諦めない気持ち
《登場人物紹介》
【蓮ちゃん】 プロローグ編の主人公、この物語の 作者。
訳あってあらゆる時代を行き来している天女。
秘密多きピンク色のツインテールの少女。
旧知の友『鶴姫天』を助けに行く為、悪戦苦闘中。
【てやんでぇ】蓮ちゃんに無理やりに連れていかれ
た現在(平華絢爛314年)の天上界に住んでいるカエル。
人間の言葉が話せる「江戸っ子カエル」
【鶴姫天】 蓮花とは、天上界創世以来の旧知の友の天女。
【ねね】 天空の5兄弟の母親。ミアキスの獣天女。夫は、梅虎天。
【梅虎天】 大虎が獣天人になってからの姿。
天上界最強の『妙魂十二天』の一人。
天上界では、多方面に影響を与える重要人物。
ねねの夫であり、天空の5兄弟の父親。
【紫芍】 平華絢爛314年の天界に在籍している物静かな不思議な天女。
【霊獣】 タイムスリップできる亀似の霊獣。
『時空間破壊系タイムスリップ霊獣』
【知りたい魔】自慢したがる煩悩の魔
「蓮ちゃん！諦めたらダメだぁぁぁー」
どこからか？
聞きなれた声が聞こえてきた！
こ、この声は、てやんでぇ！
「こんな事くらいで諦めるのかよ！ それでも天上界の高位天女かよ！」
「そう言われても、うちはいつも⋯⋯」
今にも挫けて無くなってしまいそうな、よわよわしいレンの声に、てやんでぇが活を入れる！
「ばっきゃやろー！！！」
その雄々しい力強い声に、驚愕したうちは、俯いていた頭をあげ、その目の前の光景に、圧巻されたのだった。
あのうちより、小さな小さな身体の、てやんでぇが、自分の20倍は、あるでだろう、知りたい魔の恨み玉を、己の神通力のバリアで必死に耐えている姿に··········。
「て、てやんでぇー あんた·····」
「蓮ちゃん！ ここで諦めるのかよー 紫芍を！ねねを！梅虎天を！助けるんだったと違うのかよー！
あれは、全部ハッタリだったのかよぉぉ
皆は蓮ちゃんを信用して想いを託したんだぜ！ 思い出せよぉぉぉーーー自分の使命を！」
その小さな小さな緑色の身体から発せられた言葉には、力強さがあった！強い想いがあった！
そして何より、勇ましさに満ちていた。
その心に訴えかけてきた言葉は、うちにあの『無明の大渦』での大親友の『鶴姫天』の最後の言葉を思い出させたのだった。
▽ 回想シーン ▽
「もう、この時代は、何をしても救えぬ····· ダメなのじゃ·····。だからじゃ、お主のその力でタイムスリップし、勇敢な者達を集めて、再び、いつの日か、この『禍』にリベンジしてはくれ
ぬかの？そして、この世界を救って欲しい·····わらわの最後の願いを聞いてくれぬかの？ 」
「旧知の友よ！！！」
「行けぇー 蓮っ！ 後は頼んだぞぉー！」
▽ ▽ ▽
「·····鶴」
そうだ⋯⋯そうだったんだ！
あの『無明の大渦』で散っていった仲間達·····
そして、最後に全てを託してくれた鶴姫天·····
夫の梅虎天の安否を誰よりも心配なのに、それをうちに託したねね·····
うちらの代わりに知りたい魔と戦い、固められてしまった·····紫芍
そして今も、目の前で一匹のカエルが·····うちを守ってくれている···············。
···············。
途方に暮れながら、やり場のない気持ちで打ちのめされていたうちの鼓膜に、『天命』が下った。
「それは、蓮ちゃんが特別だから！」
「貴方は誰？⋯⋯うちが⋯⋯特別？」
「そう、蓮ちゃんは、特別！ あたし達の希望の架け橋なのだから⋯⋯」
その声は、うちが知っている者達の声だった。
いるはずもない彼女達がうちの瞳に映し出された。
それは、あの『無明の大禍』で散っていった天上界の仲間たちの笑顔だった⋯⋯
「あんた達⋯⋯」
幻影なのか？
それとも夢なのか？
どっちであれ、今、うちの瞳に彼女達の姿が写っているのは、事実だぁ！
「そうだ！皆を守りたい、うちも·····誰かを守りたい！」
そう強く願った幼女は、ブルーの瞳から溢れ出ていた涙を手で拭い捨て、立ち上がった！
そして、そのか弱い拳を固く握りしめ、心の奥にあった思いを言葉にして叫んだのだった。
「う、うちが！みんなを守るんやぁぁぁぁーぁぁぁーーーーーー！！！」
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