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お泊まり勉強会 前編

「億越えらしいよ。そうだよね、()()()君」


結菜が笑顔で流生を見つめる。

この娘、どこまで流生の事知ってるんだろう?


「あの大会、ルイちゃんについたスポンサーって10社近かったって聞いてるよ。優勝ボーナスを含めたスポンサー収入が、優勝賞金の何倍もあったって、噂されてたよね」

「「「……」」」


私も陽葵も亜里沙も、言葉が出ない。

流生も返答に困っているようだ。


「可愛い女の子にも随分言い寄られたみたいだけど、浮いた噂は全くなかったよね。そのルイちゃんが、あっという間にデレちゃったんだから、リンちゃんとはよっぽど相性が良いみたいね」


結菜の視線が私に移った。


「…否定はしませんよ。凛を好きになるのに、時間は掛かりませんでしたからね。それを相性って言うなら、そうなんでしょうね」

「…流生」


ああもう、何で向かいに座ってるのよ。

そんな言葉聞かされたら、ギュッてしたくなっちゃうじゃない。


「お話はここまでにして、宿題片付けちゃおう。リンコのニヤケ顔がヤバい事になってるわ。惚気話させたら、止まらなくなりそうよ。ルイっちとの話は後でゆっくり聞かせて貰えば良いわ。何なら、泊まり込んで女子会しても良いし」

「それもそうね。ルイのスペックや収入には驚かされたけど、今の私達には宿題が一番の問題だもんね」


一通り結菜の話を聞いた陽葵と亜里沙が、勉強モードに切り替わった。

私達も中学時代までは学年上位にいた生徒だ。

学校全体のレベルが高いから、学年中位に甘んじているけど、高校生全体で見れば、勉強の出来る部類に入る。

やる時はやるのだ。


「反復問題みたいなヤッツケ問題は丸写しするけど、分からないままにして置けない問題は自力でやるから、ルイちゃん見てくれないかな…」

「そうだね、ルイっちお願い」

「ルイ、良いよね」


この頼み方はズルい。

真面目に勉強するって言えば、流生は断れない。


「分かりました。ここを片付けて、用事(エッチした部屋の片付け)を済ませたら俺も行きますから、先に凛の部屋で始めてて下さい」


結局、流生も巻き込まれた。

私達はキッチンで片付けをする流生を置いて、2階に上がった。


「「「広〜い、何この部屋?!」」」


3人は部屋に入ると、広さに驚いたようだ。

私だって、ここが自分の部屋だって言われた時は、何の冗談かと思った。


「私の部屋の倍は楽にあるよ」

「家の大きかさから予想はしてたけど、これは凄いね」

「羨ましいよ。こんな部屋とルイまでセットで、お母さんの再婚でリンが一番恩恵受けてるんじゃない」

「ちょっと、流生を物みたいに言わないでよ!」

「ごめんごめん。そんなつもりで言ったんじゃないって」

「でも、私達もリンちゃんのお陰で、ルイちゃんに宿題見てもらえるんだから、恩恵受けてるんじゃない?ルイちゃんが来る前に進めておこうか」

「そうだね、ルイっちが片付けまでしてくれてるのに、時間を無駄にできないね」


JKが4人も集まれば、お喋りが尽きないのは愛嬌みたいなモノだ。

ちゃんと切り替えられるだけでも褒めて欲しい。


宿題に取り掛かると、ちゃんとやる所は流石だ。

誰もふざける事なく、黙々と宿題を進める。

私も今の内に、明日の予習をしちゃおう。




コンコン


「凛、開けてくれ」


勉強を始めて暫くすると、ドアがノックされ、流生の声が聞こえた。


「今開ける」


ドアの前に、トレーを持った流生が立っていた。

2Lのペットボトル2本に5人分のカップ、お菓子がトレーに乗っていた。


「ごめんね、勝手に友達呼んで、こんな事までさせて」

「謝る事じゃないだろ、ここはもう凛の家なんだから、友達くらい遠慮なく呼んで良いんだよ」


本当に流生は、良い子だ。

いきなり迎えに呼び付けて、ゾロゾロ友達を連れて来ても、文句一つ言わない。

それどころか、ご飯を作ってくれて、お茶の用意までしてくれる。


この後、友達の宿題まで見てくれるって、甘いにも程がある。

それだけのキャパが有るって事なんだろうけど。

ママの言った通り、これで中学生なんて反則だよ。


「ルイちゃん、有難う」


部屋の入口に立っている流生に結菜が近付き、トレーを受け取る。

結菜が持つトレーの上から、重たいペットボトルだけを流生が手で持った。

本当にさり気なく、こういう事するんだよね。


「ルイちゃんって優しいね」


結菜がへにゃりと流生に笑いかけた。

ああ、亜里沙より結菜の方がヤバいかも。


「少し休憩しよう」


結菜がカップにお茶を注いで、みんなに配った。


「あ、もう2時間も経ったの?」

「2人とも終わりそう?」


3人が進捗状を確認し合う。


「ギリ終わりそうだけど、結構遅くなるね」

「私もギリギリだ」

「丸写し出来ないように、個別課題が結構有るよ」


確かに3人の宿題を見ると、問題がバラバラだ。

生徒全員に違う問題が出てるんじゃなくて、ランダムに組み合わせてある。

3人に出てる問題も有れば、1人か2人にしか出てない問題もある。

学校も、かなりイヤらしい事をしてくれたみたいだ。


「ねぇリンコ、本当に泊まっても良い?」


陽葵が切り出すと、亜里沙と結菜も泊まりたいと言い出した。


「流生、良いかな?」

「みんなの親の許可があれば、ウチは構わないよ。親父には俺から言っておく」


流生は、あっさり了承した。

3人も直ぐに家に電話し、親の承諾を取った。


「よし、これで心置きなく出来る」

「でも着替えどうする?明日このまま学校に行くんだよ」

「買いに行ってたら、時間のロスだよ」


急な話で、3人とも泊まりの準備をしていない。


「凛に部屋着を借りて着替えて下さい。ブラウスは直ぐに洗濯します。下着とソックスは、凛に買って来てもらいましょう」


流生が即決する。


「リンちゃん、私はE-65「待てぇぇぇええ!」


結菜が躊躇わず、下着のサイズを伝えようとした。

EってなんだEって。

私だって、もうすぐCになるんだ。


「流生のいる所で、サイズ言っちゃダメ!」

「あれ?何でリンちゃん、涙目なの?」


絶対に分かってやってる。


「私はD-「やめぇぇええ!」

「凛、俺夕飯の準備するから」


流生が一旦、部屋を出た。


高1女子の平均はBなんだ。

私が小さい訳じゃない。

だって、流生は私が胸を押し付けると、ドキドキしてくれるもん。

この3人の発育が良すぎるんだ。


3人に下着のサイズを聞き、買い物に出掛ける事になった。

流生を探すと、キッチンでお米を研いでいた。

そっと流生に近付き、背後からギュッと抱きしめる。


「凛?どうしたの?」

「流生も大きい方が好き?」

「胸の話?」

「…う、うん。3人とも私より2サイズ以上カップが大きいの」


自分で言っていて悲しくなってくる。


「ありきたりに言うと、大きさに拘りはない」

「……」

「男ってさ、性的な目で見る対象と恋愛対象を完全には、同一視してないんだよね」

「好きじゃなくてもエッチ出来ちゃうってこと?」

「多分、そんな感じ。大きな胸を見て、エッチな気分になっても、好きになる事とは別。凛の胸が大きくなっても、このまま成長が止まっても、好きかどうかの気持ちには影響ないよ」

「…エッチする時の気分には、影響するんだ?」

「それは分からない。俺、昨日まで童貞だったし…」

「そうか。ちょっとズルい言い方された気もするけど、気休めの嘘を言われるよりは良かったかな」


完全にスッキリした訳ではないけど、不安は減った。

抱きしめる力を緩めると、流生がクルリと回って、正面から向かい合った。


「大好きだよ、凛」

「〜〜〜っ♡」


完全な不意打ちだ。

耳元でそんな風に囁かれたら、力が抜けちゃうよ。

蕩けた私をギュッて抱きながら、流生が唇を重ねた。


「ぁむ、ちゅぴ、ちゅぴゅ、ぅん」


流生の顔がゆっくり離れていく。

膝に力が入らない。

胸の話なんか、どうでも良くなってしまった。


「流生の女誑し!」


何が悔しいのか自分でも分からなかったが、兎に角悔しかった。

だから、首筋に思い切り吸い付いた。


「〜〜って…」


目立つ場所にキスマークを付けてやった。


「凛、何すんだよ?また痕付けたろ?」

「マーキングだよ。おっぱいの大きな女の子とエッチしないように」


自分でも「ないわ〜」って思う、酷い八つ当たりだ。

流生は多分、私が不安にならないように、好きって言ってくれたのに。


「…それで気が済むなら良いよ」


ああ、またこれだ。

我儘も理不尽な八つ当たりも、全部受け止めちゃう。

本当に甘え放題だ。

居心地が良過ぎて、いつまででも傍にいたくなる。

これじゃ気合を入れ直さなきゃ、買い物にも行けないよ。


(よし!行ってこよう)


「流生、買い物に行って来るね」

「俺も行こうか?」

「…う、大丈夫。みんなの宿題見てあげて」


ヤバいヤバい。

付いて来て貰いそうになった。

買い物くらい、独りで行かなきゃ。


「行って来ま〜す」

「気を付けてな」


流生と陽葵達を残して買い物に出た。




若干の不安を抱いて…

お読みいただき有難うございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 凛が子供っぽくなって甘えてる所。 [一言] 昨日の感想送信後、私が勘違いした箇所の修正を入れていただきありがとうございました。
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