表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/9

冒険者アルベルト・ドキャバン

 これは冒険者アルベルト・ドキャバンについて聞かれた3人の人間の証言だ。


Case1

受付嬢、カムイ・クーの場合


「アルベルトさんですか?とっても良い方だと思います!ええ、受付嬢一同、応援してるんじゃないでしょうか。だってまだここに来て3年くらいでお若いし、みんなデビューの時から見てきてますからね!

それに冒険者の方ってその……あまり素行がよろしくなくて……理不尽に怒鳴られたり、無茶な要求されたり……あとはまあセクハラとかもあるんですけど、アルベルトさんはそんなこと全くなくて、とっても紳士な人です!いや……私たちが冒険者に求める『紳士』の基準が低すぎるのかもしれませんけど……。

でも一切問題を起こさないし、ギルドへの登録料とかも延滞したことないし……やっぱり客観的に見ても素晴らしい方なんじゃないでしょうか!

えっ!個人的に、ですか?……その、内緒ですよ?

……ベアトリーチェさんに酷いこと言われてるのとか見ると、その、可哀そうで、守ってあげたいなって思います。……これ、絶対内緒ですよ?」


Case2

C級冒険者、ヒルダ・グランデの場合


「ん?アルベルト?あれは良いやつじゃないか?口調も柔らかいし、温厚だよ。あのわがままな姫様と長年一緒に付き合えるってのはそれだけでずば抜けたお人よしなんじゃないかい?

その証拠に中々人望もあるんだよ。見る目があるやつは大体が認めてる。そうだねぇ……。うちのギルドには今大体300人くらい人がいるけど、それを三つに分けるとしたらまずモードレットのとこに150人、マンガンのとこに100人、そんであとの50人はアルベルトのとこに集まるね。それも、50人だろうと実力は他二つに負けないような粒ぞろいでさ。

だがま、逆に言えばちょっと難のあるやつに好かれすぎるって言うのは問題かもね。ベアトリーチェは勿論、キーシャとか、まあリリスはまともかも知れないけど……あとは【ハイエナ】のジョンとかね。ああいう問題児を引き寄せる何かがあるんだろうねぇ。

ま、呑み友、くらいがちょうどいいよ。基本優しいし面白いやつだから。ちょっと会計にうるさいところが玉に瑕だけどね」


Case3

B級冒険者、ジョン・ピースの場合


「ん?アルベルトについて教えてくれだって?そりゃ『黄金の舞踏会』のアルのことかよ。ほお、そうかい。でもあいつはそんな変わりもんじゃねぇし、面白い話はねぇよ。気のいいやつさ!ああ、困ってる人がいたら助けるし、性格もまともな方だ。孤児院にしょっちゅう金を寄付してるってぇ聞いたな。そうそう、良識があるんだ!

……だがよ、良識はあるんだが倫理観はねぇ!ぎゃはは!おかしいだろ?もし仮に今、目の前の俺を殺せって王様に命令されたらお前は殺せるか?ん?想像するのがむずいって?ま、そうだろうなぁ。とにかくワンテンポ困るもんだ。殺すにしろ殺さないにしろ、普通は躊躇するんだよ。だがあいつは王様に言われちゃあやるぜ。全く悩まずやるぜ。いや、悩むふりはするし、友達だから悲しみもするんだが、心の奥ではもうどうやって殺すかしか考えてねぇぜ。

あいつに好きな言葉を聞いてみろよ。多分世界平和とか酒池肉林とか、ま、ふざけたこと言うだろうが絶対ほんとのところは『正当防衛』だぜ。いざ、が来るまでは普通の奴なんだが、いざ、となったら何でもやるんだあいつは。人の目ん玉に指を突っ込める男だ。あいつが普段人の目ん玉に指を突っ込まないのは想像するだけで痛ぇからじゃねぇ、やる必要がないからだけなのさ。

おいおい、気は良いやつだって言ってるだろ?人間らしいっちゃ人間らしいやつじゃねぇか。そもそもな、B級以上のやつってのは大体が頭おかしいんだ。S級とA級とB級が一流で、CとDが二流、Eが三流ってのはよく言われるが、一流の人間ってのはどんな職業かに関わらず大体がおかしいやつらなんだ。そん中じゃ付き合いやすい部類だよ。

え?B級なら俺も頭おかしいのかって?おいおい勘弁してくれよ。俺はB級の中で数少ないまともさ。俺は可愛い可愛い、【平凡顔】のジョン様さ。はははは」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ