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悪役令嬢に成り代わったのに、すでに詰みってどういうことですか!?  作者: ぽんぽこ狸


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倫理観……。2




 一限目の授業は座学だったので、教科書を見ながら滔々と話すブレンダ先生を眠気を抑えつつ、ぼーっと見つめて終了する。

 皆はよくこれで、勉強のやる気が出るもんだ。私が同じぐらいの年頃にこんなつまらない授業をされたら、ぐっすり眠ってしまっているだろう。


 そんな一限目が終わり、早速ポジション別クラスの時間がやってきた。私たちのチームは、初めて参加するからか、全員ソワソワしながら、プリントに書かれている集合場所へと出発して行った。

 その間にも「喧嘩してはダメですよっ!」とチェルシーは私の心配をしていた。


「ヴィンス、場所分かりそう?」

「はい、問題ありません。クレア、どうか、お気をつけて」

「……うん?うんっ大丈夫!行ってらっしゃい」


 手を振って別れて、私は集合場所であるグラウンドの方へと向かう事にした。


 この学園は、実技重視という事もあり、運動ができるスペースが沢山設けられている。


 校舎の横にある練習場はもちろんの事、練習場の左右には開けた場所があり、申請をせずとも利用ができるし、学園の入口とは校舎を挟んで反対側にはグラウンドが整備されている。


 西倉庫前が、リーダークラスの集合場所らしい。

 場所は分かるが、行ったことは無いので正直道順が怪しい。誰か同じクラスの子は……。


 まだ出発していないリーダークラスの子を探すと、何かと私と縁のある、ツインテール女子が目に止まった。

 

 ……確か、えっと……リアちゃん?だったかな?


 つい先日、女性グループのいじめの主導者として私をからかっていた子だ。


 よし、この子について行こう。リアちゃんは仲良くしている同じ女性だけで構成されたチームの子と二人で教室を出ていく。

 気が付かれないように一定の距離を保ってついて行けば、森に囲まれた大きなグラウンドに到着する。

 整備はされているようだが、周りには巨木が立ち並んでいてさすがユグドラシル!と謎の感想が浮かんだ。


 西倉庫は、倉庫と名前がつくからには、私は前世の体育倉庫を想像していたのだが、二階建ての施設であった。個人経営の塾のようであり、中で勉強もできるような机とイスがあるのが窓から見える。


 そして謎に人が多い。学生がではない、ごつくて、剣をぶら下げている大の大人だ。その施設の周りで十名ほど休めの格好をして辺りを警戒していた。


 揃いの服を着ているということも無く、学園の教師では無いと分かる。


 生徒はちらほらと集まっていて、見たことが無い子が多かった。

 通常クラスのように、大きなグループが形成されているというより、二、三人で話をしている子が多い。


 馴染めるだろうかと少し離れた場所で彼らを見ていると、ぽんと肩を叩かれ急な事にビクッと体が反応する。


「サディアスじゃないんだね。面白い采配だな」


 誰かと思えばディックだった。


「……そっちもオスカーじゃないのね」

「オスカーは冷静さに欠けるでしょ?」

「まぁ、否定はしないけど」


 見知った人間がいて私は少し安堵する。

 

「聞いてもいい?」

「いいよ」

「あの人達は誰?」


 私が、ごつい人達を指さすとディックは体をゆらゆら揺らしながら答える。


「模擬戦相手だよ、リーダークラスは打たれ強さが重要だからね、クレアもボコボコにされんじゃない」

「うそっ?!」

「嘘!王太子殿下や高貴な身分の人の護衛だよ、チームにいる時は学生の護衛がつけるけど、ポジション別クラスの時は違うから」

「……」

「ごめんて、そんなに睨まないでよ。ただのジョークだよ?」


 彼は少し楽しそうに体をゆーらゆーらと揺らす。相変わらずキャラの濃い人だ。


「ほら……王子様が来た。もう始まる頃だよ」


 ディックに言われて見てみれば、来たばかりのローレンスと共にコーディがいる。


 二人とも佇まいがなんと言うか、とっても美しいのでとにかく目立つ。ただこの組み合わせ、私に何も関係が無いといいんだけど。


 見ているとその後ろから駆け足で近づく小さな影があり、パッとローレンスの手を取って明るく笑う。


 ……ララだ。間近で見ると本当に可愛いな。

 

 原作のメインカップルなだけあってしっくりと来る、しかし二人の笑顔に私はしくしく胸が痛む。なんでこんな気持ちになるかは分からないが、あまり見ていたくなくて目を逸らした。


「やはり気分がいいものじゃないの?」

「……何が?」


 倉庫の方へにいる、みんなと合流しようと歩き出すと、ディックに手を取られて、思わず振り返る。

 その隙に彼は、私の耳に顔を寄せ、小声で言う。


「クラリス様は嫉妬深いと有名だから」


 囁くような声に思わず耳をパッと手で覆い、ディックを見た。ゆらゆら揺れて、口を引き結んで口角をキュッとあげて彼は笑う。


「また、魔法玉を見させてね」

「……遠慮しとく」

 

 私が言うと彼は機嫌よく歩いていき、クラスへと合流した。


 ……私の事を知っている?いったいどこまで……。それに、何で知ってるの?ディックは貴族じゃないはずなのに。


 彼は学園出身と言っていたが、親は一体誰だろう。いや、それがわかったとしても、彼が何を考えているかがわかるかどうかは別問題だ。


 言いふらすようなことはしないとは思うが、気苦労が増えたことに変わりはない。

 私も彼を追いかけてクラスへと合流した。





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