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第八章第三話
元いた世界に帰れるとは限らないわよ、と彼女が言った。
「元の世界へ戻る方法を見つけても、必ず、元いた同じ世界に帰れるとは限らないわよ。それでもあなたは又タイムスリップする方法を探すの?」女は問い詰める口調で言った。
「まるで、一度帰ったような口ぶりだね。」私は少し不愉快になって、女に皮肉を言った。「そうよ。あたしはもう一度タイムスリップしてみたわ。」女は驚愕の事実をさらっと言った。 「それじゃ、何でまたこの世界へ戻ってきたの?」私は声が裏返るのを感じながら、女に問いかけた。「それから、同じ世界に戻れるか、わからないと言っていたのに、なんでまた、同じ世界にタイムスリップすることができたの?」私は次々と湧いてくる疑問を女にぶつけた。「それはどうしてかあたしにもわからない。でもね、あたしに帰る方法を教えてくれてた男の人がこう言ったわ、一度、タイムスリップした場所は戻りやすいって。」女はアッケラカンとした口調で言った。私は答えにくい質問を口にした。「帰った世界はどうだったの?」