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彼岸の華   作者: 杏ころもち
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二章 逢魔が時の邂逅

二章 逢魔が時の邂逅

 (ⅰ)

次の日の朝、私は普段と変わらぬ時間に目を覚まして、朝食をとった。昨日の自らの出した結論のうすら寒さが未だに皮膚の上に残っており、私はもう少し人の多い時間帯に家を出ようと考えた。

普段と変わらぬルーティン通りに支度を済ませ、余った時間でモーニングコーヒーを準備する。例えインスタントとは言え、やはり朝のコーヒーは格別である。カフェインによって脳細胞が再起動していくようであった。

見回すと、祖母の姿がなかった。朝刊を取りに玄関口までスリッパを履いて出て行ったところまでは確認していたが、それからどこへいったのか。

コーヒーを飲み終わり次第出かけようとしていたのだが、果たしてどうしたものか…。念のために玄関口を覗いておこうと引き戸を開けて外を確認すると、祖母の後ろ姿が見えた。どうやら先ほど外に出てから今までそこにいたらしい。

祖母は朝刊らしきものを手に、じっとその中身を読んでいるようであった。そんなに気になる記事でもあったのかと、荷物を持ってそのまま外へ出て祖母の傍に近寄った。しかし数歩先までの距離に来ると、祖母の手の中にあるのが朝刊ではなく、封筒、ないし手紙であるということが分かった。誰か古い友人からの手紙であろうか、それほどまでに熱中して読んでいるようで、私が祖母に声をかけるまで全くこちらの気配に気づいていなかった。

ポストの口からその他の郵便物が屍のようにだらりと舌を出し垂れ下がっている。

「おばあちゃん、手紙?」

声をかけられた祖母は何故か肩をビクリと震わせ、反射的ともいえる速さでこちらを振り返った。

「深月ちゃんだったのね…」

「ふふ、私以外、誰がいるの?」

祖母のおかしな反応に、内心妙だとは感じていたが、なるべくそれを表に出さずに私は祖母の次なる言葉を待った。すると祖母はまるで独り言のように、「私はてっきり…」と呟いた。

木々がざわめく音が不穏な空気を醸し出し、私に次の言葉を紡がせるのを憚らせたが、どうしても引っかかったので、思い切って私は祖母に尋ねた。

「何かあったの?」

私は祖母の様子のおかしさに今気が付きましたという風を装った。

「いや、なんにもないの。深月ちゃん学校かい?気を付けていってらっしゃい」

祖母はこれ以上何も質問できぬような勢いで私を送り出した。明らかに不審であったが、あちらにこれ以上話す気がないことも確かであるように思えたので、私は何も聞かずにそのまま自宅を後にした。

最後に祖母が何か呟いたような気がしたが、その蚊の鳴くような声を私ははっきりと聞き取ることができなかった。しかし、その手紙を受け取ってからの祖母の様子はしばらく私の中に不安の残り火を焚くこととなった。

てっきり、という言葉は先程の会話の中で一番祖母の本音が込められていたものであった気がする。

祖母は何を勘違いしたのだろうか。タイミングからの憶測ではあるが、私の呼びかけの声に対しての言葉だったように感じられた。

とすると、私の声を誰かと聞き間違えてあそこまでの驚きを見せたのか。

様々な情報が脳内を彷徨って、浮かんでは消えを繰り返したが、結局まともな形を成しえることもなく、五月のやけにぬるい風に攫われていった。

 そのように考えごとをしているともう学校のすぐ近くまで辿り着いていた。俯きがちに思案していたせいで、すこし首が痛い。

青々と色づき始めた桜並木の根元で、雀が群れを成してたむろっている。高い鳴き声をあげて互いにコミュニケーションを行い、地面を突いて回っている。鳥類の中では弱々しく見える彼らだが、そうして地を這う虫に嘴を突き立てる姿は暴君のようにさえ映る。

弱者がそれより下の弱者を嬲っている姿は、滑稽に見えるのと同時にいやに恐ろしくも感じられた。

強者のなりをした者が、弱者を食らう姿は弱肉強食の世界の写し絵とされ、世間からは大した抵抗もなく自然の摂理として受け入れられている。しかし、その強者の主体がダウングレードして、弱者対最弱者の構図になった途端に卑屈なものになるのは、果たしてどうしてなのだろうか。

学校の正門をくぐり、何人かのクラスメートとすれ違うが、誰も私の存在を気にかけない。

私とあの地を這う虫の唯一の違いは、未だ餌食となっていないということだけか。あるいは、そもそもまともに食べられたものではないという点か…。

昇降口まで辿り着き、靴を履き替える。抜け殻を入れ替えて、そのままの足で今日は教室へと向かう。

昨日とはうって変わって、教室の中には人が密集していた。よくもこんなにも狭い空間に寄り集まって過ごせるものだ。まるで蟻のようである。この狭苦しい箱の中で、みんな窒息死しないのが私は不思議でならない。互いに酸素を奪い合い、自らの居場所を保持する。

私は自分の席に座り、誰にも聞こえないようにため息を漏らした。

どうにも祖母の様子が気になってしまって、落ち着かない。その上、ただでさえ卑屈な私が祖母からのエネルギーを貰わずに外界に降りてきてしまった。思考が陰惨なものになってしまい、そんな自分がまた嫌になり気分が落ち込む。

小難しいことを考えたところで、その着地点はどのみち自己嫌悪か、厭世的なものであると分かっている。もうこんな悪循環は終わりにしたいと思うこともあるのだが、私の中の別の私が、そんな私をせせら嗤ってはダメにする。

 私は常々不思議なのだが、ほかの人たちは、こうして存在する自分の中の様々な人格をどう処理しているのだろうか。いつだってみんな同じ人間な気がするのだ。それともその他の自分を見せないようにして、一つの人格のみを前面に出して暮らす術に長けているのか。いや、その場合は私が劣っているのだろうが。

とにかく、私の周囲の人間はまるで、自分という存在はたった一人であるかのように振舞っているのだ。だがそんな馬鹿なことはあるまい。肉体という一つの入れ物に、様々な自分が内包されている、そうとしか考えられない矛盾に満ちた行動をするのが人間ではないか。

それとも、まさか本気で自分は一人だとでも信じ込んでいるのか?物事を考え、答えを出すのも自分ひとりだと?それならば、どうして迷う。なぜに人は自分を完全に支配し制御することができないのか。やはり、自分の中には様々な自分が混在していると考えるのが自然ではないのか…。

私は延々と、机上を睨みつけて自問自答していた。すると、私が見詰めていた机上に、どんと誰かの両手が置かれた。急な事で驚き、私はぱっと顔を上げた。

「おはよ、深月!」

その瞬間に私の周囲の湿った空気が霧散したような気がした。このままでは高湿度のあまりカビかキノコでも生えるかと思われたが、輝かしい太陽に照らされて、徐々に健康的とも言える湿度に戻っていく。

どうやら、私の中のすべての私が、彼女のことは好意的に受け取っているらしい。

彼女のその凛々しい顔を見やると、自然と微笑みが浮かんでくるのが分かった。自分の胸中に不足していたエネルギーが満たされていくのを確かに感じられた。

「おはようございます、緋奈子さん」

彼女が私の微笑みに応えるように笑う。

「大丈夫?なんか机の上を、凄く怖い顔して睨みつけてたみたいだけど…」

見られていたのか。確かに、傍から見たら異様な光景であっただろう。何もない机の上を睨みつけるなど、虚空を見据えているのと変わらない。

「ええ、大丈夫です。少し考え事をしていたんです。」

「ああ、もしかして事件のこと?」

「いえ、それもあるのですが、今朝祖母の様子がおかしかったもので…」

さすがに今考えていた内容をそのまま口にすることはできなかったため、多少嘘をつく形にはなったが、祖母の様子を気にしていたことは事実だったため、あながち全てがそっくりそのまま嘘というわけではなかった。

クラス中の生徒が私たちを遠巻きに見ているのが、そちらを確認せずともありありと感じられた。あまり心地の良いものではないが、その態度も無理はないなと内心一人納得していた。

クラスから今や腫れもののように扱われている私と、スクールカーストの頂点に立っているような緋奈子さんが、ある日突然仲睦まじい様子で語りだしたのだ。昨日今日で一変してしまった二人―とりわけ私の様子に周囲が興味を示すのは不思議ではない。

当事者の一人であるはずの緋奈子さんは、そういった周りの様子に気づいていないようで、ただ私の発言に心配そうに顔を曇らせているだけであった。

「何かあったら力になるから。遠慮なく話してね?」

クラスメートたちがわずかにざわついている。ありがたい申し出だったのだが、おそらくは彼女は普段からこういった発言はしないのであろう。彼女の印象について威圧的なイメージを抱いていた私としては、特別扱いされている風に見られてしまうのは致し方ないと思う一方、クラスから一目置かれている人物から、こうした待遇を受けているということに、どこか優越感のようなもの感じているのもまた事実であった。

そうした自分の俗っぽさを改めて自覚すると、少しうんざりするし、さらに言うと彼女との友情をそうした自慰的な感情に変換してしまったことが何よりも私を辟易させた。

緋奈子さんとの関係を、それ以外の他人を交えた視点から考えるのはよそう。

せっかくの善意を汚したくはない。彼女と一対一で真摯に向き合うのが私の義務であるかのようにさえ思えた。

その申し出を潔く受け取り、私は話題を変えた。

「学校のほうは、普段通り授業を行うのでしょうか」

緋奈子さんは腕を組み、へそを曲げた少年のような口ぶりでそれに返した。

「そうみたいだよ、下校だけが例外で、集団下校。それはまあいいんだけどさ、それに伴って部活動はしばらく休止だってさ。一週間どころの話じゃなくなってきてさ、もううんざり」

なるほど、だから少し不貞腐れたような口調であるわけだ、と冷静に彼女を分析している自分と、彼女の交互に組まれたしなやかな腕を覗き、やはりとても美しいものだと彼女を分析している自分が、心の中の両端に存在した。

緋奈子さんは真剣に話をしているというのに、彼女に見惚れている自分がなんだが急に恥ずかしくなって、ふと目線を逸らした。どうやらここ数日で、残念ながら私は下品さというものを習得してしまったようである。

私は自虐的な思考から脱するために、彼女の話の一部分だけを抜粋して言った。

「集団下校、ということは、その、宜しければ今日も途中まで一緒に帰られますか?」

多少図々しい物言いだっただろうかと不安になって、疑問、提案の形を強めるために私は小首を傾げた。こちらの心配をよそに彼女は最初、無言のまま頷き、それから遅れるような形で「もちろん」とだけ付け加えた。

良かった、どうやら杞憂だったようだ。

そこでようやく担任の先生、古川先生が教室へと入ってきて、緋奈子さんは自分の席へと戻った。未だ数人ばかりのクラスメートから奇異の視線が送られてきている気がしたが、その手の視線に私はめっぽう強い。というか、すっかり慣れてしまった。もちろん気にならないというわけではなく、意識的にそうした感覚をシャットアウトすることに慣れたというわけである。

そもそも、人間には視線を感じる力はないとされている。一時期は、ほんの微弱な電気的な信号をなんとか受信しているのではとも言われていたが、今ではその説は主流ではない。

つまりは人間の幻覚、幻想、錯覚であるわけだ。

人の無限の想像力が、人を過敏にし、時に追い詰める。

私たちは、自分に備わった優れた能力ですら刃に変えて、矛先を自分へと向けることがままあるのだ。

考えれば考えるほど、人は複雑化し、脆く弱くなる。子供の頃に持っていた単純さという最強の能力は、生きれば生きるほど失われていく。

そして、私の中の単純さは、あの雨の日に死んだのだ。

生きるということは結局、失い続けるということなのだろうか。

 (ⅱ)

 放課後になり、先生がみんなに下校を促す。つまり集団下校の時間というわけだ。下校の準備をしているうちに、足早に緋奈子さんがやって来た。どうやら彼女のバッグは空腹のまま満たされていないようで、とてもやつれていた。

なんだか尻尾を振って飼い主によって来る大型犬をイメージしてしまい、微笑ましくなった。

「じゃ、帰ろっか!」

彼女が時折見せる少年のような表情は、なんだか彼女の中のしなやかな美しさと共存できないものに見える。

立ち上がって、彼女とともに教室から出る。他にも多くの生徒たちが群れを成して校舎から出ていくが、そのうち何人かが私達を追い抜く際に振り向いていった。そしてその後コソコソと内緒話をしていくのが、彼女たちの中ではテンプレート化されているようだ。

校舎から外に出て、川の流れのように一方向へ進んでいく生徒たちに混ざって正門までたどり着いた。すると、正門に立っていた古川先生が一瞬意外そうな顔を浮かべて、意気揚々と声をかけてきた。

「おー!時津!秋空さんといつの間に仲良くなったんだ?」

そう言うと彼は緋奈子さんの肩をぽんと叩いた。

相変わらず声が大きく暑苦しい印象を受ける。五月初旬の時点でこれだけの熱量を発していては、夏本番になったときにはどうなってしまうのか疑問とともに不安を感じざるを得ない。

対して緋奈子さんは何故だか、非常に気まずそうな、あるいは面倒になったとても言いたげな表情をしていた。歯切れ悪く言葉にならない呻き声を上げている彼女に代わって、私は経緯を答えることにした。

「先生のお陰です。昨日先生が緋奈子さんに私を送るように言って頂いたことがきっかけで、その後仲良くなれました。」

私がそう言うと、一方は不思議そうに首を傾げ、もう一方は顔に手を当て俯いている。だいぶ顔に朱がかかっているがどうしたというのか。

すると緋奈子さんが何か言おうとしたが、結局言葉にするのを諦めたようで黙ってそっぽを向いていた。古川先生は段々と表情をニヤニヤとしたものに変えていく。どうやら何かしらの合点がいったようで、彼女の方をチラリと向いて目を細めた。緋奈子さんと彼の間で謎のアイコンタクトが発生していたが、先生は視線を彼女に向けたまま口を開いた。

「いやー、なんのことだ?秋空さん。俺は時津にはそんなこと一言も言っていないぞ?」

「あ、くそっ」

先生が喋りだすと同時に緋奈子さんは罵声を上げた。先生に向かって凄いなぁと他人事のように私は考えていたが、彼の言葉を遅れて脳が理解し、私は混乱した。

「え、いえ、でも緋奈子さんは確かにそう言ったはずですが︙」

私の言葉に緋奈子さんは再び声にならない声を出し、しゃがみこんだ。周囲の生徒が何事かと足並みを緩めて彼女を眺めている。

未だに事態が飲み込めない私は、助け舟を得るべく古川先生を見やった。すると彼は、妙な清々しさを含んだ苦笑いを浮かべて言った。

「この通り、こいつは剣道の腕だけが取り柄の人間だ。不器用で、気になる相手にも理由が無ければ話しかけられない、男子中学生みたいなやつだが、仲良くしてやってくれな。秋空さん!」

言葉は多少乱暴なものであったが、その中には多量の優しさが含まれているのが容易に認識できた。その言葉でようやく私も意味を理解することができて、つい反射的に隣でうずくまっている緋奈子さんの方を振り向いてしまった。すると、同じようにこちらを見ていた彼女と目線が交錯した。

刹那、彼女の顔が真っ赤にハイビスカスのように色づいた。それに染められるように私の顔が熱を帯びるのが分かった。何も言わずに瞳だけをうるませる彼女を見ていると、想像を絶するほどの庇護欲に駆られる。いや、もっと︙こう、なんというか言葉にし難い、温かく、しかし恥ずかしくなるような謎の感情だ。

私の中のその知らない感情が、風船のように膨らんでいく。

破裂してしまったらどうなるのだろう?

もしかすると、彼女のことを力いっぱい抱きしめてしまうかもしれない。

ややもすれば、今二人だけであったならその魅惑的な衝動に身を委ねていたのではないかと思う。

このままでは埒が明かないと考え、私は蹲ったままの彼女に手を伸ばした。未だに顔が燃えるほどの羞恥心に襲われていたが、きっと彼女のほうがその感情は大きかったのであろう。彼女が握り返してきた掌の熱さがそれを物語っていた。

熱い。溶けそうなまでに。

こんな生の感情をぶつけられては、普段の私の居場所がなくなってしまいそうだ。

孤独で、陰々滅々として、厭世家ぶっている私の日陰がなくなってしまう。

こんな日向は、私には少し気がひけるのだが、不思議と気分は悪くなかった。

そうして立ち上がった彼女と正門をくぐり抜ける。古川先生のどこまでも爽やかな笑顔に見送られて、私達は帰路を進んでいった。途中、隣で彼女が「もう!」とか「空気読んでよ、ほんと!」などと悪態をついていたが、そんな彼女さえ今はとても愛らしく見えた。

少ししてようやく落ち着いたのか、未だほんのりと顔は赤かったが、彼女は極めて冷静であるように努めたような不自然な口調で私にぼやいた。

「いや違うんだよ、深月。その、ほんと違うんだって。」

「ふふ、何が違うんですか?」

そんな彼女の言い訳にすらならない言葉に、ついついからかいたくなる気持ちが抑えきれずそんなことを口にしてしまう。

すると、緋奈子さんは一瞬驚いた表情を浮かべてから、ほんの数秒黙って俯いた後、小さな声で「いじわる」とだけ呟いた。

私は再び先程の謎の感情に襲われた。今度はさらなる熱量を抱えており、胸の奥をジリジリと焦がしていくようであった。

とても心地の良い時間が続いていたことで、私はもうじき訪れる別れがどうしようもなく惜しくなった。

そこで私が少し遠回りをすることを提案すると、彼女はそれを快諾しくれた。もしかしたら彼女も私と気持ちなのではないかと思い、また胸が熱くなった。

すぐそこの角を曲がり、川岸の方の道へと近づく。もう周りに生徒はおらず、静かな路地に私と彼女だけだった。

胸の中の虚ろな穴を、温かい液体が満たしていく気がした。

こうして彼女と日々を過ごすうちに、もしかしたら私は彼女と同じ日向に出られるのかもしれない。

全く違う液体である私たち。水と油、とは思いたくなかった。その二色の液体が一つの瓶の中で混ざり合っている。私は瓶底の液体だ。地の底に近い場所で、彼女を見つめている。

自分がそうした歪な存在であることを忘れていた。

それを思い出すことになるのは、川沿いの細い小道に入った瞬間であった。

空気が明らかに腐敗したのが肌で感じられた。

ひりつく、粘着性の高い、澱んだ空気。

瓶底の、さらに底に位置する存在。

息が詰まりそうになり、ふらつく。もうまともに立っていられない。

ここまで濃厚な気配を感じたことは今まで一度もなかった。頭の内側から鈍痛が鳴り始め、私を壊そうと金槌で叩く。

私の中の少女が、甲高い声で泣き始める。少女のかつてないほどの怯え方に、私の内外で警鐘が鳴っている。

「深月?どうしたの…?深月!」

豹変したとも言っていいほどの変わりように、緋奈子さんが声を荒げて私を呼んでいる。

しかし、瓶の底からする呼び声があまりにも騒々しすぎてまともに聞こえない。

視線を上げられない。地べたを見つめたまま、壁に手をつきなんとか呼吸を繰り返す。この空気の発生源を決して認識してはならない。すれば途端に耐えられなくなる。おかしくなる。

これは、生きている人間が受け取っていい周波数を超越している。私が壊れないことの方が不思議に思えてくる。

そうだ。

そうだ、これはあの日と同じ。

死。

死だ。

あまりにも生々しく、強烈な死。死の臭い、死の音。死の光。

命が息絶え、輪廻転生の輪からも弾き出され、死者の妄念が生まれた瞬間に発せられたであろう、誕生の閃光なのだ。

見てはいけない。あの日の少女が首を左右に遮二無二振る。

駄目だ。だめ―

「深月!しっかりして!私が見える?こっち向いて!」

彼女の優しさを傍に感じ、それに縋りついた。縋りついてしまった。

彼女の顔を見ようと、私は面を上げた。

その瞬間だった。

緋奈子さんの少し後方、川岸と道を隔てる柵の傍に、ソレはいた。

「―…あ、あぁ」

男だ。だが、あまりにも人間離れしている容姿に私は言葉を失った。

その双眸は虚ろに染まり、肌は青々としており、口はだらしなく開いたままだ。だが、それよりも明らかに異質を醸し出していたのはその両腕だった。

肘から先にかけて欠損している。切断、いや、千切れている。こちらからは良く見えないが、断面から滴る血液だけが、いやに鮮明に赤い。それだけが生前と何ら変わらないままであるのがやけに彼の存在感を後押ししていた。

「深月…?」

私の視線の先を追い、何事かと両目を忙しなく動かしその何者かを探すが、緋奈子さんには彼の姿が見えないようだ。

(なぜ?どうしてこれが見えないの…?こんなにも、こんなにも彼は…)

此岸と彼岸の境界があまりにも曖昧になっている、逢魔が時に潜む邪なものによって彼らの存在感が濃厚になっているのだろうか。

私の目には映り、彼女の目には映らないもの。それはなんだ。

だめだ、頭が回転しない。突然鈍くなった思考が、私を冷静さから遠ざける。

彼の視線がわたしを捉えたのが分かった。黒く穿たれたその二つの谷底が怪しく蠢いたのが見える。

(私を︙見ている)

恐怖で手足が痺れてくる。体の感覚がなくなって、自分がもう立っているのかどうかも分からなくなってきた。

瓶の上から響く緋奈子さんの声が遠い。

もう私を私から手放したい。何も考えず、何も感じない暗闇の水底に沈んでいきたい。

二度と浮上しなくてもいい、もう自分さえいらない。この体なんて散り散りになって消えてしまってくれることのほうがとてつもなく安らかなものに感じる。

もういい。目を閉じて、自らその安寧に身を委ねようとする。

そのとき私の身を暖かい何かが包み込んだ。

じわりと温もりが広がる。失っていた感覚が少しずつこの四肢に戻っていき、暗くなっていた視界が少しずつ晴れていく。

ようやく私は体を包むものが薄手のコートだと分かり、その持ち主を探した。

「しっかりしなさい、お嬢さん。」

私の真正面にしゃがみこみ、彼女はぐっと私の肩を掴み、瞳を覗き込む。

「え…あ」

その瞳には紅蓮の宇宙が広がっていた。真っ赤な天の川が広がり、無数の星屑が煌めいている。そこには際限ない知性が広がり、優れた才覚が宿っている。こんなにも美しい銀河を私は知らない。だが同時に他者を拒絶する凍てつきも感じられた。いや、こんな冷たく燃える銀河の中で他の生命が生きていけるはずもない。それくらい、個体としてある種の完成を極めている。

意識が吸い寄せられる。彼女の全てに。

「飲みなさい。少しは楽になるわ」

そう言うと彼女は、すっと透明の液体が入ったペットボトルを手渡した。おそらくは水であろう。未だ不鮮明なままの頭でそれを受け取る。手が震えているせいでうまく開けることができず、焦燥感が募る。すると横からそれを緋奈子さんが奪い取り、蓋を取り去る。私は今の今まで彼女の存在を忘れていた。

目が眩むほどの輝きを放つ恒星の傍では、彼女の光さえも飲まれ、消えていくというのか。

蓋を開けてもらい、水を流し込む。冷たい水が喉を流れる瞬間、自分が、喉が渇いていたことに気づく。私の口の両端から水がこぼれ、私の膝まずいた地に落ちる。透明だった水が地に落ちた途端に黒く滲んでいくのがどこか悲惨に見えた。

「深月、大丈夫?」

緋奈子さんがとても不安そうに覗き込み尋ねている。だというのに、私の視線はこの破滅的に輝く恒星から目が離せない。私は声を出そうとするが、喉の奥に何かが詰まっているかのように声が出ない。

「亜莉亜さん!」

突然後方から澄んだテノールが聞こえた。後方を振り返ると、線の細い少年のような人物が亜莉亜と呼ばれた女性に駆け寄っていく。

少年は女性と話しながらも、その目線は未だ悄然と立つ異物へと向けられていた。もしかすると、彼にはアレが見えているのか︙。

「紅葉、何かそこにいるのね?」

紅葉と呼ばれた少年は、ゆっくりと頷きながらも、その存在から目線をそらさない。じっと対象を見据えたまま、恐る恐る言葉を発する。

「亜莉亜さん、これはまずいです。この濃度の霊体は、そうそうお目にかかれるものじゃないですよ」

霊体?随分と具体的な言葉を使うものだ。まるでカテゴライズされたものの中から特徴を照らし合わせ、それを選び取ったかのようであった。

やはり間違いない。彼にもアレが見えるのだ。初めて出会った私の同類にある種の感銘を受けつつ、やはりアレは異常なのだと再確認する。

私は覚悟を決め、目を閉じる。見据えなければならないと、なぜだか自然とそう思えた。私の最奥で怯えている幼い私を勇気づける。私と同じような存在が現れたことで、わずかばかりの安心感を得ることができたのだろうか。それとも、あの女性の前では、これ以上の醜態は晒せないと考えたのか。こればかりは理屈ではどう説明することもできそうになかった。

目を開き、立ち上がり、直視する。

やはり、歪だ。この世のものではない。だが、それを認識できる自分はどうだ。自分は今きっと、此岸と彼岸の狭間、あるいは深淵の境界に立っているのだ。

しっかりと彼を見据えていると、次第にその放たれている妄念には、ある感情が色濃く残っているのが分かった。

ああ、そうか。

彼も。

「怖かった︙のね」

二人が言葉を発した私を振り返る。だがもうそれも私には感じられず、今はただ、その魂の残滓が伝えようとしているものにだけ集中が注がれていた。

わずかな悲しみと怒り、そして大部分は、整理されることなく漂う恐怖と絶望。自らが死んだことも理解できず、ただ最後の瞬間に彼が感じた恐怖だけがその霊体を構築している、私にはそう感じられた。

その刹那、私の中で様々な言葉が宙を舞う。言葉の羅列が踊り、元の姿に戻ろうとしているかのように結合していく。

最近までそこにあって、今現れたかのような強烈な存在感。昨日の事件、両腕のない遺体。残る恐怖の残影。悲しみ。

「あなたは、もしかして・・・昨日の事件の︙」

亡霊は何も答えない。答えることなどできないのだろう。

だが、都合のいいことかも知れないが、私にはその表情がわずかな肯定の色を示した気がした。そんなはずはないのだ。

ただこれは、私の中で辻褄があったことへの啓示。

私の中の誰かが見せた幻想。

だが、そうだとしたら。もう、彼は救われることはないのだろう。私にはどうしようもない。

突如、胸のうちに底知れない無力感が生まれた。それは果たしてどの私の感傷なのだろうか。私は確かに彼らに気づくことができる。だがそれがなんだ︙。

だからといって彼の無念を晴らすことも、彼の恐怖を取り除いてあげることもできない。もうこの魂は輪廻転生の環からも外れ、涅槃に至ることもなく、最後の絶望を繰り返し続けるのだろうか︙。

もしもこの私の悲観的な想像が的中しているのだとしたら、あまりにも、哀れで、無情過ぎる。

「―っ」

私の頬を二筋の彗星がつたう。

自分が一体なんのために涙しているのかもうまく把握できていなかった。

彼の哀れな最期に同情を感じたのか。

それとも何もできない自分の無力が悔しいのか。

あるいはその二つとも違う何かか…。

顎のラインまで流れ落ちた星が、すっと拭われた。緋奈子さんが眉をひそめ私の涙を掌で取り払った。とても悲しげな彼女の瞳はほんのわずかに濡れていた。

「緋奈子さん、ごめんなさい。私、は︙」

「何も喋らなくていいよ。大丈夫、深月、私には何がなんだかわからないけどさ、泣かないで︙深月」

緋奈子さんはそのまま私の手を取り、両の手でそれを包み自らの額まで持っていった。それはまるで祈りの姿に似ていた。神聖なマリアのような彼女の佇まいに私はじんわりと胸の中の風穴が埋まっていくのが分かった。それによって、ようやく私の精神は冷静さを徐々に取り戻すことができた。

改めて彼の方を確認すると、もう、その姿は半透明になっており、その存在感は非常に希薄なものになっていた。気づけばもう逢魔が時は過ぎ去ろうとしていた。

西の水平線の彼方に、燃える太陽が沈む。消える残日の縁ともいえる月がうっすらと東の空に浮かぶ。それらが混ざるとまるで終末の光のようだ。

そうこうしている間に、もう彼の姿は薄暗闇の中に溶けて消えていた。

カツカツと宵の口の川岸に足音が木霊する。ふと顔を向けると先程の女性が近づいてきていた。その後ろには半歩離れて少年も一緒だ。

私の目の前でピタリと足を止め、女性は少し高い目線からじっとこちらを見下ろしている。何を言うべきか思案しているのだろうか、いや、その両の眼からは迷いのようなものは感じられない。どちらかというと、女性は私を値踏みしているといった方が正しいようだ。

すると緋奈子さんが女性の鋭い視線から私を庇うように、二人の狭い間に体を滑り込ませた。女性はそれが気に入らなかったのか、益々その眼光を厳しくさせた。

私はこの剣呑な空気を打破するために声をあげた。

「あ、あの」

だが口を開いたのは良かったが、その先を一切考えていなかった。私らしくもなく見切り発車することになっていた。二人は私が何を言い出すのかと、沈黙して待っている。どうしようかと内心狼狽えていると、無言でこちらを見つめている少年と目があった。女性の方とは違って、警戒心も含まれてはいるが、幾分柔らかな視線ではある。

そうだ、と先程の状況を思い返し、私は彼に尋ねた。

「あなたも︙見えるの?」

すると彼は一瞬目を丸くしたあと、物憂げに頷きながら口を動かした。

「うん、君ほどじゃないですが、僕にも霊体が見えます。でも、あんなふうに感情を読み取るなんて真似はできませんが」

「感情を読み取る…?」

「そういうふうに見えたけれど、違いましたか?」

彼にそう言われて、一旦考えてはみたものの決してそんな大層なものではなかった。なんとなく感じただけの不鮮明な情報と、現実の事象とを照らし合わせて推測したに過ぎない。

なにはともあれ、私以上にこうしたことへの造詣が深そうであることは確かだ。

私は頭を振って否定の意を示した。すると少年はなんとも不思議そうに私をじっと見据えて、「そうでしたか」と呟きを漏らしただけだった。

息が詰まるような空気感が霧散し、近くの川の水の音だけが聞こえてくる。誰も何も喋らず、さてどうしたものかと思考を巡らせていたところ、緋奈子さんが少し遠慮がちに口火を切った。

「深月、そろそろ私にも説明してほしいんだけど。多分これって私だけ蚊帳の外ってやつだろう?」

緋奈子さんは変わらず、私を守るように女性との間に立ちはだかってはいるが、彼女の言葉と視線には私を責めるような色が微量に混じっていた。

正直に話すべきか。だがそうにしても、なんとも間が悪い。今この場で簡潔に説明できるほど単純な話でもないし、私自身、先程の一件によって精神的にかなり消耗している。せめて頭の覚める紅茶かコーヒーぐらいは欲しいところだ。

唐突に女性はクルリと身を翻し、少年の元へと戻ろうとする。私は反射的にその腕の裾を掴んでしまい、彼女の射抜くような視線に言葉が詰まってしまう。そこで私はふと、自分が

羽織っているコートのことを思い出し、それを脱ぎ去り、彼女の手元へと差し出す。私の体を包んでいたバリアのようなものが忽然と消えてしまった気がした。それが名残惜しさなのか、ただの熱だったのかは定かではない。ただ、漠然とした寂しさのようなものを感じてしまったことだけは確かだ。

「コートとお水、ありがとうございました。なんとお礼を申し上げたらいいのか…」

彼女の瞳を直視できない。その瞳に宿る紅蓮に焼き尽くされてしまいそうで。だが、それをかすかに望んでいる自分がいることも否定できない。

こんなにも美しい炎に焼かれてしまえたのなら、きっと残る灰も、聖夜に舞う白雪のように耽美的なものになれるだろうに。

彼女はただ無言でそれを受け取った。それから半歩私の方へ近づく。互いの間にはもうほとんど余分な空間はない。このまま隙間を埋めてしまいたくなる衝動に駆られるが、わずかに残る理性的な私が機能し、それを阻止する。

何も語らぬ時間が、どういうわけか物足りなく感じてしまい、私はなにかに急かされるように口を開いた。

「あの、ご迷惑でなければ、貴方のお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

本当はなんとなく分かってはいた。女性の後方に控える少年が再三、亜莉亜さんと呼んでいたからだ。だが、名を教えてもらうというプロセスが無ければ、その名を口にすることは憚られるべきだろう。この一種の儀式的な過程がこんなにももどかしく思えたのは初めてだと、高鳴る鼓動を聞きながら考えていた。

そして女性の反応を待っていたのだが、彼女は冷笑ともいえる微笑みを浮かべた上で、一語一語歯切れよく発音し言った。

「名乗るほどのものではないわ」

遠回しに、名乗るつもりはない、と拒まれた気がして私は肩を落とした。先程の値踏みするような視線からするに、どうやら私はそのお眼鏡に適うことはできなかったようだ。

私という可燃物は、白雪になれず、ただの灰になるだけのようだ。

すると横から、つっけんどんな口調で緋奈子さんが毒づいた。

「その言い回し、今の御時世にされる方がいるんですね」

「ひ、緋奈子さん・・・」

明らかに喧嘩を売りつけているような強い口調に、私は彼女をたしなめようと試みたが、半ば戦闘態勢に入っている彼女には全く伝わらなかったようである。

飛びかかる火の粉に女性は顔をしかめ、不快そうに目を細める。じろりとと緋奈子さんを睨みつける。

だがそんな態度も物ともせず、緋奈子さんは明らかに口調を変え女性を睨みつけながら言った。

「深月は、あんたたちが何者なのかって聞いてんの・・・!」

違う。いや、気になってはいたがそんな意図があったわけではない。そうすると、女性が私にその意思の是非を問うかのように顔をこちらに向けた。

すぐさま否定しようとするが、そうすると今度は緋奈子さんの立つ瀬がなくなってしまうことに気づき、私は狼狽しながら二人の顔を交互に見回してしまった。違うのかと言わんばかりに緋奈子さんも私を見据えている。

どうしろというのだろうか。

事態に呆れるかのように、女性は結局踵を返して、少年の元へと戻ってしまった。

無意識に生じた名残惜しさからか、片手を彼女の方に伸ばしてしまったが、それをどういう意図と汲んだのか、突然緋奈子さんが私の手を強く握った。

「深月はこっちでしょ」

明らかに怒気を含んだ物言いであったのと、そもそも何に対しての怒りなのかも分からず、ただ私は何も言えなくなってしまう。それを見ていた少年が、私の方をちらりと眺めたところ、女性に小声でなにか呟いた。内容はまるで聞こえなかったが、女性は興味がなさそうに相槌をうつだけであった。

彼女はそのまま私達とは反対方向へと帰っていく。少年はぺこりと丁寧にお辞儀をしてその後に続く。傲慢ともとれる態度に、未だ私の手を強く掴んだままの友人はご立腹のようであった。

しかし、何メートルか進んだ後に途端に女性が振り返り、まっすぐに私を見つめて良く通る声で言った。

私は彼女の気が変わり、やはり名を名乗る気になってくれたのかと期待したが、その言葉は私の想像を裏切るものであった。

「今日あったことは忘れなさい」

その場の皆が呆気にとられている中、彼女は続ける。

「忘却は、人間の持つ最も優れた機能の一つよ。ただ、それすらも忘れてしまうとね、人間のような矮小な哺乳類は簡単に潰れるものよ」

それじゃ、と彼女はまた進みだした。

忘れることが、優れた機能?

苦しみを忘却の彼方に押しやり、遠ざける。臭いものに蓋をするかのように。

私はなぜだか、たまらなくなって叫んだ。

誰もいないはずの私の背後に、何かを感じた。それは私の腰に抱きつき、震えている。しかし泣いているのではなかった。怒っているのだ。そしてそれが私に叫べて命じている。

「人には!」

彼女は決して振り向かなかった。それでも構わない。今の私は何かを伝えようとしているのでも、理解を欲しているわけでもない。心の衝動のままに慟哭しているに過ぎない。それが誰の心の叫びなのかは別として。

私は続ける。闇雲に吠えることしかできない野良犬のように、ただ、感情のままに。

「忘れたくても忘れられないことだってあります!!人は機械じゃありません!機能とか、私にはよくわかりません!」

今度は、女性が呟いた声が聞こえた気がした。

「人は機械よ。魂という幻想をプログラムされた、最も不出来な、血と肉が固まってできた機械よ」



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