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あの日に帰りたい第一章第四話
新聞の日付が私にもたらした衝撃は計り知れないほどのものだった。「これは夢だな。」私はそう思い込んだ。しかし、まとわりつく湿気とうだるような暑さがこれは現実であることを示していた。「ちょっと、戻りすぎ」私はこの状況に文句を言った。私は9年くらい戻れば良かったのに。幸いなことに、なぜか服装はパジャマではなくて、Tシャツとジーパンだった。私は街中へ向かおうと川を渡る橋へと歩いた。
私は静岡県の静岡市に生まれて、父親がサラリーマンではなく、自営というか、自由業者だったので、転勤というものがなく、生まれてから高校卒業までの18年間を静岡市で過ごした。私は郷土愛がとても強く、いつかゆっくりと田舎に帰りたいと思っていた。その願望の強さもこの事態を招いた一因だったのかもしれない。
私はうだるような真夏の日差しを受けながら橋を渡った。
そして夕暮れ時になって、私はようやく繁華街にたどり着いた。