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第三章第二話
俊ちゃんがやって来た。くだらない話をしていた私達は、満月に照らされた海へと続く道を歩き始めた。
「お邪魔しまーす。」俊ちゃんの声だった。二階に上がってきて、私の部屋に入ってきて、くだらない話をはなし始めた。おかしい。私の記憶が確かなら、もう一人、太一郎という友達が遊びに来るはずだった。しかし、太一郎は一向に来る気配がなかった。
「ちょっと外に行こうぜ。」若い私は、俊ちゃんを誘った。二人は肩を並べて、昼間と間違えるくらい月明かりで明るい海までの道を歩いた。
満月に照らされて、とても夜とは思えないほど明るい道をどうしようもない話をしながら、私と俊ちゃんは近所の酒屋まで歩いた。 二人は用心深くあたりを見回しながら、タバコのマイルドセブンを自販機で買い、続けて、缶ビールを二本買った。そして海で他愛もない話をしながら、ビールを飲み、タバコを吸った。
「そろそろ帰るか。」私はそう言って立ち上がった。そして海岸から私の家に向かう道に出たとき、ライトが一つ、猛スピードで近づいてきた。