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第七章第二話
ライブの場所は、俊ちゃんの家から近い居酒屋のような店の一階だ。
初めてのライブが近づいてきた。俊ちゃんバンドの練習にも、力が入ってきた。日が近づくにつれて、若い私は、緊張の色が濃くなってきた。バンドで練習する曲は、70年代後半の洋楽、ハードロックばかりだった。ボーカルはシャウトする歌が多かった。ゴリポンはドラムスクールに通い、コージは黙々と練習に励み、2人ともメキメキと力をつけていった。若い私は取り残されている気持ちが強くなっていった。 ライブ当日、ライブの会場は俊ちゃんの家から近い、一緒にやるバンドの知り合いの居酒屋のような店の一階だった。
観客は20人くらい来てくれた。半分はこちらが招待した客で、残りはメインのバンドの招待客だった。
緊張が高まるなか、ライブが始まった。しかし、若い私は、挫折感が強まったライブだった。違う世界なら、違う結果になればいいのに。こういう所は、記憶に忠実だった。悔しいけれど。