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「星屑の泉」 完結

お話の世界観 現実の世界

お話の雰囲気 綺麗な世界観

文字数 2010文字


登場人物紹介

旅人さん 世界中を旅する旅人。欲しいものができたときだけは家事の手伝いを頑張っていた。


猫さん 喋れる猫。欲しいものができたときは人間に甘えることで手に入れてきた。


旅人さん 世界中を旅する旅人。欲しいものができたときだけは家事の手伝いを頑張っていた。

猫さん 喋れる猫。欲しいものができたときは人間に甘えることで手に入れてきた。


「星屑の泉?」

「そう。星屑の泉。この先にあるんだって。」

白いレンガで綺麗に舗装された道にバイクを走らせながら、膝の間に陣取りあくびをしていた猫さんに説明する。

「なんでも星屑が湖に浮いてるんだとかなんとか。」

「なんか胡散臭いくないか?誰に聞いたんだ?」

猫さんは途端に目をキラッと鋭くして、問い詰めてくる。

「さっきの街で会った男の人。」

「…年は?」

「え…?多分90歳位の人だけど…。」

「引き返すぞ!今すぐ!!」

猫さんは身を乗り出してハンドルを猫パンチする。その影響でスカイブルーのバイクが大きく傾く。

「わ!猫さん危ない!なにするの!」

私はバイクをうまく操作してなんとか体勢を立て直す。

「またお前はそんな老人のおとぎ話を真に受けたのか!それで何度騙された!」

「8回だっけ?」

「9回目だ!」

私は頭の中で数え直す。…何度数えても8回だけだ。

「あっ待って。今回はまだ騙されたって決まってない。」

「決まったようなもんだろう!また迷子になる気が!」

「まあまあ、猫さん。9度目の正直って言うじゃん?」

「言わない!なんだその言葉は!」

「今作った。」

「作るな!」

そんな変な会話を猫さんとしていると、夕方頃、目当ての湖にたどり着いた。湖の周りはちょとした広場になっていて、夕日で赤く染まっていた。私はずぐさに湖を覗き込む。

「これが…。星屑の…泉?」


「金の泉の間違いだろう。」

猫さんのその言葉はぴったりな気がして、なんだか悔しい。湖の底に大量のコインが落ちていて、それが夕日に照らされてキラキラと輝いている。

「よくある願い事を叶えてくれる泉かなんかだろう。結局また騙されたな。」

猫さんはそこまで言うと、バイクのシートに座り込む。

「さあ、早く行こう。今日中には次の街に着くんだろう?」

「いや、この泉に寄ったから今日中には着かないよ。」

「また野宿するのか!?こんな泉に寄ったせいで、やはりろくなことにならなかったじゃないか。」

「まあいいじゃないか猫さん。今日はここに泊まろうよ。星屑の泉がキラキラしてて綺麗だよ。」

「夜になったらただの泉だろう。」


それから猫さんとテントを作って、トランプ勝負を少ししてから眠った。トランプではババ抜きで猫さんに三勝もしたので、猫さんは少しだけ不機嫌だった。

「う〜ん…。」

真夜中。私が用を足そうと目を覚まして、テントのジッパーを下げると、星屑の泉が夕方に増して輝いていたのに気づいた。

「わぁ…。」

泉の澄んだ水は、先程以上にキラキラと輝きを放つコインをその身に含み、まるでサファイアのようになっていた。何故コインが光っているのだろうか?私が空を見ると、空から泉に向けて青い光の筋が出来ていた。月がいつも以上に光って見える。恐らく月の光の入り方がちょうど泉に入る時間なのだろう。ただそれだけ。それだけだけど、私には月が泉に願いを掛けに来たように感じた。水面は強欲にも白や赤に光る夜空の星すらもうっすらとその身に写し、二重の輝きになっている。まさに「星屑の泉」と呼ばれるに相応しい姿になっている。

「猫さん!起きて!すごいよ!」

猫さんは私の寝袋の上で体勢を変えた。起きるのかと思ったが、猫さんは頭を寝袋に突っ込んで土下座してるみたいなポーズになってしまった。経験上、この体勢の猫さんを起こすのは至難の業だ。私は諦めて泉に戻った。

しばらくすると青い光の筋は消えて、後にはまた輝く泉が残った。私は、また誰か願いをかけに来ないかな、と思いながら腹ばいになり星屑の泉を眺め続けた。


「ハクシュン!」

くしゃみの影響でバイクが左右に揺れる。

「旅人さん。なんで外で寝てたんだ?」

「…なんとなく。」

見れなかった猫さんが可愛そうなので、昨日の夜の話はしていなかった。

「なんとなくって…。」

「まあ、今回は騙されたわけじゃなくて良かったよ。」

「あんなので良かったのか?星屑の泉。」

「最高だったね。少し光を変えてみるだけであそこまで変わるもんなんだねぇ…。」

「見方次第でどうにでもなるということか?…まあ、私としても少し得したから良かったがな。」

「?猫さんなんかあったの?」

「泉のコインを一個取ってきた。スマホで調べたんだが、これは相当古い硬貨のようでな。それなりの金になるぞ。」

私はバイクをUターンさせる。

「なっ!?なぜ戻る!」

「それは泉に返してこないとね。」

私は片手でバイクに括り付けたバックを探り、コインを見つける。猫さんはなにやら騒いでいたが、それは無視して、星のマークの刻まれた銀のコインを太陽に照らしてみた。コインは光を反射して、やはりキラキラと輝いた。

お恥ずかしながら文章の仕事を目指しています。先はまだまだまだ遠いですが、一生懸命1歩ずつ頑張りたいと思います。アドバイス等をどしどし下さると助かります。

コメントも一言貰えるだけでモチベーションが凄く上がるので、お暇であればお気軽にお願いします。

毎日1話以上の投稿を目指していて、今日で18日目、今日2個目の投稿です。

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