前途多難……。9
「チームの戦力として一番必要なのはアタッカーだ。ヴィンスはそちらのポジションに付けることだって出来る、実力があるからだ、君は?」
「わた、私だって……」
「到底無理だと思うぞ。それに君は学ばなかったのか。何故、君は同校の出身生徒のチームから外された」
サディアスが言いたい事、やりたいことはよくわかった。そしてシンシアの事も大体わかった。
きっと裏返しなんだ、自分の力では勝てないから。個人戦では成績を残せない、だからシンシアはチームにこだわる。強い人がいなければならない。シンシアはシンシアでチェルシーとは違った理由で、私という足を引っ張る人間がいては困るから動いた。
そして、それはきっとまだ、他人に頼らなければ勝てないという劣等感や、やりたいことを自分の力だけではなせない無力感に混ざって彼女の心を荒ませて居るんだろう。
「その押し付けがましい、勝ちに執着する性格のせいだろ」
シンシアはビクッと体を震わせて、強く唇を噛み締める。きっとサディアスは自分が悪者になる事によって、シンシアを従わせて、このチームをこれ以上他のチームに遅れないようにしてくれているだけだ。本心ではない。
それはわかるんだけど、きっとそれでは……いつかガタが来るんじゃないだろうか。でもだからといって、いい方法が思いつくという事でもない。
私も目を伏せ、ここは口を出すべきではないと考えるが、膝の上で拳を握る。お門違いであったとしても、私は私らしくありたい、言いたいと思ったことを言える人間でありたい。
机に手をついて静かに立ち上がる、それから、大きく息を吸う。
「シンシアッ!!!!わたくしと一緒に練習場に行きますわよっっ!!!!」
人生最大の大声を出した。
サディアスがガタンを反射的に酷く驚いて、私を見上げる。顔色が悪い、無理をしてるんだろう。
「ヴィンスッ!!!」
「はいっ」
「チェルシーとサディアスと楽しくゲームでもして遊んで待ってらっしゃいっ!!!いいわね!楽しんでいる事!!!」
「はい」
今にも泣き出してしまいそうなシンシアの手を強引に引っ張ってサディアスの部屋を出る。
シンシアは、体を前に引っ張ると転ばないように足を前に出すような歩き方をしながら着いてきて、そのまま練習場へと引っ張って行った。




