不法侵入?!
《登場人物紹介》
【蓮ちゃん】 プロローグ編の主人公、この物語の 作者。
訳あってあらゆる時代を行き来している天女。
秘密多きピンク色のツインテールの少女。
旧知の友『鶴姫天』を助けに行く為、悪戦苦闘中。
【てやんでぇ】蓮ちゃんに無理やりに連れていかれ
た現在(平華絢爛314年)の天上界に住んでいるカエル。
人間の言葉が話せる「江戸っ子カエル」
【鶴姫天】 蓮花とは、天上界創世以来の旧知の友の天女。
このおっきな真っ白な宮殿の奥から、可愛いらしい鳴き声がうちを誘ってくる。
まるで、うちの好みを知っているかの様な⋯⋯心がくすぐったくなる声達。
そんな可愛い声達が住んでいるかも知れないその宮殿を見上げたうちの一言は、
ズバリ!
「でっかぁーーーい!」
しかし、どうやって? 雲の上にこんなおっきな建物建てたんやろうね?
材料は?
重量は?
費用は?
まさか! うちらの税金無駄使いしてんのとちゃうやろねぇー!
と、うちはそんなどうでもいい事が、気になる性分を抑えきれずに、自分妄想しながら、その足を運んで行った。
その宮殿庭園は、だだっ広く、人影が全くない。
ただ真っ白な宮殿へと繋がるのは、雲の道のみだ。
その道の両隅には、青空が広がり、その下には大きな海や岩石、島々が微かに見えていた。
あっ これ!多分落ちちゃうな。
うちは直感で、その両隅の青空ゾーンは、危険と判断してん。
更にその静けさの中を進んでいくと、うちは、少し威嚇をも感じてしまう様にそびえ立ち、至る所に金の装飾が施された豪華な純白の巨大な扉の前へと辿り着いたんよ。
「こんにちわ~♪ 誰かいませんか~?」
頭を斜めに傾けたレンの顔に、桃色ツインテールの一尾の束髪が、垂れ落ちた。
シーーーーーン!?
誰もいないのかなぁ⋯⋯。
しめしめ!
返答がないのをいい事にレンは、
「お⋯⋯おじゃましま~す……」
と、得意の逃げ足、差し足、忍び足で宮殿へと入って行った。
「あっこれ! 泥棒とちゃうからね。これも作者特権ちゅやつやからね!」
不法侵入を無理やり正当化しようとしているレンの姿がそこにはあった!
天上界でレンが、ハチャメチャと言われる根拠がこれだ!
彼女は、『作者特権』と言って、自己都合ですぐに行動に移してしまう癖があった。
清い天女がそれでいいのか?レンよ!
そして更にその巨大な白い宮殿の奥へと進むと⋯。
今まさに、新しい生命の息吹を感じさせる小さな幼い声達がまじかに聞こえてきてん!
さてさて~♪ 人間界では【犬】と呼ばれ、この天上界では【意貫】と呼ばれる生き物!
どんな困難な状況になっても、その確固たる意思を貫く存在とされている動物が三匹!
次に、人間界では【猫】と呼ばれ、この天上界では【夢呼】と呼ばれる生き物!
良い夢を呼ぶ存在とされている動物が、二匹!
これが今! この天上界に誕生した新しい命だったのだ。
その子達は三犬二猫の五兄弟だった。
「あ~ 皆、ちっちゃくてかわゆいっ♡」
ちょっと、抱っこしてみよっかなぁ~♪
レンが誰もいないのを確認し、仔犬猫達に手を差し出した瞬間!
「あんたぁぁぁー私の子達に何するのよー!」
バシッ!バシッ!
何者かが、レンを奇襲した。
不意打ちを食らったレンは、
「あっ痛ったぁーーー!」
レンの自慢の桃色ツインテールの両尾が、激しく左右に揺れる。
レンをひっぱ叩いた者の正体は、子供達の【母親】だったのだ。