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オーク討伐④

 風に揺れる木々のざわめきと共に、クローザーが静かに戻ってきた。

 その顔には緊張の色が張り付いており、先程よりも一層周囲を警戒している様子だ。

 ボルグとシエルが待機していた茂みまで辿り着くと、小さく息を吐いた。


「……報告する。奥の開けた場所にオークの集落を発見した。規模は予想以上だ」

「マジか……。何体くらいいた?」

「確認できただけで十体以上。掘っ立て小屋のような建物がいくつか見えたから、実際はもっといるかもしれん」


 クローザーの言葉に、ボルグは渋い顔をする。

 十体以上のオーク。

 Bランクパーティであれば処理できなくはないが、森の中という地の利を考えれば決して楽な戦いではない。

 しかも、今回は新人のイザヨイを抱えている。


「だが問題は数だけじゃない。……奴がいた」

「奴?」

「『オークキング』だ」


 その名を聞いた瞬間、ボルグとシエルの表情が強張った。

 オークキング。

 通常のオークよりも一回り以上巨大で、知能も高く、強力な武器を扱うオークの王。

 Bランクはおろか、Aランクに近い実力がなければ討伐は困難とされる強敵だ。


「嘘だろ……。こんな所にキングが出たのかよ!?」

「うそ……私たちだけで倒せる相手じゃないわ!」

「ああ。撤退を進言する。今の戦力ではリスクが高すぎる」


 クローザーの判断は冷静かつ的確だった。

 新人がいる云々以前に、Bランクパーティである自分たちにとって荷が重い相手だ。

 無理をして全滅するよりは、一度街へ戻り、ギルドに応援を要請するのが最善策だ。


「そうだな……。イザヨイ、悪いが今回はここまでだ。お前の安全を最優先にする」

「悔しいけど、それが賢明ね。命あっての物種だし」


 三人が頷き合い、撤退の準備を始めようとしたその時だった。

 背後から、透き通るような涼やかな声が響いた。


「あの、ちょっといいですか?」

「イザヨイ? どうした?」


 振り返ると、そこには不敵な笑みを浮かべた銀髪の少女が立っていた。

 恐怖など微塵も感じさせない、むしろ獲物を前にした狩人のような瞳をしている。


「撤退なんて言わずに、全部やっちゃいませんか?」

「「「はぁっ!?」」」


 ボルグたちの声が裏返った。

 イザヨイは何でもないことのように続ける。


「だって、オークキングですよ? レア素材も落ちるし、報酬だって跳ね上がるはずです。みすみす逃がすなんて勿体ないじゃないですか」

「お、おい待てイザヨイ! お前、キングがどんな化け物か分かってるのか!? 普通のオークとは格が違うんだぞ!?」

「そうよ! あいつの一撃は岩をも砕くのよ!? 魔法防御だって高いし、生半可な魔法じゃ傷一つ付かないわ!」

「……無謀だ。自殺行為と変わらん」


 三人が必死になって説得にかかる。

 だが、イザヨイにとってはオークキングなど『ちょっと強いザコ』程度の認識でしかない。

 レベル200のカンストである自分にとって、脅威と呼べる相手はドラゴンクラスからだ。


(確かに設定上は強敵だけど、俺のステータスならワンパン余裕だしなぁ。それに、キングのドロップアイテムは美味しいし)


 イザヨイの脳内では既に討伐シミュレーションが完了していた。

 広範囲魔法で取り巻きを一掃し、キングを単体攻撃魔法で仕留める。

 所要時間、およそ三十秒。

 これならおっぱいが揺れる暇もない。


「大丈夫です。私に任せてください」

「任せるって……お前、さっき後衛に回るって言ったばかりじゃねぇか!」

「ええ、そうです。だからこそ、私の魔法が活きるんですよ」


 イザヨイは右手を掲げ、人差し指を立てる。


「私の本気、まだお見せしてませんでしたよね? ……キングごと、一瞬で終わらせてみせますから」


 その言葉には、有無を言わせない自信と迫力が満ちていた。

 美少女補正のせいか、あるいは圧倒的な魔力の片鱗を感じ取ったのか。

 ボルグたちは言葉を失い、ただ呆然とイザヨイを見つめることしかできなかった。


「……信じてくれますか?」


 小首を傾げ、上目遣いで尋ねるイザヨイ。

 その破壊力満点のおねだりに、屈強な戦士たちの理性が音を立てて崩れ去るのは時間の問題だった。

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― 新着の感想 ―
美少女ムーブするのは良いけど、本気で惚れられそうw そして改めて自分のキャラ見るとおっぱいでけぇ ちょっと小さくしようかと思ったけどクラスはウィッチだからそのままにしとこう()
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