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悪役令嬢に成り代わったのに、すでに詰みってどういうことですか!?  作者: ぽんぽこ狸


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倫理観……。3




 このクラスの担任は、エリアル先生という非常に声が小さい先生だった。初試合の時にも前に出ていたので知ってる。


 その先生は倉庫の中から登場した、そしてなんと足元には、嬉しそうにしっぽをピンと立てたクラリスがまとわりつきながら着いてきている。


 ……は、はえ?


 皆は、その猫を一瞥するが、当たり前の事のようにスルーして、先生もまったく気にも止めずに、あろう事か彼女を持ち上げて片手に持ったまま、出席を取り始める。


 その声は、魔法を起動しているのか、初試合の時とは違い少しは聞き取れる大きさになっていたが、やはり小さい、おのずとリーダークラス全員がそれに必死に耳を傾けるようになり、異様な静けさの中、名前を呼ぶ声と返事が響いた。

 

 そして今更思い出す、ディックが言っていたことを。

 

 ……そういえば私!エリアル先生に呼ばれているんじゃなかったっけ?ていうか、クラリスが先生の元にいるなら、確実にクラリスに話を聞ける!ヴィンスの事も、ローレンスの事も、コーディとの関係や家の事!


 焦る気持ちを抑えて、自分の名前が呼ばれるのを待つ。


 そして知っている人と知らない人の区別をつけた。ララ、ローレンス、コーディ、ディックは良いとして、ツインテール女子はリアちゃんであっているらしい。


 あとは、同じクラスの男子チームリーダーのアイザックは、リアちゃんと同じく私を詰ってきたチームのリーダー。ヤンチャな顔つきで、多少イケメンではあるが、ナルシストっぽいところが難点だ。


 ここまでが顔と名前が一致している人、それ以外は接点が無かった人なので、これから覚えて行けたらいいと思う。


 そしてリーダークラス担任のエリアル先生はクラリスをとても愛おしそうに撫でている。クラリスは満更でもないといった感じだ。


 確かにエリアル先生は、ふんわり柔らかな優しげな男ではあるが、黒色の髪を長く伸ばしていて、前世で言うところの黒魔術師みたいな風貌だし声が小さい。

 しかし体が小さくて声までということではなく、図体はしっかりとしている。


 私の名前は、最後に呼ばれた。


 手をあげて返事をすると、黒色の髪の隙間から、影になっていて色の判別がつかない暗い瞳と目が合う。

 意味ありげに見つめられ、後でちゃんと彼の所を訪問しようと決意した。


「え〜、今日はですね。前回に引き続きカギの扱いについてです。知識的面については先日座学で教えた通りなので今日は実践ですね」


 エリアル先生がクラリスの喉元をこしょこしょと撫でながら言い、護衛役と言われていた、ごつい男性のひとりが、大きなカゴを先生の隣に置く、すると生徒達は、それを取りに行くので私も同じクラスのチームリーダーのリアちゃんとアイザックくんの後ろについて行く。するとこちらに気がついた二人は少し私に笑顔を向けてくれた。


 ……う、嬉しい!結構、嫌われていると思っていたけど、そんな事なかったみたい。

 

 前の二人が手に取ったのは、エリアル先生が言っていた通りのカギだ。原作では個人戦が多く、しょっちゅう行われる決闘に重点が置かれていたのであまり登場しなかったが、一度だけビジュアルが出てきた事があり、それにそっくりのまるでクリスマスツリーのオーナメントのようなキラキラとしたカギだった。


 多分、実際にどこかのカギという事ではないのだろう。戦闘の際、ただ、大切な物を取られないようにするという意識を持つためのカギなのかもしれない。


「全員に行き渡りましたね、では魔法玉に接続……は今日はやめておきましょうか。試合形式の“カギ取り”をします。各自、好きな位置に鍵をつけてください」


 エリアル先生のボソボソした小さな声を聞き取るために、皆は地を踏みしめる音さえ出さないように、微動だにせずにいたのに、ここでポップな声が響いた。


「え〜!!昨日まで魔法玉使ってたじゃないの、センセ」

「ララさん……そう言わずに」

「練習だけの授業なら、つまらないから私、教室に戻りたいんだけど!……あっ、それとも、彼女がいるから?今日は魔法玉無しなの?」


 ララはふわっと小首を傾げて、思案しているらしく人差し指を頬に添えてニコッと笑った。


 女性らしい喋り方だが、ララの声はまったく他人をイラつかせない。女性の声と言うよりも子供っぽい声だからだろうか。


 私は他の人がカギに通されているストラップを魔法玉につけて首から下げたり、腰につけたりしているのを見て私もスカートのベルトにつける。


「そういう訳ではありませんが……」

「ふぅん、じゃあ!貴方!最初に私と“カギ取り”しましょう」


 なんだか可愛いなと思ってカギを弄っていると、ずんずんと前の方で先生と話をしていたララがこちらに迫ってくる。


 ……あ、わ、私?

 




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