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モラハラ婚約者があまりにも酷いので、やり返すことにした【連載版】  作者: セトガワ トウ


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15話 ドラゴンざまぁ

 すっきりと晴れ渡った空の下で、アレジオの虐待ショーが展開されていた。


「クク、気絶したくなかったら早く降参しなよ。参りましたアレジオ様、と言うだけでいいんだ」

 

 ニタニタとアレジオが楽しそうにする。

 現在はAクラスの授業中。

 校庭で武器や魔法を使わない組み手の訓練をしている。

 ルールは一対一で、相手が気絶するか参ったと口にするまで続く。

 アレジオに虐められているのは私……じゃなくてロリナだった。


「ハァハァ、絶対に、言うもんですか……!」

 

 魔法能力に偏ってるロリナでは、万能型のアレジオには全く勝ち目がない。

 何回も投げられたりして、体中擦り傷まみれだ。


「……おいロリナ。無茶をしないのも訓練の一つだぞ」

 

 アバイン先生も、さすがにやめさせたいのだろう。

 でもルールだから、本人が参ったと口にしないと止められない。


「嫌よ。こんな奴に降参なんてしないわ!」

「――じゃあ、遠慮なく」

 

 アレジオはスッと距離を詰めて、ロリナを背負い投げする。


「あうっ……」

 

 地面に背中を打ち付けて苦しむロリナを見ると、私はもう我慢できなかった。

 二人の間に割って入った。


「アレジオ様、そこまでにしてください!」

「ルール違反だよ。これは僕と彼女の闘いだ。割って入るなよ」

「いいえ。ロリナさんはもう限界です。どうしてもやるなら、友達枠で私が相手します!」

 

 ちなみに勝ち目はございません。

 でもやらなきゃいけない時がある!

 冷気が漂ってきて、背筋がゾクッとする。

 アレジオ、静かに魔法発動させているようだ。


「……仕方ない。ルール違反だが、今回はここまでとする。俺の設定が良くなかったな」

 

 珍しくアバイン先生が折れた。

 ロリナほど粘る生徒は、いままではいなかったのかもしれない。

 

「リナリー、ロリナを治療室に連れてってやれ」

「はい」

 

 私はロリナに肩を貸して、治療室に向かう。

 服は土まみれ、擦り傷もかなり痛そうだ。

 

「……悔しい。あんな奴にボコボコにされるなんて……!」

 

 ロリナは目の端に涙を浮かべる。

 

「でもロリナさんは負けていませんよ。ナイスファイトでした」

 

 ニッと笑いかけると、ロリナがちょっと照れくさそうにした。

 すごく可愛いくてほっこりする。 

 治療室に入る直前で、急にロリナが感謝の言葉を口にする。


「夜会で、お姉様を助けてくれたんでしょ? ありがとね」

「すごくスタイル良くてびっくりしました。ロリナさんも将来有望ですね」

「ロリナでいいわよ。それに、ここまでで大丈夫。あんたは校庭に戻って」

「ゆっくり休んでくださいね」

 

 中には先生もいるので、私はここまでとして急いで校庭に戻る。

 アレジオめ……あそこまでロリナを痛めつける必要なんてなかったのに。

 なんとかやり返したい。

 色々と案を巡らせながら校庭に戻る。

 余裕の笑みを浮かべたアレジオが、すぐに声をかけてくる。


「ええと、豪腕のリナリーさんが僕の相手をしてくれるんだっけ?」

 

 自分が余裕で勝つと知っていて、本当に性格が悪い。


「そうですね。お相手いたします」

 

 今回は武器もダメだから感謝ポイントも使えない。

 でも一発だけでも、ロリナの代わりにお返ししたい。

 そう睨み付けたときのことだ。

 黒い影が、アレジオの隣に落ちてきた。

 あまりにも重たい音がして、地面にヒビが入った。

 アルミラ……!?

 日常が一瞬にして戦場になったみたいな緊張感が走る。

 最初に声を上げたのは先生だった。


「――全員、校舎に向かって走れ!」

 

 Aクラスは一斉に動き出した。

 少し遅れてアレジオも逃げようとしたので、足をかけさせてもらう。

 ズサッ、とヘッドスライディングするように倒れ込む。


「おいお前たち、なにをしている!?」

「アバイン先生、先に行ってください。私たちは大丈夫です」

「大丈夫なわけないだろっ」

「逃げる策があるんです。信じて、他の生徒を優先してください」


 戸惑いつつ、先生は私のことを信じてくれたようだ。

 他の足の遅い生徒をサポートしながら校舎の方に向かった。

 さて、私は頬を膨らませてアルミラに注意する。


「ちょっと~! さすがに学校はまずいでしょ」

『フン、これを持ってきてやったのだ』

 

 地面に投げてよこしたのは、一つ目の魔物の死体だった。

 そうだ、魔物の素材を頼んだのだった。


『サイクロプスという雑魚だが、それなりに珍しいやつだ』

「アルミラ、大好き!」

 

 これを売ることができたらと想像すると、自然と顔が綻んでしまう。

 それはそうと、ゴキブリみたいに地を這う動きで逃走をはかる男子がいる。

 アルミラが、アレジオの顔前の地面に尻尾を突き刺す。

 

「ひうっ!?」

 

 ビックリして、アレジオは飛び上がった。

 私はゆっくりと近づき、ファイティングポーズを取る。


「ではアレジオ様、組み手の訓練をしましょうか。レディファイ!」

「いやいやいや……そんなのやってる場合じゃない! あのドラゴンをどうにかしてくれっ」

「私にどうにかできる存在じゃありませんので」

「いやでも……」

『なにをゴチャゴチャ話している? しかし相変わらず、気に入らん顔だ』


 一応、アルミラはアレジオのことを覚えているみたい。

 そこで私は、彼に今日起きた出来事を耳打ちした。

 アレジオが大事な親友を痛めつけていて、楽しそうにしていたと。

 

『ほう。面白いな』

 

 アルミラはアレジオの前にいくと、ブレスを吐くように口を大きく開けた。

 光の粒子が口の近くに集まり出す。


「ひえええ、ブレスを撃つつもりか!?」

『強い貴様なら、これくらい耐えられるだろう?』

「耐えられるわけない! リ、リナリー、僕を助けるんだっ」

「ブレスの盾になるというのは、契約書になかったと思います」

 

 淡々と伝えて、あとはそっぽ向いておく。


『死ね』

「うわあああ――――」

 

 校庭に悲鳴を轟かせた後、アレジオはあっけなく気絶してしまった。

 白目を剥いて、開けっぱなしの口からは涎がダラダラ流れている。

 情けないってレベルじゃないよね……。

 アルミラが口を閉じて、ブレスを撃つ真似をやめる。


『フン。やっぱりダサいな、こいつ』

「本当だよね」

『さっさと、こんな奴との縁は切ったらどうだ』

「そのために、色々頑張ってるの」


 モラハラ言動も、ボイスレコーダーに録音してためている。


「お前たち、無事かっ」

 

 アバイン先生が校舎から、こちらに戻ってくる。

 生徒を見捨てない教師の鏡みたいな人で、ちょっとかっこいい。


「アルミラ、面倒になるから帰った方がいいかも。素材ありがとね」

『次は、お前がなにかご馳走する番だぞ』

「わかってる。近い内に会いにいくね」

 

 アルミラは空に飛び立つと、あっという間に見えなくなった。

 私は倒れているアレジオを揺さぶり起こして、声をかける。


「起きてください、アレジオ様」

「う、ううん……」

「寝てる場合じゃありません。もう、ブレスが発射されたのですから!」

「うわぁぁあああ――――」

 

 先ほどの恐怖が蘇ったようで悲鳴を上げて――また気絶した。

 二回気絶したので、私の二連勝ということで。


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― 新着の感想 ―
自分の力ぢゃないけど。アルミラの威を借りてるのだけど。 なんだかそれすらリナリーらしくて つーかい!(*^o^)/\(^-^*)
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