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定時制高校教師「BIN」  作者: 高城昇
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定時制教師達のフォークバンド

 3人はその後「串かつ美恵」に飲みに行った。話が盛り上がりフォークバンドを結成しようという話になり、バンド名は中山がリーダーで「中山バンド」に決まった。「串かつ美恵」のマスター達も応援してくれるらしい。3人ともギターは持っている。最初は、フォークソングのコピーから始めた。徐々にオリジナル曲作りたくなり、大山と佐野が作詞をして、中山が作曲をすることになった。初めは3人ともギターを弾いて歌を歌いハモリの小節も調子が良かったが、中山はドラムができるので、ドラムセットを購入しようと考えたのである。

「中山さん、ドラムは音がうるさいじゃろ。しかも置く場所もないし。」

中山と佐野は教頭に相談して学校の空き部屋を借りる事にした。大山は授業が終わって福山商業高校まで練習に来ていたのである。その後、大山と佐野はエレキギターを購入し、アンプやマイクまでも揃い始めた。練習の成果として全日制、定時制高校の文化祭にも出演したのである。それだけで終わらず、オリジナル曲も増えてきたので、会場を借りてコンサートを開くことにした。「串かつ美恵」のマスターはその話を聞き、新聞社に連絡したのである。新聞記者が練習を見に来て次の日、新聞の地方版に練習風景の写真付きで掲載されたのである。

 新聞を見た「定通分養」のリーダーから3人は呼び出されてしまった。場所はリーダーの家にである。怒られるつもりでやってきた3人。リーダーは、

「君たちはどういうつもりでこういう事をやっているんなら?新聞にも載って、大々的にバンド活動をやっているんじゃなあ。」

中山は、あまり深く考えずに、思い付きで、

「趣味です。たまたま話が大きくなって、こんなことになりました。」

「この活動が、定時制の教師として子供のためになるんかな?」

3人は何も言えず、ただ黙っていた。リーダーは顔の表情が少し緩み、

「わしも、フォークソングが好きじゃ。特に反戦歌がな。」

3人は少しホットした所でリーダーが提案した。

「あんたらは、自前の曲を作っとるじゃろ?そこで生徒が作詞をするというのはどうじゃろ。それとコンサートの時、スタッフに子供を使ったらどうじゃ?」

長い長い訪問が終わり、帰りの3人は足取りが少し軽くなっていた。

 その後、生徒数人に作詞の話をしたところ、藤本司という生徒が詩を作ってみたいと言う。一週間後藤本は2曲分詩を作ってきた。またギターとドラムだけでは寂しくなり、キーボードが欲しくなった3人は、同僚の音楽教師の園田に声をかけ、同じく同僚の中井がベースが弾けるのでゲスト出演のお願いをした。2人とも快く引き受けてくれた。皆で練習をしていると、生徒たちも見に来ることがある。突然ある生徒が、叔父を連れてきて練習を見に来た。後日その叔父は、サックスを持ってきて、即興で吹いてくれた。とても上手で、知らない音楽でもサックスの出番を作っていた。生徒の伯父にも出演をお願いし、6人のメンバーになったのである。練習では音楽教師の園田は、

「歌が楽器に乗っていないのよねぇ。」

意味が分からなかった3人は、園田に歌ってもらった。凄く上手なので、一曲だけ歌ってもらうことにして、歌う指導が始まったのである。コンサートが近づき生徒達もスタッフとして、受付・音響・照明などの打ち合わせを行った。当日は、日曜日で無料ということもあり、全日制の生徒達や教師、他校の教師達、地域の住人など多くの人が会場に集まった。コンサートは大盛況の中で終了することが出来た。


    つづく

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