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第1話 祖先

今は西暦千七百五十年代。十八世紀半ばの日本である。


「悠平お参り行ってきた?」

三十代後半と思わしき女性が少年に尋ねる。

「今から行くよ母さん、今日は酒を持って行くね。」

そう言い少年は走って外に出て行った。少年の年齢は十六であるが同年代の子と比べ背は一回り小さく百五十ほどしかないが小ささを感じさせないほどに肉付きが良く、山道を軽々と登って行く。

険しい山道を小一時間ほど行くと洞窟が見えてくる。入り口には[光の神]と書かれている。悠平こと神道悠平は洞窟の奥へと走って行く。

悠平は洞窟を走っているが転ぶ事なく奥へと進む。洞窟の壁面には白く光る石が無数にあり、洞窟内は明るく昼間のようだった。白色に光っているが実際には違うかもしれない。悠平が始めてきた時は母と一緒だったが、母には薄い水色に光っているように見え、父は赤色に見えるという。この不思議な石を悠平は虹色石と呼んだ。

「よいしょっと、、、」

洞窟の最深部までは慣れた人間しか行けないほどに入り組み、険しい道であった。悠平はいつも通りに祈りを始めた。

「我が神道家に伝わる光の神様よ今日も我が土地を見守りくださいませ。」

そう言い、いつもの祈りを終えた悠平は目の前にある木彫りの像の足元に酒を置く。いつもはそのまま帰るが悠平は像の後ろに周り、像の背中に当たる場所の少し凹んだ部分を見つめる。

少し前に悠平はお供え物を像の裏に落としてしまい、拾う時にふと像の裏の小さな凹みに気がついた。

「やっぱり御神体に穴が空いている、、、」

凹みもとい穴をよく見ると長方形の形をしていて深さは五センチほど。中は金属に覆われ白く光った線がある。

「昨日蔵の中で見つけたこれ。似てるからこの穴に入るんじゃないか?」

悠平の手には、まさに像の穴に丁度はまりそうな鋼の長方形の物体があった。

悠平はそのまま穴に長方形の鋼を入れた。

「丁度ぴったりだ、、、」

その言葉を言い終わったのと同時に周りが重い音を鳴らしグラグラと揺れる。

「地揺れか?」

そう言って体を低くする。すると強い力に押しつぶされる。というより下に引っ張られる感覚だった。

「なっ、なんだ?」

悠平は未だかつて経験したことの無い感覚に驚く。数分間その力を受けていたので悠平は慣れたのかゆっくりと立ち上がり、辺りを見渡す。

「一体なんなんだ?」

そう言って入口の方を見ると今までいた風景などなく、岩が道を塞いでいた。

「これじゃぁ家に帰れな、、、」

最後までその言葉は続かずに体が少し浮く

「うわっ」

ふわっとした感覚に一瞬襲われる。

「さっきから一体なんなんだ?」

そういうと目の前の道を塞いでいた岩が左右に分かれて道が拓けて行く。悠平は先程からの未知の出来事に困惑しつつも帰路につこうとゆっくりと前に進む。

「なんだかよくわからないけど、外に急いで出ないとまたいつ岩が落ちてくるか、わからない、、、」

先ほどまで岩で閉ざされた場所の先には、いつも通っている道ではなく、夜空が見えている。

「さっきから地揺れと言い、変な感覚と言い。一体なんなんだ?」

悠平は長方形の鋼を刺した時から次々に起こることに驚いた。

「ここは一体どこなんだ?俺の知っている場所じゃない、、、とにかく帰り道を探さないと、、、」

悠平は帰り道を探すために外に出る。外に出ると夜空が広がり、大きな青色の月が見える。だがそれは月にしてはかなり大きく、7割がたが青く、残り3割が緑色をしていて、ずっと回っている。

「さっきまで昼だったのに、突然夜に。しかも月の色も変わってかなり大きくなってる!?」

その驚きはとてつもないものだった。だが悠平はまだ知らなかった。その青い月は、いつも見ていた『月』ではなく、つい先ほどまでいた『地球』であると。

「どうなっているんだ、、、夢でも見ているのか?」

かなり困惑している悠平はふと後ろを向く、後ろには今出てきた穴がある。そして視線を少し上に上げるとそこには大きな人の形をしている、金属の塊が有る。

「なんなんだアレは。」

その人型はゴツゴツした岩の上にどっしりと座っている。人型が立つと十メートルくらいの大きさ位だろうか。そして人型は自分の体を支えられるか不安になる程細かった。体格でいうと悠平のような体格をしている。

「かっこいい、、、」

その姿に魅了されたのか感嘆の声を上げる。直線的な部分はなく曲線を合わせて作ったようなその人型からは、弱々しさなど感じさせず、とても落ち着いた武将のような猛々しさと冷徹さがあった。

そして、ふと悠平は思った。

「光の神様、、、」

悠平がそう思うのも納得できる。全体的に刀の波紋のような明るい灰色だが、縁取るように黄色や白、ところどころ橙色もありまさに『光の神様』といった感じだ。

悠平は少しずつ人型に近ずく。よく見ると穴の横あたりから岩が階段のようになっており、人型の胸の前まで続いている。

「よっ」

悠平は軽々と階段を登っていき胸の前で立ち止まる。胸は扉が開いたような穴が開いていて中に入るには一メートルほど飛ぶ必要がある。悠平はなんの躊躇もなく中に飛び込む。中にはお大きな椅子が一つあった。椅子は人の形をしていてゆったりと座れるような構造になっている。

「座ってもバチ当たらないよな、、、」

そう言って座ると、聞いたことのない音とともに上から丸く、分厚い兜のようなものが降りてきて悠平の頭をすっぽりと覆う。

「うわっ、何も見えないじゃないか!」

そう叫ぶがそのまま兜は動こうとしない。悠平が取ろうとすると首の後ろのあたりがチクリとして体が全く動こうとしない。

(なんなんだ、、、体が動かない、、、声も出せないし、、、)

「システム起動」

(!!!!!?????)

冷徹な女性のような声が響く。悠平は驚き思考が追いつかなくなる。

「でぃーえぬえー確認。あいでぃシンドウ、、、シンフレーム、『セレーネー』起動します。」

すると悠平は体を動かせるようのになったのか口元には笑みを浮かべる、、、

「すごい!すごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごい!!!」

悠平は体を起こす、が、悠平の体は口元以外はピクリとも動かない。だが悠平の目には真っ暗闇ではなく悠平のしたい動きに合わせ外の景色が映し出された。

「すごいね!このシンフレーム『光の神』、『セレーネー』を動かせたということは、シン道家のひとかな?」

「!?」

悠平以外の声が響く。

それと同時に空中に四角く絵画のようなものが出て来て、そこには二十代後半から三十代前半と思わしき若い男がいる。

「あなたは?!」

「君の祖先、『新道つかさ』だよ。」

「俺のご先祖様、、、?」

「そうだよ。そしてシンフレームの開発者であり、この『セレーネー』の製作者さ!」

悠平には訳がわからない、、、

「君がいつの人か、そして今が西暦何年か知らないけど、君には歴史を変えてもらう

!!」

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