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ここは異世界Reil yard  作者: 麻本
4/4

通勤列車全般清掃にて。

今日は、列車の全般清掃だ。


全般清掃は、その列車に対してひと月に一度の頻度で行う。

ノルマは、6両を4人で2時間。

用意する道具は、スコッチブライト、ガムベラ、薬液、それを薄める水、桶、ウエス、コロコロ、ダンモップ、ほうき、塵取り等々。

先ず最初は、車両の内壁の部分を、薬液を水で薄めて桶に入れ、その液体を浸み込ませたスコッチブライトを使って、ほんの少し力を入れて、汚れた壁を擦り、落して行く。

車両によってはロングシートの端はパイプだったりするのだが、今日やる車両には、ABS樹脂で出来た仕切り板が、ロングシート端に付いている。

それの汚れも落としてゆく。

磨き方は、円を描く様に・・・じゃなくて、タテヨコに擦る。

それで、数は多いので、比較的綺麗な仕切り板は飛ばして、次のをやる。

「あー。毎回毎回、面倒くせえなー」

こんな事を言いながら、作業をしているのはシマウマだ。

この異世界ににきて高橋は、生前と変わらない日常に諦めかけていた。

もう、こんな事を言っている異世界の住人に、聞き耳を立てることなんてない。

気にする必要なんてない。見て見ぬふりをすれば良い。

ただ、自分に与えられた仕事を、もくもくとこなすだけだ。

さて、壁と仕切り板が終わった。

高橋たちが壁をやっている間、他では荷だなと窓、それから、連結部の幌(これが、かなり汚くなるんだけれど)は終わっているので、シートのコロコロと、広告を挟むパネルの隙間をガムべらとウエスを使って拭く。

この部分は結構埃が溜まりやすいのだ。

拭くと本当に綺麗になる。

そして、その後は、ダンモップとほうき塵取り、モップを掛けて終了だ。

そして、先頭の車両に戻り、終了だ。

そして、この日の昼休み。ある人がお弁当として、何かトンデモナイ物を持ってきた。

休憩室の向こうが何だか騒がしい。

皆がギャーギャー騒いでいる。

それを見た高橋が、

「向こうは一体何を騒いでいるんだ?」

と言うと、隣の人が小さな声で

「ホビロン・・・」

と言った。

「え?見たの?」

「ああ。見ちゃったよ」

そう。知っている人は知っている、あのアニメで使われた言葉である。

聞き覚えのある言葉に思わず、えっ?となった高橋。

高橋は、それの正体を調べたりして居なかったので、興味が湧いたのだ。

それを確かめようと、騒ぎの元の所へ足を運ぶ。

するとそこには、見た目がグロテスクな、アヒルの卵の孵化直前のを茹でたと言うあれが。

しかし、これを持ってきた本人は「バロット」だと、しきりに言っている。

でも高橋はそれをみて

「そーか。これがあのホビロンそのもの、本物であってその正体なんだね」

と、良く訳の分からない納得をした。

そのグロテクスクさ、見た目の悪さに、思わずこみ上げそうになったりはしたが。

ある謎が解けた事で、少しばかり心がスッキリした高橋であった。

そして午後の作業は「梨地」であった。

これは、特急列車の座席の後ろにあるテーブルを支えるアーム部分の汚れを水とメラミンスポンジを使って落とす。

それだけの作業だ。

こうして、その日一日が終わった。


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