表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

第九話 魔王軍幹部

 女の子に連れられて来た小さな村は、俺たちが歩いていた道を少し外れて歩いたところにあった。


 村には木や藁でできた家が多く立ち並んでいる。


 村に着くなり、女の子は走り出した。


「お父さん! お母さん!」


 女の子がそう叫ぶと、近くの家から焦ったような男女が飛び出してきた。


 そしてそのまま女の子を胸に抱き、目に涙を浮かべる。


「よかったわ! 無事で本当によかったわ!」

「勝手に村を出ちゃダメじゃないか、ショート! 心配したんだぞぉ」


 女の子の名前はショートというらしい。


 親子の感動の再会といった感じだ。


 俺とトランプはその様子を少し離れたところから見守る。


 アーケードは興味なさげに村を見回している。


 そうしていると、親子の方からショートちゃんの大きな声が聞こえてきた。


「そうだ、お父さんお母さん! 勇者様を連れて来たんだよ!」


 ショートちゃんが言うのを聞いて、トランプは露骨に嫌そうな表情を浮かべる。


 ショートちゃんがこちらに手招きをしているので、俺たち3人はショートちゃんとその両親の方へ歩いていく。


 顔を合わせるなり、ショートちゃんのお父さんと思われるおっさんが、俺の手を握った。


「あなた方がショートを連れて来てくださったんですか!」


「ええ」


 ショートちゃんについて来ただけだけどな。


「本当に、本当にありがとうございます! うちの娘ときたら、いきなり出ていってしまうものですから心配していたのです。……ところで、失礼ですがあなた様が勇者だというのは……」


 おっさんがそう聞くと同時、トランプが俺とおっさんの間にシュバって来た。


「いや、それはこの男が勝手にいってるだけで、本当は勇者なんかじゃおぼぼっ!」


 余計なことを言おうとしたトランプの口を塞ぎ、俺は言う。


「俺は勇者ではないのですが、元勇者パーティーのメンバーで、勇者並みの強さだと自負しています!」


 トランプが「嘘つけ!」という顔でこちらを睨んでいるが、気にしない。


 俺はここらで一度大活躍をして、チヤホヤされたいのだ。


 そんでもって、勇者パーティーのやつらを見返してやるのだ。


 俺の言葉を聞いたおっさんは、


「実は、この村は魔王軍から襲撃予告を受けているのです。私たちがそのことについて話しているのを、娘のショートも聞いてしまったようで……」


 いてもたってもいられなくなってしまったと。


「話を聞きましょう。俺が解決して見せます」


 俺がそう言うと、おっさんは目に涙を浮かべて喜ぶ。


「本当ですか! ではまず、村長の家へご案内いたします。こちらです!」


 おっさんの指示に従って、俺たちは村の中心にあるという村長の家を目指して歩き出す。


 後ろを歩くトランプが恨めしそうにこちらをじっと見てくるが、気にしたら負けだ。


 対照的にアーケードは、終始楽しそうに鼻歌など歌っている。


 おっさんの後に続いてしばらくすると、他の家よりも立派な木造の家が目の前に現れた。


「こちらが村長の家です」


 おお。


「俺の住んでた屋敷の方が全然でかいな」


 するとトランプが呆れたように、


「あんたデリカシーって知ってる? っていうかあんたの屋敷も言うほどデカくはなかったでしょうが」


 おい。



 ……ん?


「なんでトランプが俺の屋敷の大きさを知ってるんだ?」


「う、ううっわぁぁちいっせえええ! よく見たらこの村長の家まじで小さすぎるわよねぇ!? ちいせえええええええぇぇぇ! なぁユウリそう思うよなぁ!?」


 トランプが食い気味かつ大声で言う。


「おいトランプ、流石にそんな大声で言ったら可哀想だろ。デリカシーって知ってるか?」


 そんなふうに話しているとおっさんが申し訳なさそうに、


「あの、到着しましたので中にご案内したいのですが……」


「ああ、すまん」


 気を取り直して、建物の中に入る。


 後ろを歩くトランプが、大きく息を吐く音が聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ