最終話
私はシャッター脇の階段を降り始めた。
私は、階段を降りながら、元の世界に戻れるように願った。やがてかすかに足元が揺らぎはじめ、私は立っていられなくなり、階段にしゃがみこもうとした。しかし、階段がゆがみはじめ、周りが極彩色の風景に変わった。私は奈落の底へ落ちていった。 目眩は続いた。私はこのまま、ふらつき続けるのでは、と思った。私は目をつぶり、それと同時に意識が薄れていった。私は深い闇に落ちていった。
目が覚めると、私は、あの入院しているリハビリ病院のベッドの上に横たわっていた。起き上がろうと身体に力をいれたが、左手と左足は自由には動かない。どうやら、元の世界に帰れたらしい。私は傍らにあった車椅子に乗り移って、顔を洗いに行った。元の世界は、あのタイムスリップした世界に比べて、悲しいくらい不便だった。でも、これが私の選んだ道だった。私は懸命に生きて、人生を切り開いていく。まっすぐに。 〜第一部 完〜
お読み頂きありがとうございます。自分が不自由な身体になって人生をやり直せたら、どの時点が良いだろうと思って、この話を書き始めました。第二部は近日中に書き始めます。また、良かったら読んでください。