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書くぜ!オリジナルスローライフを!

作者:

「というわけで、よろしく」

「何がよろしくだ」


 話があるからと、さくに無理矢理教室に残されたはるは椅子に腰掛け興味なさそうに頬杖をついている。


「異世界やら悪役令嬢やらが多く出回ってる中、僕はあえてスローライフで勝負がしたいんだ!」

「スローライフも十分出回ってるぞ」

「そして印税生活がしたい!」

「理由が不純だな」

「さぁ、アイデアを頂戴!」

「いきなり丸投げとは驚いた」


 正直今すぐに帰りたい晴ではあったが、一応友人の頼みということで案は出す。


「無難に異世界スローライフを書けばいいんじゃないか? 主人公は高校生か大学生くらいで」

「へっ! これだから小説を書いたことない奴は」


 殴りそうな右手を必死に抑え込む晴。


「そんなテンプラでどうするんだよ。もっとオリジナル要素が欲しいんだよ」


 と、自身たっぷりと言っている朔だが、平然と『テンプレ』を言い間違えるのだった。


「今の時代、主人公はおっさんだよ」

「おっさんも今じゃ飽和してるだろ」


 と、晴が指摘すると、朔はドヤ顔で答える。


「それならおっさんを超えて、おじいさんにすればいい」

「たしかにあまり聞かないな」

「でしょ?」

「じゃあ主人公はおじいさん。そんでチート級の能力を━━」


 提案する晴だったが、目の前で『ヤレヤレ、これだからトーシローは』と言いたげに手の平を天に向けながら呆れ顔の朔に、殴り倒したい衝動を必死に抑える。


「そんなんじゃ周りと変わらないでしょうが。親近感が湧くように、あえて能力を持たせない方がいいこともわからないの?」

「そ、そうか。それは、気がつかなかった」


 血管が切れそうな晴をよそに朔は話を続ける。


「よーし、今度は世界の設定か」

「世界の設定はしっかりと作り込まないとな。それがあっての異世界なんだし」

「えー、普通に魔法が使える。風景は西洋風ってな感じじゃダメ?」

「後々それは自分の首を締めるぞ」

「そっかー」


 しばらく考え込んだ朔は突然ハッとした。


「わざわざ異世界にこだわる必要なんてない! 現代なら設定も細かくかける! 現代版スローライフ! これは売れる!」


 朔はスマホを取り出し、一心不乱に入力を始めた。

 その姿を冷静に見つめる晴はしばらく放っておいてから声をかけた。


「タイトルはきめたのか?」

「まだだけど」

「なら俺が決めていいか?」

「えー、変なタイトルは嫌だよ」

「これ以上ないってほどぴったりなタイトルだ」

「なになに!?」


 期待する朔に冷ややかに晴はこう答える。


老後生活スローライフ

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