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第二章第六話
Mが電話するのを止められなかった若い私は・・・
Mが電話のまわりを必死に探している。若い私はがそんなMを見て、どうしたのかと声をかけた。「名簿が無いんだよ。」Mは情けない声で応えた。「そんなことだろうと思って、電話番号をメモしてきたよ。」若い私は自慢気に言った。私は昔からどうでもよいところに気がまわった。この頃からかもしれない。私はチッと舌打ちをした。余計か事をしやがって、と自分に腹をたてた。
これこそまさに自業自得というヤツだ。電話をかけながら、Mが異常なほど緊張している。私は段々と詳細を思い出した。バスケ部の女の子にはMが惚れていて私は電話に付き合わされただけだったのだ。
Mが受話器をおいた。撃沈したようだ。「ちょっと、そこまで付き合えよ。」Mが意気消沈した声を掛けてきた。