第十三話 vs固形スライム
お待たせしましたorz 続きです
会議の翌日、つまり襲撃の前日は、あっという間だった。
まず皆で木材や石などを使って武器やバリケードを作る。
その後は会議で決めた通り、選ばれた数人以外を森に避難させた。
そしてついに、襲撃当日。
俺、トランプ、アーケードと選ばれた村人18人は固唾を飲んで魔王軍を待つ。
特にトランプは昨夜からだんだんと顔が青くなり、今は海をも思わせる青さで震えている。
「ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ」
「母なる海を感じるなぁ」
「ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ」
「アーケードは緊張してないのか?」
俺は横にいるアーケードの方を向く。
「んえ? なんて? 昨日そこらへんのフグ食べたから耳が遠くて」
「フグか……。母なる海を感じるなぁ」
「ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ」
後ろを振り向くと、村人たちが俺らの方を見て何やら話している。
「フグ……? フグをそのまま食べたら死ぬんじゃ……」
「だいたい、ここらの川や池ではフグなんか取れないわよ?」
「あいつらが救世主って話だが大丈夫かよ……? もしかしたらただの頭のおかしい連中じゃねぇのか?」
「おいあの男、自分のこと勇者って言ってたけど本当か」
「やっぱりただの狂人なのかもしれないわ」
「1人はずっとガタガタ言ってるし……」
──なるほど。聞かなかったことにしよう。
「よし、気を取り直して頑張るぞ! トランプ、アーケード!」
「ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ」
「ごえん、しらおひひれへきはー(ごめん、舌も痺れてきた)」
…………。
そうして俺たちが士気を高め合っていると──
ドドドドド、ザザザザザ、と前方の遠くから重低音が響いてきた。
これはもしや……。
「魔王幹部軍が来たかもしれないな」
俺の声を聞いて、村人たちが手製の槍や斧などの武器を握りしめる。
皆で音のなる方を睨みつけること十数秒。
音はどんどん大きくなり、
ついに魔王軍幹部とその部下、スライムの大群が姿を現した!
「な、なんじゃこりゃああああああああああああああ!!!」
目の前に現れたのはまさに妖怪ヌリカベと呼ぶに相応しい、青白く巨大な長方体だった!
「ひゃあああああああ!! いやよ、死にたくなああああああああい!!」
トランプが叫びながら逃げ出そうとする。
「おい待て」
「なによ! もういやよあんなのを相手にするの!!」
そんなことを言っている間にも、スライムの大群はどんどんとこちらに近づいてくる。
そして固形スライムが事前に用意したバリケードに破壊したとき、後方から村人たちの声が上がった。
「「来たぞぉぉ! 総攻撃だぁぁ!」」
そう言うなり村人たちは巨大な固形スライムに向かって一直線に走っていき、槍や斧で切り掛かる。
しかし──
「なんだこいつ! 全然攻撃が通らないぞ!」
「ああ、硬すぎる!」
「ハーハッハッハァ! その程度の攻撃では我に傷すらつけられないぞ! なぜなら私は魔王幹部で、私の体は鋼鉄よりも硬く、タングステンよりも柔らかいからなぁ!」
村人たちは、なす術もなく固形スライムに薙ぎ払われる。
「うわー!」
「俺はやられたぞー!」
村人たちが情けない声をあげながら吹っ飛ぶ。
「ま、負けてる!?」
「ああもう、めちゃくちゃよ!」
「トランプ、俺たちも行こう!」
「いやよ!」
そうこうしているうちにも、村人たちを倒した固形スライムがこちらに向かってくる。
くそっ……
「これでもくらえ!」
俺は固形スライムに向かって、持っていた剣を勢いよく投げつける。
しかし剣は固形スライムの体に当たると、カン、と音を立てた後地面に落ちた!
「だめだなー」
「バカなんで投げちゃうのよ!」
「ああ、しまった!」
落ちた俺の剣を、固形スライムの周辺で待機していたスライムが吸収してしまう。
「ああ、俺の剣が!」
「だから言ったのよ!」
「ぐぬぬ、どうすれば……」
「おい勇者様、これを使ってくれ!」
そう言って俺に剣を手渡してくれたのは、近くに倒れていた、この村で6番目に強い男だ。
「勇者様、そいつはこの村1番のワザモノだ! それでならアイツにダメージを与えられるかもしれない! 使ってくれ!」
「おお、ありがとう! ところで、どうして1番じゃなくて6番目の強さのあんたがこの村1番のワザモノを!?」
「きのうみんなで氷鬼をして勝ったからな!」
「おお、そうか! おめ!」
俺は渡された剣を持って、再び固形スライムに向かって構える。
「今度こそいくぞ俺の全力の一撃! くりぃゃええええ真剣白刃取りぃぃぃ!」
「それは切られる方がするやつでしょ」
トランプのツッコミをスルーし、俺は勢いよく剣を投げつける!
しかし今度も剣は固形スライムの体に当たると、カン、と音を立て地面に落ちた!
「うううぅぅぅ〜〜ん、やっぱりだめやなぁー」
「だーかーら! なんであなたは剣を投げるのよ! バカ! 変な死因でくたばれ!」
落ちた俺の剣を、またも固形スライムの周辺で待機していたスライムが吸収しようとする。
「そうはさせねーぞ!」
俺は急いで剣を拾いに行き、そのスライムを蹴り上げる。すると、
「ギャアアアアアアアアアア‼︎」
スライムが悲鳴を上げながら倒れた。
「なんだ、こっちは弱いのか」
「き、貴様……!」
「へ?」
振り向くと、固形スライムがわなわなと震えている。
「貴様ァ! 許さん! 我が愛する部下に手を出すとは……生かしておけん! ルァアアアアアアアア!」
固形スライムが怒り狂い、本気で襲いかかってきた!
「やややややややややばい! 逃げるぞトランプ!」
「いやよユウリと逃げたら私も追いかけられる羽目になるじゃない。今アイツにねらわれてるのはあなただけなんだから、」
「両方とも殺す!」
「早く、逃げるわよユウリ! 2人で一緒に協力すればなんとかなるわ!!」
「おいコラお前──」
「何を話している!! ウルァァァァァァ!!! 私の体は鋼鉄よりも硬く、タングステンよりは柔らかいぃぃぃ!」
「ややややややややばい! 早く逃げるぞ!」
「だからそう言ってるじゃない!」
そう言うと、俺とトランプはそこから全力で駆け出した!




