愛死、愛され
金子茜…女
安西樹里…女
松原悟…男
金子N「愛の形なんて何でもいいはずなのにみんな理想を求めてる…これはそんな私達の話だ」
松原「あーめんどくさい…もー動くの嫌、いっそ死にたい」
金子「なら殺してあげよっか?」
松原「それもいいけど、できるなら一緒に生きていきたい」
金子「ふーん、そっか」
松原「茜になら殺されてもいいって思ってるけど、まだかな、生きて愛してたい」
金子「んもぅ…ばぁか…好き」
松原「ん…」
金子「悟は?ねぇ私の事好き?」
松原「好きだよ」
金子「へへへ」
金子N「私は幸せなのだ、この男、松原悟に愛されてる、世間から言われる彼氏がいて順風満帆に生きてるリア充と言うやつなのだろう、金子茜は幸せである、そう改めて認識した時扉を叩く音がした」
金子「あ、来たかな?」
松原「あー、うん」
金子「出てきて!」
松原「えー」
金子「嫌そうにしない!ゴー!」
松原「うーい」
松原N「俺、松原悟は幸せである、彼女が居ればそれでいい、幸せを続けたいけど今日終わってもいいだろう…だが今日はなんかあると言い我が家に邪魔者が来る、そうこのドアの覗き窓から見えるこの女だ、一気に憂鬱になりドアを開けた」
松原「はーい、いらっしゃあ___ぐふぁっ!!」
安西「よくも!よくも!!」
松原「っ!てめ!何すんだ!!」
安西「この!死ね!死ね!死ね!」
松原「おい!やめろって!!」
安西「くそが!この!この!」
金子「ねぇ〜まだぁ〜?って何してんの?」
松原「茜!こいつ止めろ!」
金子「樹里ちゃんストップ、そしていらっしゃい」
安西「あ!茜ちゃーん!!あー今日も可愛いね、ふへへへへ」
金子「はいはいよしよし」
安西「ふひひひ」
金子「だめだよー私の彼氏殴っちゃあ」
安西「でもでも」
金子「めっ!」
安西「はぁい」
松原「もうやだコイツ」
安西「は?私だって嫌だわ!てかあんたが悪い!」
松原「何でだよ!」
安西「私が来ると言うのにいちゃついたろ!」
松原「なんでわかるんだよ!」
安西「しらん!でもビビってきた!いちゃついて気持ち悪いこと言った!」
松原「確かにいちゃついてたけど気持ち悪い事は言ってない!ね?茜」
金子「うーん、今思うとキザすぎたかもね」
松原「あかねぇー!」
金子「まぁまぁ、今日は樹里ちゃんが話あるって言うから、宅飲みしながら聞くって言って呼んだんだから仲良くしてよね」
松原「んー無理かもぉ」
安西「うん!私も!」
金子「よし、とりあえず飲もう」
安西N「何故か急に話したくなった、何故か急にそうしようと思った…でも、やってはいけない、やらない、だから私はここに来た、きっと何も無く帰るだろう……そして私はこの家に来て松原悟を殴り金子茜に甘えた、いつも通りなはず、安西樹里はいつも通り…さぁ楽しく飲もう、みんなのグラスにお酒が注がれた」
金子「揃ったね!はい乾杯!」
安西「乾杯ー!」
松原「乾杯」
金子「で、樹里ちゃん、話って?」
安西「なんかさー私って茜ちゃん好きじゃん?」
金子「うん」
安西「愛してるじゃん?」
金子「そだねー」
安西「でもコイツ!」
松原「あん?」
金子「悟ね」
安西「コイツがいけない!まぁ茜ちゃんの彼氏だってことは認めてはいるよ!でもなんかなんか!嫌なんだ!コイツ私と似てるとこ多いのに私よりピュアだし!でもキザだったりでうざいし!あー!もう死ね!」
松原「逆恨みだる」
安西「私の方が茜ちゃんラブなのに!!」
金子「もう…ホント、私のこと好きだねー、よしよしえらいえらい」
安西「へへっ…へへっ…茜ちゃんに褒められた!もう死んでもいい!」
金子「ダメです!生きて私を構え!」
安西「構うー…あーなんて可愛いんだ!いっそ殺してくれ!」
金子「殺してあげよっか?」
安西「是非!!」
金子「やーだよ!」
安西「はうっ!んぎゃわ!」
金子「ちょ!樹里ちゃん」
安西「んっ!んぐっ!ぷはぁ!」
松原「一気とかお前酒雑魚なのに」
安西「うるへー、くそさと」
松原「もう酔ってる」
安西「ふぅ…松原悟君よ、愛って何?」
松原「何って言われても愛は愛だろ?好きな人を大事に思って好きな人にも大事に思われるみたいな」
金子「そーだね、一緒に生きて一緒に死ぬみたいな生涯寄り添うってくらいの気持ち」
安西「でもどっちかは先に死ぬじゃん」
松原「それはそう、1人残されるくらいなら看取った後すぐ追いたい」
金子「わかるかも」
安西「でしょ!私は好きな人殺して私も死ぬ!そんな愛がいい」
金子「確かに、悟、いつでも殺してあげるし殺されてあげるからね?」
安西「う、羨ましい…殺してやろうかなコイツ」
松原「それしたらブタ箱行きだな」
安西「嫌だよアンタにそこまでする価値はない」
松原「だろうな」
安西「この無価値人間」
松原「いーやただの悪口」
金子「あっはは」
松原「笑うなって」
安西「はぁ?笑ってる茜ちゃんは天使やろが!」
松原「そうだけど!それとこれは別」
安西「じゃない!」
松原「あ、はい」
金子「あはは!やっぱり面白いね樹里ちゃん、好きだわ〜」
安西「好きって言われた…死ねる」
松原「死んどけよもう」
安西「ああん?てめーが死ね!」
松原「はぁ…」
金子「まぁまぁ」
安西「ちょっとトイレ〜」
安西N
「いつも通りだ、私は普通、このまま過ごして良い時に帰ろう、いやでも…ダメな思考がぐるぐると回る」
金子「樹里ちゃんなんか変じゃない?」
安西「いつも通りだろ?」
安西「私は…………好き……これが愛だ………うん、しよう」
金子「なんかさいつもあんな悟に突っかかってないっていうか」
松原「んーそうか?」
金子「いつもさしつこいけど、こづくみたいなやつじゃん、今日の本気な感じした」
松原「確かに」
松原N
「背筋がゾッとした…その後じんわりと熱くなっていった」
安西「あは!やっちゃった!」
松原「お前…何して…」
金子「樹里…ちゃん?」
安西「ごめんね、茜ちゃん」
松原「うっ…ぐぁあ!」
安西「なんかもういいかなって…好きって言われたし、今後さ結婚とかしちゃうんでしょ?そう思ったら今死ぬが幸せじゃない?だから使う予定ないようにしてたけど使っちゃった、このナイフ」
金子「樹里ちゃんやめて…」
安西「嫌、無理、やめたらブタ箱でしょ?」
松原「当たり前だろ、イカれ女」
安西「うるさい!」
松原「ぐぁ!」
安西「うるさい!うるさい!う!る!さ!い!」
松原「があああああ!!!」
安西「茜ちゃんと2人なりたいからさっさと死んでよ!!」
金子「やめて!!」
安西「え?何これ?」
安西N「私の背中に茜ちゃんが飛び込んで来た、そんなに嬉しい事はないだろう…でも痛くて赤かった」
安西「茜…ちゃん?何それ?包丁?刺したの……」
金子「うん…もうやめてよ…」
松原「……はぁ…はぁ…」
安西「まだ生きてる…しつこ…あー…ほっとけばもう死ぬか」
松原「助け…」
金子「樹里ちゃん、ホントに私の事好きなんだね、私も好きだよ、でも1番は悟だから…」
安西「やだ!」
金子「やじゃない!!」
安西「………」
金子「悟……ごめんね……」
松原「あ…かね…」
金子「今助けてあげる……愛してるよ……死んでも」
松原「や、やめ…」
金子「バイバイ、またあとでね」
松原N
「こんな愛の形、求めてなかった…一緒に色んなとこ行って、色んなことして…色んな茜が見たかった…それだけだったんだ…最期なのにそんな顔するなよ…泣いてるのか笑ってんのかわかんねぇよ…またねっていつもみたいに言うなよ…いつもみたいにまたって思っちまう…さよなら…愛してたよ」
金子「うぅ…ひっく…悟……樹里ちゃん」
安西「何?」
金子「これで2人きりだよ」
安西「そうだね、そっち行っていい?」
金子「いいよ、おいで」
安西「うん」
金子「んっ!」
安西「茜ちゃん何してんの!」
金子「悟にさ、あとでねって…待ってもらってるから…行かなきゃ」
安西「だめだよ、勝手に死のうとしないでよ!」
金子「なら殺してよ…私の事愛してるんでしょ?」
安西「……うん」
金子「私は悟に会いに行くから、樹里ちゃんは来るならおいで、今度は仲良くしないとダメだから…」
安西「…うん」
金子「ほら、首…締めて…私の命尽きるの感じながら殺して…」
安西「うん…」
金子「2人とも…」
安西「うぅ…」
金子「愛してるよ…」
安西N「最低な感触で最愛な感触……私は愚かだ、普通じゃない…仲良く生きてく道もあっただろう…でもこれでいいんだ…わたしも行かなきゃ…大丈夫、次は3人仲良くできるから」
安西「ははは…茜ちゃん…死んじゃった…あ、私の手真っ赤だ…そうだ……へへ…茜ちゃん綺麗…似合ってるよ…真っ赤なリップ……ねぇ?ぎゅーしようか……よいしょ……これをこうして……ぎゅー……あはは…痛いや……悟に謝らないとなぁ……いい加減優しくしてやろ……んっ…もっと深く……あははは!茜ちゃん…待っててね…すぐ行くから!ちゃんとするから!私は貴女を…愛してる!!」
安西N
「胸元に刃を立てて最愛の人を抱きしめる、強くしていくたび深く刺さっていく…まるで私を愛すかのように…私が死んで、2人も死んだ…きっと悲しいバッドエンド、そんなニュースになるのだろう…でも残念だな、これは紛れもないハッピーエンドだ…私にとっての幸せ、これが私の愛の形」
安西「あれ?私死んだんじゃ?」
松原「おい早く来いよ」
金子「樹里ちゃん、あーそぼ!」
安西「………うん!」
安西N
「天国でも地獄でも夢でも幻でも…なんだっていい…一緒なら…私は貴女を愛してる」