森のクッキーやさんとクリスマスまでのお楽しみ
ひだまり童話館さま『ぱりぱりな話』の参加作品です。
この作品は、挿し絵がたっぷりあります。
挿し絵が不要の方は表示をオフにしてください。
よろしくお願いします。
おおきな森に冬の足音が聞こえてきました。
森のクッキーやさんの店主のキツネさんはクリスマスが大好きです。
クリスマスが近くなるとキツネさんは、なにをしていてもワクワク、ソワソワしてしまうので、さんかくお耳はぴこぴこ、ふさふさのしっぽはふりふり、おひげはぴんぴんになってしまいます。
そんなクリスマスが大好きなキツネさんは11月のおわりに色々なクッキーをたくさん焼くと1から24までの数字の書いてあるきれいな色のふくろや箱の中にクッキーをしまいます。
「よし、あとはクリスマスツリーにかざるだけだなあ」
ふんふん、と歌いながらクッキーやさんのお店の前にちょっとおおきなクリスマスツリーを出しました。
クリスマスのオーナメントといっしょに、番号の書いてあるきれいな色のふくろや箱をクリスマスツリーにかざっていきました。
「わあ、キツネさん、今年もすてきなクリスマスツリーができたね」
「12月になったらあそびにきてくださいね」
森のなかまたちがニコニコ声をかけてきたので、キツネさんもニコニコ笑ってこたえます。
このクリスマスツリーは、キツネさんが森のなかまたちとクリスマスまでを楽しむための大切なカレンダーなのです。
キツネさんの楽しみにしていた12月になりました。
1日はうさぎさんがぴょんぴょんやってきました。
足のとっても速いうさぎさんはキツネさんが大きな森ではじめてできた大切なお友達です。
いっしょに1のふくろをあけると──
「まあ、わたしみたいにまっしろなクッキーね!」
スノーボールクッキーがころんと出てきて、うさぎさんとキツネさんはあたたかなゆげののぼる紅茶といっしょに食べました。
2日はなかよしリスさんがやってきました。
いっしょに2のふくろをあけると──
「わあ、くるみのいい香り!」
実りの秋にいっしょにあつめたくるみがたっぷり入ったクッキーを3匹でパリパリかじります。
3日はカナリアさんが青い鳥のだんなさまとなかよく飛んできました。
いっしょに3の箱をあけると──
「とってもきれいなお星さまね……っ」
うっとりつぶやいたカナリアさんと同じきれいな黄色のお星さまのクッキーがきらきらしています。
4日はもこもこ羊さんがやってきました。
もこもこの羊さんはキツネさんの作るクッキーがすごくおいしいねといつも言ってくれます。
いっしょに4のふくろをあけると──
「わあ、毛糸みたいにぐるぐるしてるね」
毛糸のようなぐるぐるうずまきクッキーがたっぷりはいっていました。
キツネさんはあみものが大好きな羊さんにあみものをおしえてもらいました。
5日はカワウソさんの親子が久しぶりにお店にやってきました。
いっしょに5の箱をあけると──
「わあ! ママ見てみて! すごくかわいいよ!」
お皿に出してみるとお花のクッキーがさいているみたいです。
このクッキー花言葉は『いつでもあなたをまっています』――いっしょに食べるとぽかぽかあたたかな気持ちになりました。
6日は楽しいことが大好きなタンチョウヅルさんがやってきました。
いっしょに6のふくろをあけると──
「この足あとはだーれだ?」
にくきゅうクッキーを見せっこして、だれの足あとにそっくりか当てっこして遊びました。
7日は旅から帰ってきたヨーロッパアナグマさんがやってきました。
いっしょに7のふくろをあけると──
「とろりんプリン味だ!」
桃色のふろしきをおろしたヨーロッパアナグマさんといっしょにプリンクッキーをかじると中からとろりんとカラメルソースがでてきました。
8日はにゃごにゃごの会にさんかする猫さんがやってきました。
いっしょに8の箱をあけると──
「にゃにゃあ! はちだるまだにゃあ!」
数字の8をおぼえたばかりのちびっこねこちゃんが大きな声でいうとみんながにっこりわらいます。
数字の8にそっくりな雪だるまのさくさくクッキーは、猫さんたちのザラザラした舌の上でとけました。
9日は葉っぱがお洒落なたぬきさんがやってきました。
いっしょに9のふくろをあけると──
「お願いごとが叶うクッキーだわ!」
ほろほろくずれるクッキーを口にいれておまじないの言葉をいっしょに3回となえました。
10日はミミズクさんがやってきました。
いっしょに10のふくろをあけると──
「うふふ、夜ふかしのお友だちね」
お月さまのクッキーは、おしゃべりしながら夜ふかしするのにぴったりでした。
11日はわんわん会にさんかしたワンコさんたちがやってきました。
いっしょに11の箱をあけると──
「探偵みたいじゃない?」
めがねクッキーの穴をのぞいてみたら名探偵になった気分になりました。
12日はライオンさんがるんるんとやってきました。
いっしょに12のふくろをあけると──
「大きくてすてき……!」
とっても大きなチョコチップクッキーが入っていました。
大きな口をあけていっしょにざくざく食べました。
13日はビーバーさんとハリネズミさんがやってきました。
いっしょに13のふくろをあけると──
「すてきなおうちね」
3匹はすてきなおうちのおはなしをしながらクッキーをほおばると白いやねはお砂糖の甘くてやさしい味がしました。
14日はコアラさんがやってきました。
いっしょに14のふくろをあけると──
「ねえねえ、まほうのステッキみたいよね」
赤と白のキャンディみたいなクッキーを魔法つかいになった気分でふりふりするとお日さまに光ってキラキラしました。
15日はいっしょにぼうけんをしているハムスターさんと猫さんがやってきました。
いっしょに15のふくろをあけると──
「あまい匂いがするね……!」
メープルシロップがたっぷりはいったメープルクッキーでした。
サトウカエデの葉っぱの形がとってもおしゃれです。
16日はハシビロコウさんがやってきました。
いっしょに16のふくろをあけると──
「サンタさんのくつしたっ!」
2匹はサンタさんにお願いしたプレゼントをこっそり教えっこしました。
17日は遠くの森でひと仕事をおえたササヤマミロスさんがやってきました。
いっしょに17のふくろをあけると──
「ほっとひと息つきたくなるなあ」
クリスマスツリーにそっくりなクッキーはほっとおちつく大人のまっちゃ味がしました。
18日はおうたの上手なプレーリードッグさんがやってきました。
いっしょに18の箱をあけると──
「トナカイさんの鈴だわ」
2匹はいっしょにクリスマスのおうたをうたいました。
19日はオオカミさんと黒ひょうさんがやってきました。
いっしょに19の箱をあけると──
「とってもかわいいね!」
ジンジャーブレッドマンのクッキーにほっこりしながらオオカミさんおすすめのボードゲームをしておおもりあがりしました。
20日はお揃いの白黒のマレーバクさんとアリクイさんがやってきました。
いっしょに20のふくろをあけると──
「わあ、ぼくたちといっしょだよ」
白と黒のしましまクッキーを見せあいながらさくさく食べました。
21日は初雪みたいなまっしろなイイズナさんとフェレットさんがやってきました。
いっしょに21のふくろをあけると──
「雪のけっしょうだね!」
まっしろな雪のけっしょうクッキーを食べながらしんしんとつもる雪をながめました。
22日は森のおみせやさんのくまさんとアライグマさんがやってきました。
いっしょに22のふくろをあけると──
「すてきなリースですね」
秋のおわりにいっしょにつくったクリスマスリースにそっくりなクッキーのリースをみんなでにこにこ食べました。
23日はキツネさんがやってきました。
いっしょに23のふくろをあけると──
「赤鼻のトナカイさん!」
きっと今ごろトナカイさんがソリのじゅんびをしているね、とクリスマスがもっともっと楽しみになりました。
24日は森のなかまたちがみんなやってきました。
せーの、といっしょに24の大きな箱をあけると──
「サンタさんだ!」
その日の夜、森のなかまたちはサンタさんのクッキーをミルクといっしょにテーブルに置いて眠りました。
サンタさんの大好物がクッキーなことを知ってからキツネさんの夢はずっとずっとクッキーやさんになることでした。
キツネさんにとってサンタさんにクッキーをプレゼントすることができるクリスマスイブは夢のような夜なのです……。
クリスマスの朝──
森のなかまたちのまくらもとにはサンタさんからのすてきな贈りものとからっぽのお皿とコップが置いてありました。
ここは森のクッキーやさん。
あなたも森のクッキーやさんとクリスマスまでをいっしょに楽しみませんか?
おしまい
読んでいただき、ありがとうございます♪
小さな頃からアドベントカレンダーが大好きです……!
お菓子の入っているもの、イラストが描いているもの、どれもわくわくして次の日を楽しみにしていた記憶があります。
次の日は誰だろう?なんのクッキーだろう?と、わくわくした気持ちになってもらえていたらとても嬉しいです。