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第五話 キャンプめし

五話です

「こっちの風呂敷には、絶対に触れないでください」


 トランプは背中に背負っていた風呂敷を地面に下ろすなりそう言った。


 まあ、従っておこう。


「では、準備します」


 そう言うとトランプは風呂敷とは別の斜めがけのカバンから次々と道具を取り出し、あっという間にテントと焚き火を完成させてしまった。


 あの小さなカバンにテントやらなにやらが全部入っていたとは思えないので、もしかすると魔道具なのかもしれない。


「そのカバンすごいな。魔道具か?」


「え?ああ、ま、まあそういう感じです。それより次はご飯っすね」


「ああ」


 トランプは今度は小さなカバンから肉と調理器具を取り出し、焚き火で焼き始めた。


 うまそう。


「なんか、こうして焚き火を囲ってると、感傷的な気持ちになってくるよな……」


「ん? ああ、そうっすね」


「俺たち、あと何回こうして一緒に食事をできるのかな……」


「え? 今回が最初で最後じゃないんですか?」


 ……。


「そういやさ、トランプってまだ俺と話すとき敬語だよな」


「まあ、そうですね」


「でも、俺たちってもう仲間じゃん?」


「さっきクビにされましたけどね」


「まあ、パーティーはクビにしたけど仲間みたいなもんじゃん? だから、もう余所余所しい口調はやめろよな」


「…………わかったわ」


「あと、俺のこともかまわずユウリと呼んでくれていいからな」


「……わかったわ、ユウリ」


「あと、遠慮せず語尾は『〜だぞい』にしろよな」


「それは嫌」


 そんな風に話していると、肉が焼きあがったようだ。


「これ、ユウリの分」


「ありがとう!」


 腹痛がある程度治ってきたのもあり、俺は自分の分の肉に夢中で食いつく。


「う、うまぁ〜」


「それはよかった」


「そういや、さっき言ってたお礼がまだだったな。俺の持ち物なんでも渡すってやつ。俺いま、このガムしか持ってないけど……」


「えぇ……」


 俺がポケットから取り出したのは、例の賞味期限切れガムだ。


「でもこのガムすごいんだぜ。スライムフーセンガムって言って、息で膨らますとスライムそっくりの大きな玉になるんだよ。ちなみに、俺の腹痛の原因はこれだ。いる?」


「いや、いらない」


 いらないらしい。


「そういえば、そこにある風呂敷の中身ってなんなの? もしかしてお宝か? なんでさっきの何でも入る魔道具には仕舞わないんだ?」


「なななななななな、ち、ちが、そそそそそそそそそそそそそそそれは、その」


 トランプが、急におかしくなった。


「なんでそんなに動揺してんだよ」


「そ、そそそ、それは、そう、その風呂敷は人のものだから! 私のカバンは自分のものしか入れられないから!」


「え? 人のもの?」


「あああああああ、しまった! じゃなくて、そ、その、おばあさんの荷物!」


「おばあさんの荷物?」


「そうよ! 隣町に届け物がしたいっていうおばあさんの荷物を預かっているの! 困っている人を助けるのが趣味なの! わかった!?」


 人を助けるのが趣味……?


 ま、まさか。


「お前も困っている人を助けてチヤホヤされようとしてるのか?」


「へ……? え、ええ、そうよ! 人を助けて自分も幸せになる。良いことでしょ?」


「おお!」


 まさか、俺と同じことを考えている人がいたとは!


「よし、トランプ。やっぱりパーティーを組み直そう! 2人で人助けしようぜ!」


「え、いや、それは……」


「え? 人助けしたいんじゃないのか?」


「いや、その……」


 するとトランプは少しの間俯き、再び顔を上げて言った。


「わかったわ……」


「よーーーーーーし!」


 こうして俺たちは、新しくパーティーを結成したのだった!




「──最悪だわ……」


「どうした?」


「な、なな何でもないわ! はああああ〜あ、早く人助けがしたいなぁーーーー!!!」

ついにパーティー結成!

ようやくラノベっぽくなってきましたね!(白目)

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