに泉はにっこりとした。
「……」
なんて図太い神経してるんだろう……少年は彼の性格に感歎する。
しかしベリルが素早くハンドガンを抜いて泉の首に銃口を押し当てた。
「!」
これにはさすがの少年も驚く。
「服の中には手を入れないと言わなかったか?」
噛みしめるように言ったベリルに泉はニヤリとする。
「さっきはさっき、今は今」
しれっと答えた。いつの間にか泉の手がベリルの服の中に入れられている。
「これ以上は付き合えんぞ」
「解ったよ」
泉は薄く笑って少年に目を合わせる。
「年寄りのくせにカタいだろうこいつ」
「そういうレベルではないわ!」
「うおっ!」
ベリルは泉を蹴り出した。
「もっと優しくしてくれよ」
「知るか」
ベリルはすぐに車を発進させる。
「誰ですか?」
「泉 恭一郎。傭兵だ」
「え?」
「! ああ……キョウイチロウ イズミ」
名前の部分を日本語で言ってしまった。ベリルはすぐに言い直す。
「あの人も傭兵なんですか?」
「腕はいいのだがね」
いかんせんあの性癖だ。集まった兵士の中に気に入った奴がいるとすぐに手を出す。
「ベリルさんもやられたんですか?」
「……」
「やられたんですね」
「変な事を聞くな!」